
アサド(Bashar Assad)前大統領は昨2024年末、HTS率いる反体制派による電光石火の攻勢に対応できず、ロシアに逃亡。これにより、50年にわたるアサド一族の独裁に終止符が打たれた。それ以来、シャラア(Ahmed al-Sharaa、通称ジャウラニ)氏が暫定政府を率い、2025年3月10日、戦闘が継続していた北西部ラタキア県とその周辺における軍事作戦を終了したと発表した。米政府はシャラア氏に対する1000万ドルの報奨金を解除している。英文記事 英文記事 図の右が、シリア内の宗派分布、左が、シリア暫定政府軍支配地、及びその他の勢力。白い砂漠地帯に、イスラム国(IS,ISIS)の残党や、北部にはクルド軍(SDF)支配地や、北部国境沿いにはトルコ支援の反政府組織の存在がある。いづれも、2025年2月~3月の資料。
サウジのサルマン皇太子(Crown Prince Mohammed bin Salman)が会談を仲介し、トランプ(Donald Trump)米大統領が2025年5月14日、サウジアラビアの首都リヤドでシリア暫定政府のシャラア大統領と会談した。両国の首脳が会談したのは25年ぶり。
トランプ氏は前日13日、アサド政権時代に科したシリアへの制裁を緩和し、関係正常化に向けた取り組みを開始すると表明し、シリアでは13日夜、トランプ氏の制裁緩和発表を祝う人々が街頭に繰り出し、歓声を上げ、花火を打ち上げた。
シャラア氏はかつてのアルカイダ系組織「タハリール・アルシャーム機構(HTS)」の元指導者であり、シリアは今も国連の制裁下にあり、トランプ氏もまだシリア暫定政府を承認しておらず、制裁も維持している。シリアは欧米諸国に対し、アサド政権時代に科した制裁の解除を求めている。
トランプ氏は会談後、大統領専用機エアフォース・ワンの記者団に対し、シリア内戦に参戦する前、イラクで米軍と戦う反政府勢力に加わっていたシャラア氏を「若くて魅力的な男」と称賛。
一方、シリアと国境を接するイスラエルのネタニヤフ政権はトランプ氏に対シリア制裁を緩和しないよう繰り返し呼びかけていた。今回の決定はパレスチナ・ガザ地区で戦争が激化する中、ホワイトハウスとイスラエル政府との間で不満が高まっていることを改めて浮き彫りにした。参照記事 過去ブログ:2025年3月シリアの残存化学兵器と麻薬製造>クルドSDFが暫定政権に統合:、、、、まだまだ、国家の体裁が揃うまでには時間が掛かるのでは?互いに国境を接するイスラエルとの問題や、米国支援のクルド軍の存在、また、旧シリア軍の残党が国外に相当数いるとも想像でき、相当数がレバノンに潜伏していると個人的に見ている。地中海側に港湾や空軍基地を構え、アサドの亡命を受け入れたロシアとの今後の関係も不明確だ。国内外の戦争避難民は1400万人とも言われていた。

