2024年12月16日_uFF0F米フロリダ州、トランプ次期大統領(AP通信)米国トランプ(Donald Trump)次期大統領は2024年12月16日、NATOの同盟国であるトルコがシリアの旧アサド政権崩壊を後押ししたという考えを示し、旧アサド政権の崩壊を「トルコによる非友好的な乗っ取り」と評した。アサド(Bashar Assad)前大統領は先週、タハリール・アルシャーム機構(HTS)率いる反体制派による電光石火の攻勢に対応できず、ロシアに逃亡。これにより、50年にわたるアサド一族の独裁に終止符が打たれた。

2024年12月13日_uFF0Fトルコ、イスタンブートランプ氏は会見の中で何度もトルコを称賛した。「トルコは非常に賢いと思う。トルコは多くの人命を失うことなくシリアを占領した。私はアサドが虐殺者であると断言する。あいつはとんでもない奴だ...」トルコは長年に渡って、旧アサド政権と敵対する反体制派のひとつであるシリア国民軍(SNA)を支援してきた。SNAは北西部に拠点を置き、HTSとは全く異なる組織で、「自由シリア軍 :Free Syrian Army(FSA)」と表記される場合もある。過去ブログ:2024年12月シリアでロシア軍がイスラム系反政府組織や病院を空爆:写真は、2024年12月13日/トルコ、イスタンブール、シリアの新体制移行を祝う人々(AP通信)旗は、SNA/FSAの物。シリア国旗は二つ星。

米政府も内戦が勃発して以来、過激派IS(ISIS)残存兵掃討を理由に、クルド人自治区民兵組織「シリア民主軍(SDF)」に支援を提供してきた。SDFは米政府の支援を受け、シリアにおけるイスラム国IS(ISIS)との戦いで主導的な役割を果たしてきた。シリア北東部には現在、約900人の米兵が駐留している。

トランプ氏は前政権時代、この撤退を求めていたが、同盟国の反対を受け、撤退を見送っていた。記者から「撤退を求める方針に変わりはないか?」という質問を受け流し、「トルコがシリアを良い方向に導くだろう」と主張した。またトランプ氏はシリアの未来に「興味がない」と述べ、「誰も知らないし、私はかかわらない」と述べた。参照記事 参照記事 に加筆 

5fa063527875642fa60e0d76b7394e9c、、、ウクライナ戦争で仲介しようと言うトランプ氏にとっては、今はロシアを刺激しない方針か?米国が出来なかったアサド政権崩壊で、トルコを持ち上げるのはバイデン政権への当て付けか?もっとも、今後のシリアのがどうなるかは誰もまだ読める状態では無いだろう。トランプは一番最初に逃げを打ったが、イスラエル、イラン、ロシアの意向がはっきりしない。反政府側は、シリア政府軍への報復で湧き上がる国民のバイアス(bias:偏(かたよ)りや偏見、先入観)をどう治め、隠された国庫財源を奪還するのに当分は忙しいだろう。

שדות-הנפט-והגזFINAL-1024x496images hhhjその経過で、内部分裂や部族対立の可能性も十分にあるだろうし、逃げたシリア政府軍の一部はイラク領内に居る。イランは経済回復の見通しが無く、国民は貧困にあえぎ、電力不足で停電が続き、余裕はないだろう。イラクは米軍と組んでIS掃討を続けており、他国の事まで手が回らないだろう。

右図のピンク色、クルド人の分布も無視できない。領土を持たないクルド人が、シリア内に領土を求める可能性、資源獲得の対立もあるだろう。問題点が余りにも多く、いづれも複雑だ。参考:シリア内原油。ガス分布

FireShot Webpage Screenshot #1059 - 'カタール上の左にシリアの天然ガスや原油採掘場所の分布図を載せたが、近年のウクライナ紛争で欧州各国の天然ガス不足は深刻であり、トルコは、ペルシャ湾の天然ガス大国カタールからのガスを、シリア経由のパイプで自国に引き込み、欧州への安定したガス供給を狙っているとも言われている。過去に実現間際だったプロジェクトだが、シリアに過激派が侵攻し中止になったままだ。カタール政府とトルコ政府は政治と経済の両面で結び付きがある。これを考え合わせると、カタールのガスがトルコに渡る場合、それはすなわちカタールが欧州への販路を得るとともに、トルコが安定した新たな供給先と市場を見出す事になる。シリアの復興に於いて、資源供給、輸出は重要なポイントとなる。シリアは、資源国に囲まれているのだ。

indexjjき2018年のカタール政府によるガス輸出計画は、イラン=カタール共同の北パールス(ノースフィールド)・ガス田を始点にイラク領内およびシリアのアレッポAleppoを経由してトルコまでパイプラインを渡し、そこから欧州へガスを輸送する、というものだった。ところが当時のアサド氏は、イラン・ロシアへの依存を深めることからこのカタールの提案を蹴ってしまった。参照記事 



nappi11 at 00:02│Comments(1) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

コメント

1. Posted by 甲東   2024年12月19日 07:30
トルコ外相がシリア新政権に、クルド問題に早く対応せ-、と言ったと。
いらちのテュルク、のんびりアラブということなんでしょう。トルコが地域大国になった理由かも。新政権は、クルドとの連邦制は無いとは言っている。

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