




2024年12月8日:8日日曜日の早朝、シリア反政府勢力は首都ダマスカスを占領し、バシャール・アル・アサド大統領が国外に逃亡したと発表した。映像「シリアの首都ダマスカスが軍事的に陥落してシリアのアサド政権が崩壊! イラクに逃亡したシリア政府軍」、、、映像では、シリア政府軍は反撃もそこそこに列を組んで隣国イラクへ逃げ込んだ。アサド大統領一家と側近は逃亡し行方は不明だが、12月7日にプライベートジェットで
アラブ首長国連邦UAE(首都Abu Dhabi)へ逃亡し,金塊が運ばれたとの報告もある。その他、イラン、ロシアも逃亡先として名前が挙がっている。金塊だけUAEへ? 英文記事
今回の反政府側躍進の流れを図(アルジャジーラ掲載を引用)にすると右上図の様に、僅(わづ)か10日ほどでアサド政権は崩壊し、シリア政府軍は、アラウィー派の多い地中海に面した地域に孤立した。図中の濃いグレーは過激派IS(ISIS)の所在地とされる。
右の宗派分布図のラタキアLatakiaのある緑の地域は、アサド政権の支持母体であるイスラム・シーア派に起源を持つアラウィー派Alawiteが占めている。アサド家(アサド大統領)は、アラウィー派の出身で、 同政権はこの派の出身者で固められていた。過去にリビアのカダフィ政権、イラクのフセイン政権の崩壊を追ったが、これほどの急展開は目にした事が無い。真偽は不明だが、長年支援していたプーチンが、武器を放棄して退散したシリア政府軍に激怒したとも伝えられている。過去ブログ:2019年5月シリアの戦況2019年5月とシリアの宗派別分布と部族>戦況悪化:
スラエルのネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は12月8日、シリアの争乱を受け、イスラエル軍の占領が続くゴラン高原Syria’s Golan Heightsの非武装緩衝地帯a demilitarized buffer zone(左図のシリア側赤茶地域)を確保したと明らかにし、混乱に乗じてヒズボラやハマスが化学兵器を入手できないように、シリア内の武器庫、製造施設を空爆している。
イスラエルは1967年の第三次中東戦争でゴラン高原をシリアから奪い取り、合わせてガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸地区、東エルサレムを占領した。写真の少女は、ダマスカスでアサド政権崩壊を喜んでいると説明があるが、イスラエルの動きは、新たな領土紛争を招きかねない。少女たちは、まだ戦争の悲惨さを知らないだろう。 参照記事
2024年12月9日:BBCは9日、アサド一家はモスクワに居ると報じるも、確認できていないとした。参照記事 ロシア国営タス通信はクレムリン(ロシア大統領府)の情報筋の話として、アサド氏はロシアへの亡命を認められていたと伝えた。参照記事
アメリカは民主化を求めてアサド政権の打倒を掲げた反政府勢力を支援する方向だが、現地8日、混乱に乗じての台頭を懸念しシリア国内の過激派組織「イスラム国:IS,ISIL (ISIS)」の拠点等75か所以上を空爆したほか、イスラエルもシリア国内のシリア、イランの軍事施設を空爆し、バイデン大統領は現地時間8日、「シリアの人々にとってより良い未来を築くための歴史的な機会だ」と強調する一方で、「次に何が起こるのか、リスクと不確実性の瞬間でもある」と指摘した。
一方、来月就任するトランプ次期大統領は、シリア情勢をめぐって7日、SNSに投稿し「アメリカは関わるべきではない。これはわれわれの戦闘ではない。巻き込まれるな」と主張した。イスラエルのネタニヤフ首相は、「アサド政権の後ろ盾だったイランやヒズボラへの我々の強硬策がアサド政権崩壊につながった」と強調した。参照記事 参照記事 写真はA US Boeing B-52資料写真。空爆は、過激派に武器が渡らせない措置としている。映像:シリア、ロシア、ウクライナ、北朝鮮の現状を一括解説:英国紙The SUNの分析と予測 翻訳機能で読める:、、、シリアへ巨額投資をしてきたロシア、イランは中東での影響力を失墜させ、イランはレバノンのヒズボラ支援が困難になり、イスラエルが勢いづく、、。
コメント
怪しげな建物は全て潰せ、か。火事場泥棒と言う。
しかし、クルドはどうする積もりだろう。大魔神と心中するのかな・・・危ないヨ。
日本では、アサド礼賛の学者やジャーナリストは云々、と言ってしきりに非難が飛んでいる。そうかなー、反アサドの学者、ジャーナリストより遙かに冷静に分析していたが。直ぐ白目をむくおとろしい界隈です。
本来はクルドにジャブを食らわせる積もりだけだったが、あっさりアサドにクロスカウンターが入ってしまったか・・・
あらまっ、ネタがゴラン高原をもらう、と発表したと。泥棒―――
今は全土が不安定故、新政権軍も分散しているだろう。もう少し落ちついたら全力でクルドに当たるかどうか・・・武力で行くか、アメリカ、クルドと交渉か。後者なら大したもの。
イスもクルドを爆撃している。手当たり次第か。
その内、新政権壊滅か。
全てこれからですね。
ところで、クルドの拠点の一つ、マンビジュへの攻撃はトルコも加わって続いている。