
モスクワの南東にあるロシア西部リャザン州Ryazan Oblastの行政府は2026年5月15日、前夜に約100機のドローン(無人機)攻撃を受けて死傷者が出たとして、州都リャザンに非常事態を宣言した。ロシアの経済紙RBCが伝えた。リャザンはモスクワから200キロ弱の位置にあり、ウクライナはプーチン政権への軍事的圧力を強めている。報道によると、14~15日にかけての夜、同州に約100機のドローン攻撃があり、高層住宅などが損傷。子ども1人を含む4人が死亡、28人が負傷した。
これを受け、知事をトップとする州委員会が非常事態宣言を決定。期間は未定としている。また、一部地域で学校や幼稚園の授業などを中止し、住民が一時避難所に退避したという。参照記事
ウクライナのゼレンシキー大統領は5月17日、同国の国境から500キロメートル離れたロシアのモスクワ近郊への攻撃につき報告した上で、ロシアは自らが始めた戦争を終わらせなければならないと呼びかけ、「ロシアによる戦争の長期化、私たちの町や共同体への攻撃に対する私たちの対応は、全くもって正当だ。
今回、ウクライナの長距離制裁はモスクワ州に達している。そして、私たちはロシアに対して、同国は自らの戦争を終わらるべきだと明確に伝えている」と強調した。ロシア側は第1報で、550機の無人機を撃墜し、少なくても3人が死亡したと報じた。
ニュース映像:Ukraine targets Moscow with ‘massive’ drone attack, killing at least three:別映像:モスクワなどで無人機攻撃 ゼレンスキー氏「報復攻撃」:Moscow Under Drone Siege? Ukraine’s Massive Strike Across Russia, : 参照記事 左参考写真:ウクライナで2026年5月11日、非公開の場所で開催されたドローン展示会に置かれたウクライナ企業が開発した長射程ドローン=ロイター:5年目に入った戦争が続く中で、ロシア人は戦争に疲れRussians Weary of War、将来への悲観を強めている。ウクライナのドローン(無人機)攻撃は国内の深くまで及ぶようになった。
当局は安全保障上の措置だとしてインターネット規制を強化し、市民の怒りは爆発し、ロシア社会全体で抑うつ症状が増加している兆しもある。データ分析会社DSMグループの情報として、薬局では昨年、抗うつ薬の需要が24%増加。ロシア出国に関する情報を求めるオンライン検索は、1月以降に2倍余りに増えたと、経済紙ベドモスチは伝えた。モスクワを拠点とする政治アナリスト、アンドレイ・コレスニコフ氏は「体制による強い弾圧で、表明されない不満がうっ屈している。それはやがてマグマが吹き出るように、予想もしないような場所やタイミングで突然爆発するかもしれない」と語った。英文記事 参照記事
、、 企業の閉鎖や人材の国外移住が続き、日常生活への制限が強まる中で、モスクワを拠点とするレバダ・センターの調査によれば、自国が正しい方向に向かっているとの回答は55%で、これは全面侵攻開始後最低で、昨年末には67%に上っていた。2026年3~4月のロシアの春の攻勢では毎日1000人ほどのロシア兵が戦死する状態が続いていて、5月上旬も記録的な戦死者が報告されていた。現在戦場へ送られる兵士は訓練経験のある予備役ではなく、義務として徴兵され訓練も不十分な若い兵士だと言われている。世論や選挙で排除できないのが専制政治、独裁体制で、この体制を容認し続けるロシア人に国家の衰退が日常になっている。
全てはプーチンが、国の経済低迷と国の威信回復を軍事力で見せつけ、一時的にルーブルを増刷し、軍事特需での景気回復を狙った結果だと筆者は見ている。そのためなら被害妄想のプーチンにとって理由は何でもよく、ウクライナ侵略が適当で、ナチスの電撃作戦をまねれば簡単だと思ったのだろう。これはアフリカの軍事独裁政権が、よくやる手法と同じだ。しかしその結果現在では、世界中の軍隊がウクライナの防衛戦術を学ぼうとし、ロシアは政治的、経済的に孤立した。それでも、減ったとは言えモスクワ市民の55%がプーチン政策を支持している。1945年4月30日、ヒトラーは自殺前の遺書で「自分は悪くない。すべてはユダヤ人国際組織のせいだ」だと述べている。犠牲になったユダヤ人は600万人以上とされる。独裁者は常に、自分は正義だと言い続け、国民がおびえながら生きる様子を安定だと言い換える。

