

ストックホルム大学の研究者(今回の発見にはかかわっていない)によると、氷河期時代の動物の大多数は、皮膚などがなくなって骨と歯だけが残った状態で発見されている。今回のサイのように毛皮や皮膚が残っているのは1万回に1回程度だという。
学術誌に発表された論文によると、毛の生えたサイは背中に大きな脂肪のこぶがあり、毛の色は成長につれて変化していた。毛が生えたサイはシベリア東部に3万年以上前に生息していた。当時の草食動物としては毛の生えたマンモスに次ぐ大きさで、草原の草を食(は)んでいたと推定され、頭には2本の角があり、そのうち1本は非常に大きく、刃のような独特の形状だった。
背中のこぶは最も高い部分で13センチあり、中には脂肪が詰まっていた。薄茶色の毛皮の下には、もっと明るく柔らかい層があった。毛の色はほとんどブロンドといえるほど明るく、研究チームは年齢の違う標本と比較した結果、若いサイは成熟するにつれて毛の色が濃く、粗くなると結論付けた。
ロシアの研究チームがミイラ化したサイをシベリアの河川敷で発見したのは2020年8月。一時的に解凍して毛皮と皮膚、こぶの標本を採取した。体の右側は凍土で保全されて良好な状態で残っていたが、左側は損傷が激しく、天敵の餌にされたと研究チームは見ている。内臓はむき出しになり、腸はほとんどなくなっていた。参照記事 英文記事 英文記事