2025年8月18日に行われた米ウ首脳会談において、ゼレンスキーUkraine’s Zelensky は同じ部屋で笑顔を見せた。カメラの前で冗談を飛ばし、ヨーロッパの首脳たちが見守る中で、記者団からスーツを褒められる場面もあった。
会談には、欧州主要国の首脳らが同席し、参加したのはEUのフォンデアライエン委員長、イギリスのスターマー首相、フィンランドのストゥブ大統領、フランスのマクロン大統領、イタリアのメローニ首相、ドイツのメルツ首相、NATOのルッテ事務総。
注目すべきは、ウクライナと同じくロシアと国境を接する、フィンランド‣ストゥブ大統領Finland President Stubbの参加だ。フィンランドは過去にロシア(ソ連)と戦い、東側領土を1940年のモスクワ講和条約で割譲(右図赤い部分)させられた国だ。映像:How Finland’s President Became Trump’s Go-To EU Ally:映像から、ストゥブ大統領はトランプ氏との個人的な親密さの中で、ウクライナや欧州の情勢を事前に伝え、また、トランプ氏の意向を伝達して円滑な話が進むように意識して立ち振る舞っているようだ。そのベースには、これまでのフィンランドのロシアとの歴史が役に立てばとの思いと地政学的位置が在る。ストゥブ大統領は以前、プーチンに対し不信感を持っていると発言している。
また、人口約540万のフィンランドは徴兵制を持ち、バルト海沿岸諸国の中で最大の兵力を持ち、特に大砲、火砲に於いては、ロシア以外では欧州最多だと言われ、2023年4月からNATO加盟国だ。なぜ加盟を急いだかは言うまでもない。 映像記事 過去ブログ:2025年5月ロシアの衛星情報妨害でフィンランドも対策に乗り出す:2月トランプ政権の身勝手、横暴振りにフィンランド大統領が釘を刺す:2024年2月フィンランド新大統領は対ロシア強硬派:2023年12月フィンランドがウクライナへの火砲弾薬生産量を増加計画:2022年10月フィンランド大統領、プーチン氏は「敗北を受け入れる能力がない」::2022年3月フィンランドの冬戦争にみる対露関係と過去の日本の独立支援:しかし、この雰囲気の変化はMAGA(トランプ支持層で「アメリカ・ファースト」運動で国内問題を優先)にとっては好ましいものではなかったようだ。
トランプ氏が突如としてウクライナに対してNATO型の安全保障の提供に前向きな姿勢を示したことは、トランプ氏の熱心な支持者たちから鋭い反発を招いた。結果、アメリカで戦争関与のあり方をめぐる緊張が再燃することとなった。MAGAのXユーザーも「ウクライナから手を引け!Get out of Ukraine! アメリカの金はもう出すな!No more US money! 武器も出すな! 第5条のような保障なんてするな! 第二次世界大戦はもう終わったんだ!ヨーロッパの防衛への資金提供をやめる時だ!」と強い口調で非難する投稿をした。トランプ氏は18日、アメリカ軍がウクライナの国境を守るために兵士が派遣されることはないし、ウクライナはNATOに加盟しないと改めて表明し、その代わりにトランプ氏は、ウクライナに大きな保護を提供する「独自の安全保障枠組み」の構想を支持している(筆者:偵察機などによる軍事情報の提供等か、、)。NATOのマルク・ルッテ(元オランダ首相)Mark Rutte事務総長も、NATO加盟国にすでに提供されているような保障が議論の対象になるだろうとした。スティーブ・ウィトコフ(Steve Witkoff 不動産屋上がり)米中東特使はこの協定案を「ゲームチェンジャー」と表現したが、その具体的な中身は未だ曖昧だ。
トランプ氏は具体的な今後の停戦や軍事的策は表明しないまま、全てはゼレンスキー氏の判断にゆだねるという発言をしているが、この侵略が、1991年のソ連崩壊後に起きた事から見て、米国の消極的な核兵器廃絶や独裁国家ロシアへの曖昧な態度の産物では無いのかと筆者は思う。今更、国内ファーストで「俺は知らない」とは言えないだろう。
ゼレンスキー氏の言う、平和は「持続的なもの」でなければならないし、また世界は忘れがちだが、1994年に交わされた「いわゆる『安全保障の約束』」(ウクライナが米ロ英と結んだブダペスト覚書のこと。ウクライナが核放棄と引き換えに、主権と領土を尊重し安全保障を約束されたもの)の失敗を繰り返してはならないと言う発言に耳を傾けるべきだ。写真:「ブダペスト覚書Budapest Memorandum on Security Assurances」に署名する(左から)ロシアのエリツィン大統領、クリントン米大統領、ウクライナのクチマ大統領、メージャー英首相 プーチンは2000年に大統領初就任
もともと核保有国だったウクライナは、ブダペスト覚書を信頼して核放棄を決断した。結果的に、無防備になったウクライナに突然ロシアは侵攻した。プーチンは「ブダペスト覚書は、機能しない」と、トランプ氏から裏が取れていたからだと筆者は見ている。それが証拠に、米国は、長い事ロシアのクリミア併合に特に異論を唱えず、今回の侵略に際しても、しばらくは傍観者の立場で、戦っても不利だから、ロシアの要求に沿って領土を分割したらどうだという態度だった。ロシアが核使用に言及する今に至るも、ブダペスト覚書を全く無視した大国ロシアを責めることなく、覚書の安全保障だけは行うと言うトランプ氏のこれまでの態度は、余りに身勝手で在り、大国として品格にも欠けている。トランプ政権に、軍事専門家の居ない事も欠点だろう。この戦争の終結は、ウクライナを勝たせるしか方法は無いのだ。それも、現在の防衛ラインが破られる前に、早急にしなければ、問題は複雑化、長期化するだけだ。 前大戦でナチスの敗北を決定的にしたのは、ノルマンディー上陸と言う奇襲作戦だった。 参照記事 参照記事 参照記事 過去ブログ:2025年8月訪日のドイツ外相、痛烈な中国批判と日本のウクライナ外交を称賛:映像記事:“ブチャでの市民虐殺はフェイク” ロシア最大の嘘を暴く決定的映像と証言:

