19a564e4トルコのレセプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は、ダマスカスを反政府組織・ヘイアト・タハリル・アル・シャム(HTS)および自由シリア軍FSAの最終標的として設定し、イスタンブールのウスダール地区にあるHZアリモスクで2024年12月6日金曜日の祈りを行った後、自身の期待を概説し、「イドリブIdlib、ハマHama、ホムスHoms、そして今、もちろん、究極のターゲットはダマスカスDamascusです」と述べた。
1-RTXZ13M12月7日の時点で、エルドアンのジハード(聖戦)Jihad主義者はダマスカスの北に位置するホムスHoms市を標的にしていたが、すでに南部軍はアサド政権の首都に近づいている。(左の地図では、南部軍がダマスカス近郊に到達している  南部軍映像)。現在、アサド政権(左地図上の赤)は、北のトルコとの国境でラタキアLatakiaから始まり、南端のダマスカスを通過する地中海沿岸の西シリアの路線に押し込まれていると言う。
Screenshot_2024-12-07_at_15.10.29ロシアは、アサド政権によってまだ保持されているフメイミン(フメイミム)地域Khmeiminに航空基地を持っているが、イランとイランの代理軍、およびロシアはこれまでアサド政権への十分な支援を提供できていない。一方シリアの内務大臣は、州のテレビで、ダマスカスの周りには誰も通り抜けることができない「非常に強い軍事線」があると言っている。12月7日、ロシア、イラン、トルコの外務大臣は、アスタナ協議の一環としてドーハで会議を開催したが、会議から特に注目すべき点はなかったと言われる 参照記事

FireShot Webpage Screenshot #1789 - 'Taking S、、、この記事は反政府側優勢で、シリア政府軍は首都を放棄したかの様に書いている。アルジャジーラは関係者の話しとして、「アサド氏は7日午前の時点でダマスカスにとどまっている」と報じ、HTSの最高司令官は7日の声明で、「兵士たちはダマスカスとホムスの端におり、政府の崩壊は近い」と主張したと書いている。同司令官は「我々はダマスカスとホムスの端に到達した。政権崩壊は目前に迫っている...」「諸君。諸君が立ち入る都市や村々で一般市民に接するときは慈悲深く、やさしくするよう、改めて呼びかける...」と述べ、正規軍(シリア政府軍)の兵士に対し、「武器を置き降伏すれば恩赦を与える」と約束した。参照記事 
20241207_BLP703、、、過激派の言う恩赦など、政府軍の誰も信用しないだろう。例え政府軍兵士が降伏して街に出ても、市民弾圧を重ねた彼らは市民からリンチに遭うのでは、、。それほどに政府軍は残虐だった。この記事には「エルドガンのジハード主義者は前進を続け、ヨルダンとの国境でシリア南部に位置する米国支援の自由シリア軍(FSA)は、南方向から他の派ionsとともに攻撃を開始し、ダマスカスも標的にしました。」とある。現地映像記事では、ダマスカス陥落を報じる速報も出始めた。 過去ブログ:2024年12月シリアの今:12月シリアでロシア軍がイスラム系反政府組織や病院を空爆

FireShot Webpage Screenshot #1788 - 'Taking Syria2024年12月8日8日日曜日の早朝、シリア反政府勢力は首都ダマスカスを占領し、バシャール・アル・アサド大統領が国外に逃亡したと発表した。映像「シリアの首都ダマスカスが軍事的に陥落してシリアのアサド政権が崩壊! イラクに逃亡したシリア政府軍」、、、映像では、シリア政府軍は反撃もそこそこに列を組んで隣国イラクへ逃げ込んだ。アサド大統領一家と側近は逃亡し行方は不明だが、12月7日にプライベートジェットでFireShot Capture 299 - シリアの首都ダマスアラブ首長国連邦UAE(首都Abu Dhabi)へ逃亡し,金塊が運ばれたとの報告もある。その他、イラン、ロシアも逃亡先として名前が挙がっている。金塊だけUAEへ? 英文記事

今回の反政府側躍進の流れを図(アルジャジーラ掲載を引用)にすると右上図の様に、僅(わづ)か10日ほどでアサド政権は崩壊し、79835a1c-sシリア政府軍は、アラウィー派の多い地中海に面した地域に孤立した。図中の濃いグレーは過激派IS(ISIS)の所在地とされる。

右の宗派分布図のラタキアLatakiaのある緑の地域は、アサド政権の支持母体であるイスラム・シーア派に起源を持つアラウィー派Alawiteが占めている。アサド家(アサド大統領)は、アラウィー派の出身で、 同政権はこの派の出身者で固められていた。過去にリビアのカダフィ政権、イラクのフセイン政権の崩壊を追ったが、これほどの急展開は目にした事が無い。真偽は不明だが、長年支援していたプーチンが、武器を放棄して退散したシリア政府軍に激怒したとも伝えられている。過去ブログ:2019年5月シリアの戦況2019年5月とシリアの宗派別分布と部族>戦況悪化

FireShot Webpage Screenshot #1790 - 'イスラエル首相golan-heights-israel-syria-mapスラエルのネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は12月8日、シリアの争乱を受け、イスラエル軍の占領が続くゴラン高原Syria’s Golan Heightsの非武装緩衝地帯a demilitarized buffer zone(左図のシリア側赤茶地域)を確保したと明らかにし、混乱に乗じてヒズボラやハマスが化学兵器を入手できないように、シリア内の武器庫、製造施設を空爆している。

イスラエルは1967年の第三次中東戦争でゴラン高原をシリアから奪い取り、合わせてガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸地区、東エルサレムを占領した。写真の少女は、ダマスカスでアサド政権崩壊を喜んでいると説明があるが、イスラエルの動きは、新たな領土紛争を招きかねない。少女たちは、まだ戦争の悲惨さを知らないだろう。 参照記事 

2024年12月9日:BBCは9日、アサド一家はモスクワに居ると報じるも、確認できていないとした。参照記事 ロシア国営タス通信はクレムリン(ロシア大統領府)の情報筋の話として、アサド氏はロシアへの亡命を認められていたと伝えた。参照記事 

AFP__20150709__Mvd6698668__vアメリカは民主化を求めてアサド政権の打倒を掲げた反政府勢力を支援する方向だが、現地8日、混乱に乗じての台頭を懸念しシリア国内の過激派組織「イスラム国:IS,ISIL (ISIS)」の拠点等75か所以上を空爆したほか、イスラエルもシリア国内のシリア、イランの軍事施設を空爆し、バイデン大統領は現地時間8日、「シリアの人々にとってより良い未来を築くための歴史的な機会だ」と強調する一方で、「次に何が起こるのか、リスクと不確実性の瞬間でもある」と指摘した。

一方、来月就任するトランプ次期大統領は、シリア情勢をめぐって7日、SNSに投稿し「アメリカは関わるべきではない。これはわれわれの戦闘ではない。巻き込まれるな」と主張した。イスラエルのネタニヤフ首相は、「アサド政権の後ろ盾だったイランやヒズボラへの我々の強硬策がアサド政権崩壊につながった」と強調した。参照記事 参照記事 写真はA US Boeing B-52資料写真。空爆は、過激派に武器が渡らせない措置としている。映像:シリア、ロシア、ウクライナ、北朝鮮の現状を一括解説英国紙The SUNの分析と予測 翻訳機能で読める:、、、シリアへ巨額投資をしてきたロシア、イランは中東での影響力を失墜させ、イランはレバノンのヒズボラ支援が困難になり、イスラエルが勢いづく、、。



nappi11 at 00:02│Comments(6) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

コメント

1. Posted by 甲東   2024年12月09日 05:10
アサド一家はロシアに到着し、シリア首相ジャラリ(学者上がり)はシリアに残ったと。一応、丁重に扱われているらしい。暫定首相という話も。
全てこれからですね。
ところで、クルドの拠点の一つ、マンビジュへの攻撃はトルコも加わって続いている。
2. Posted by 甲東   2024年12月09日 05:55
イスも好き放題攻撃しているようです。アメリカの手先でもあるのでしょう。
怪しげな建物は全て潰せ、か。火事場泥棒と言う。
しかし、クルドはどうする積もりだろう。大魔神と心中するのかな・・・危ないヨ。
3. Posted by 甲東   2024年12月09日 07:10
アラウィー派が多い西海岸も一見平穏に制圧されたようです。

日本では、アサド礼賛の学者やジャーナリストは云々、と言ってしきりに非難が飛んでいる。そうかなー、反アサドの学者、ジャーナリストより遙かに冷静に分析していたが。直ぐ白目をむくおとろしい界隈です。
4. Posted by 甲東   2024年12月09日 15:24
反体制派が、シリアにあるロシア軍基地の安全を保証する、と言ったと。本当ならトルコが裏にいると感じる。今、基地の存続についてトルコとロシアが綱引きをしているかも。ウの停戦交渉にも繋がるだろうか。西欧が喜ぶようなことはしないか。
本来はクルドにジャブを食らわせる積もりだけだったが、あっさりアサドにクロスカウンターが入ってしまったか・・・

あらまっ、ネタがゴラン高原をもらう、と発表したと。泥棒―――
5. Posted by 甲東   2024年12月10日 05:51
新政権がクルドのマンビジュを一応制圧したような。ユーフラテス西岸まで行きそう。
今は全土が不安定故、新政権軍も分散しているだろう。もう少し落ちついたら全力でクルドに当たるかどうか・・・武力で行くか、アメリカ、クルドと交渉か。後者なら大したもの。
イスもクルドを爆撃している。手当たり次第か。
6. Posted by 甲東   2024年12月10日 15:26
しかし、イスがバカスカ爆撃しても欧米はほぼ騒ぎませんね。アホらしい。
その内、新政権壊滅か。

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