すでに今年自治体のリーダー11人が殺害される メキシコ
麻薬犯罪殺人の多いメキシコだが、今年だけで地方自治体の市長、町長クラスがすでに10人殺害され、2010年9月27日11人目の犠牲者が出た。犠牲になったのはGustavo Sanchez, 29歳でメキシコ南西部のミチョアカンMichoacan州にある人口2万6千人のTancitaroの町長で、この町では去年の12月に前任の町長が麻薬組織からの殺害の脅迫を受け辞任し、彼はそのあとの臨時の町長だった。殺害は街はずれの路上で、彼の側近のRafael Equihua Cervantes, 36歳も同時に殺されていた。
首切りや銃殺が多いメキシコでは聞いたことの無い石による撲殺で、検視官も麻薬組織の殺害方法としては珍しいと語っている。麻薬組織の犯行なら銃やナイフの使用が普通だ。ここから一つの推理が成り立つ。(写真は犯行現場の遺体と奇妙な殺され方をされたGustavo Sanchez氏29歳)
この街では昨年末に市会議員が拷問の果てに殺害され、その直後に町長と議会議員が犯罪組織からの脅迫で辞職した。今回殺されたSanchezは、その後任となってすぐに60人の警官を解雇した。警備の不備や麻薬組織との癒着などがあったのだろうが、今回異常な殺され方をしたのは解雇された警官の仕業の可能性もある。こんな推理を現地のマスコミが書けば生命の危険が有るだろうから書いてはいないが、検視官の疑問がそれを指している様だ。メキシコでは警察官は市の職員であり、市が採用する。また警察署長は市長の任命になり、市長が代わると警察署長も交代するため麻薬組織に不利な人事を行えばその自治体の首長が暗殺のターゲットになり、また解雇された警官の恨み対象になったりするようだ。すでに国境沿いの3つの州Tamaulipas, Chihuahua and Nuevo Leonの首長の数人が安全の為家族を米国領に移し、米国側からメキシコに通勤している。9月だけで、サンルイスポトシ、モンテレイ近郊の町長3名が殺害されている。 2009年メキシコ麻薬勢力図 2010年メキシコ麻薬勢力図
2010年9月28日;メキシコ チワワ州CHIHUAHUA, Mexico の州警察で理解できない事件が起きた。州警察に1台の車で乗りつけた6~7人の犯罪集団に警察の武器庫が襲撃され、武器70丁、他多数が強奪された。犯人は誰一人傷つけることなく逃走し、このような強奪は前例が無いと警察発表。チワワ州中央のチワワ市が州都だが、北部米国国境沿いにあるフアレス市Ciudad Juarezはメキシコでも最悪の犯罪都市として有名で、2006年からすでに8000人以上が犯罪の犠牲者になっている。