2024年12月13日:シリアの首都ダマスカスDamascusに注目が集まるなか、イスラエル軍は今週、シリア各地の数カ所を攻撃し、同国の戦略兵器備蓄の大部分を破壊した。イスラエルは対空砲台、軍用飛行場、兵器生産施設、戦闘機、ミサイルなど500カ所近くの標的を攻撃した。さらに、ミサイル艦はシリア海軍艦艇15隻が停泊していたアルバイダ港Al-Bayda(Bayda) portとラタキアLatakia port港のシリア海軍施設を攻撃した。右図は、イスラエルが空爆したと言われる地点。Qamishliの北側にはシリア政府軍の空軍基地がある。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、反政府勢力の戦闘員(ヒズボラHezbollah)の手に武器が渡らないように爆撃作戦を許可したと述べた。イスラエル地上軍も占領下のゴラン高原 Golan Heights(1967年よりイスラエルが実効支配)の奥深くまで移動し、実質的に占領を拡大し、すでに、これまで非武装緩衝地帯:国連監視区域(Demilitarized buffer zone:Zone under UN observation;左図濃い茶色)だった場所をイスラエル軍が占領、10日にはダマスカスから20~25km南西にあるカタナーQatana近郊までイスラエル軍が侵攻したと報道された。国連は、これはイスラエルとシリアの間の1974年の軍事離脱協定への違反であると主張している。これまで、1974年の停戦協定で「非武装緩衝地帯」が設けられ、そこに駐留する「国連兵力引き離し監視隊」を間に挟む形で、イスラエル軍とシリア軍が直接対峙しない状態が続いていた。イスラエルは一時的と言うが、火事場泥棒的行為とも言われている。右は、ゴラン高原の緩衝地帯に陣取るイスラエル軍
一方で、シリアのHTS主流の反政府組織の兵士らからは、イスラエルに侵攻し、ガザ地区を解放するとの声が出ている。パレスチナ人が、同じイスラム教スンニ派であり、同胞を救うと言う感情からだろうが、政治的には、それが新たな紛争を生むのは容易に想像できる。 英文記事 英文記事 参照記事 過去ブログ:2024年12月新政権発足の際のカギはトルコとHTSのレバント解放 イスラエル侵攻:12月エルドアン大統領、反政府軍はダマスカスを目指す>ダマスカス陥落:11月続くイスラエルの空爆に、ヒズボラは徹底抗戦;
、、、、今見えている事を並べただけでも混乱状態のシリアで、今後新たな紛争が起きるだろうと想像されるが、他にも、シリア内に残存する過激派ISの動向や、北部の米国が支援するクルド人勢力SDFの今後の出方など、多くの未知数の懸念材料が在る。
一説には、アサド政権の弱体化は原油収入の減少が原因とも言われ、大きな油田を保有するクルド人支配地域と新政権との間で領土問題の起きる可能性もあるだろう。
また、シリアの混乱が、ヨルダン、イラク、イラン、レバノン、トルコを更に不安定化させるだろうとの憶測も出ている。また、市民虐殺の首謀者アサドの亡命を受け入れたロシアの対応が、今後世界から非難されるだろう。 2025年はさらに混乱の年になるのだろうか?参考映像記事:72種類の拷問 10万人が“行方不明” シリア「絶滅収容所」の生存者を独自取材:アサド政権崩壊でシリアの刑務所の実態が明らかに…:ジャウラニ氏率いるシリアの"懸念" アサド政権崩壊で変わる「世界地図」:刑務所での捜索:
、、、刑務所では、2011年から2021年にかけて、104000人以上が殺害、または死亡したと言われている。政権崩壊でいろんな事実が浮上しているが、アサド政権が資金稼ぎに大量のフェンタニル系の麻薬薬物を製造していた事実も浮上している:映像 映像記事 映像記事。製造所はシリア国内に多く点在し、アサド政権がこれで国家財政を補てんしていたのは以前から言われており、それがレバノンのヒズボラを経由して、麻薬組織の巣窟であるレバノンから世界中へ密輸されたのだろう。アサドを保護したプーチンは当然知っているだろう。ハマス、ヒズボラの資金源が麻薬密輸なのも知られた事実だ。 映像記事:『中東情勢まとめ』 シリアの首都ダマスカスで大規模な爆発/イスラエル軍の一部、レバノン南部から初めて撤退:
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、反政府勢力の戦闘員(ヒズボラHezbollah)の手に武器が渡らないように爆撃作戦を許可したと述べた。イスラエル地上軍も占領下のゴラン高原 Golan Heights(1967年よりイスラエルが実効支配)の奥深くまで移動し、実質的に占領を拡大し、すでに、これまで非武装緩衝地帯:国連監視区域(Demilitarized buffer zone:Zone under UN observation;左図濃い茶色)だった場所をイスラエル軍が占領、10日にはダマスカスから20~25km南西にあるカタナーQatana近郊までイスラエル軍が侵攻したと報道された。国連は、これはイスラエルとシリアの間の1974年の軍事離脱協定への違反であると主張している。これまで、1974年の停戦協定で「非武装緩衝地帯」が設けられ、そこに駐留する「国連兵力引き離し監視隊」を間に挟む形で、イスラエル軍とシリア軍が直接対峙しない状態が続いていた。イスラエルは一時的と言うが、火事場泥棒的行為とも言われている。右は、ゴラン高原の緩衝地帯に陣取るイスラエル軍
一方で、シリアのHTS主流の反政府組織の兵士らからは、イスラエルに侵攻し、ガザ地区を解放するとの声が出ている。パレスチナ人が、同じイスラム教スンニ派であり、同胞を救うと言う感情からだろうが、政治的には、それが新たな紛争を生むのは容易に想像できる。 英文記事 英文記事 参照記事 過去ブログ:2024年12月新政権発足の際のカギはトルコとHTSのレバント解放 イスラエル侵攻:12月エルドアン大統領、反政府軍はダマスカスを目指す>ダマスカス陥落:11月続くイスラエルの空爆に、ヒズボラは徹底抗戦;
、、、、今見えている事を並べただけでも混乱状態のシリアで、今後新たな紛争が起きるだろうと想像されるが、他にも、シリア内に残存する過激派ISの動向や、北部の米国が支援するクルド人勢力SDFの今後の出方など、多くの未知数の懸念材料が在る。
一説には、アサド政権の弱体化は原油収入の減少が原因とも言われ、大きな油田を保有するクルド人支配地域と新政権との間で領土問題の起きる可能性もあるだろう。
また、シリアの混乱が、ヨルダン、イラク、イラン、レバノン、トルコを更に不安定化させるだろうとの憶測も出ている。また、市民虐殺の首謀者アサドの亡命を受け入れたロシアの対応が、今後世界から非難されるだろう。 2025年はさらに混乱の年になるのだろうか?参考映像記事:72種類の拷問 10万人が“行方不明” シリア「絶滅収容所」の生存者を独自取材:アサド政権崩壊でシリアの刑務所の実態が明らかに…:ジャウラニ氏率いるシリアの"懸念" アサド政権崩壊で変わる「世界地図」:刑務所での捜索:
、、、刑務所では、2011年から2021年にかけて、104000人以上が殺害、または死亡したと言われている。政権崩壊でいろんな事実が浮上しているが、アサド政権が資金稼ぎに大量のフェンタニル系の麻薬薬物を製造していた事実も浮上している:映像 映像記事 映像記事。製造所はシリア国内に多く点在し、アサド政権がこれで国家財政を補てんしていたのは以前から言われており、それがレバノンのヒズボラを経由して、麻薬組織の巣窟であるレバノンから世界中へ密輸されたのだろう。アサドを保護したプーチンは当然知っているだろう。ハマス、ヒズボラの資金源が麻薬密輸なのも知られた事実だ。 映像記事:『中東情勢まとめ』 シリアの首都ダマスカスで大規模な爆発/イスラエル軍の一部、レバノン南部から初めて撤退:
コメント
2. Posted by 甲東 2024年12月13日 09:13
エルドアンがブリンケンに、テロリストは潰す、とあらためて言った。
トルコとしては、クルドはハサカより北東側に引っ込め、かも・・・何ならイラクにくれてやる。イラクのクルドに吸収されろ。知らんけど。
トルコとしては、クルドはハサカより北東側に引っ込め、かも・・・何ならイラクにくれてやる。イラクのクルドに吸収されろ。知らんけど。
3. Posted by 甲東 2024年12月15日 06:06
シリアのクルドがイラクのクルドに泣きついたら、(トルコの)PKKと手を切れ、と言われたとか。本当なら面白いが・・・でも、一応シリア内も戦闘は多少一段落のような。火事場泥棒のイス以外は。裏にいるパトロン国共々滅茶苦茶な連中。
4. Posted by 甲東 2024年12月15日 07:40
イラクのクルドの街にアルビル、スレイマニアがある。最近の写真を見ると笑ってしまうくらい立派になっている。イスも相当投資をしているらしい。トルコ経由で油をもらっているからか。
一度、シリアのクルドの見学ツアーを組んでみたらどうだろう。右手に見えますのが・・・
一度、シリアのクルドの見学ツアーを組んでみたらどうだろう。右手に見えますのが・・・
新政権の主流にとってクルドは2の次かも知れない。まともな官僚が十分いるのだろうか。食料、油は・・・トルコだけで無く、湾岸も引き入れるか。まずはカタールかな。