ペンは剣よりも強し、、では無かった。メキシコ
カテゴリ犯罪の中には書き溜めたメキシコの麻薬犯罪が多いが、その中に米国国境沿いのフアレス市CIUDAD JUAREZが何度も出てくる。2006年からでも28000人が麻薬犯罪の犠牲になったこの国でも、フアレス市の犯罪件数、死亡者は際立っていて、過去2年間のこの街の麻薬犯罪での死亡者は5000人に上る。この死亡者は遺体が確認された者だけで、行方不明者などを加算すれば一体どれほどの人間が殺されたたのかは想像も出来ず、殺されないまでも多くの人間が麻薬組織に拷問を受けている。拷問の対象として多くの場合マスコミ関係者が狙われ、時には殺される。
すでに最近4年間だけでも30人以上の報道関係者が殺害や行方不明だと言うこの国で悲惨な事件がまたおきた。「死の街」フアレス市にある最大の新聞社El Diario de Juárezの報道写真記者2名が2010年9月16日の白昼銃撃され、21歳のルイ・カルロス・サンチアゴ 21-year-old staff photographer Luis Carlos Santiagoさんが死亡、もう一人の25歳の同僚Carlos Sanchezも重態だ。残された警告には警官もこうなるぞと書かれていた。この新聞社では過去にも一人が麻薬組織の犠牲になっている。その後の社説では読者に対し「一体我々は発行を継続すべきなのか、どうしたらいいか教えてほしい"Explain to Us What You Want from Us what we should try to publish or not publish, so we know what to expect,"」とそのやるせない気持ちを書いている。さらに「もう誰かが死んだり傷ついたり脅される事には耐えられない。こんな状況では望まれるような報道を継続していくのは不可能だ。“We do not want more deaths. We do not want more injured or more intimidation. It is impossible to carry out our role in these conditions. Tell us, therefore, what is expected of us as a media outlet,”」とマスコミとしての敗北とも取れる社説を掲げ、麻薬事件報道からは自主規制していくようだ。別な記事では「もうこれ以上銃弾の餌食になることには絶えられない。"We don't want to continue to be used as cannon fodder in this war because we're tired,"」とも語っている。右下は亡くなったカメラマンの棺。左はショッピングモールの駐車場で襲撃されたカメラマンの車。右下は悲しむ同僚のカメラマン Christian Torresさん。
その後もメキシコ中部の太平洋岸のAcapulcoでは7人の麻薬抗争による銃殺遺体が発見され、後日近くでは首を切断された2遺体が見つかっている。この国ではいずれも日常の「ささやかな事件」でしかない。すでに事件前の9月7日のロイター紙が、多くのメキシコのマスコミが麻薬事件報道に関して自主規制していると報じていた。