NATO加盟国のトルコが新興5カ国(BRICS)への加盟を熱望しているという報道について、同政府が2024年9月3日、事実であると認めた。BNNブルームバーグは2日、トルコが数ヶ月前に経済同盟BRICSへの加盟を正式に申請したと報じた。大統領府の報道官は3日、この報道について質問を受け、「エルドアン大統領Turkish President Recep Tayyip Erdoganは加盟を希望していると何度か言っていた」と答えた。また報道官は「この希望に関する進展は今のところないものの、我々の要求は明確である。トルコはBRICSを含むすべての重要な国際パートナーシップに参加したいと考えている」と強調したが、加盟を申請したかどうかには言及しなかった。
BRICSはブラジル、ロシア、インド、中国によって2006年に設立され、2010年に南アフリカが加盟した。サウジアラビアも加盟を検討中、アゼルバイジャンは正式に加盟を申請した。映像記事:アゼルバイジャンはBRICSへ、アルメニアは西側へ!:
BRICSはグローバル・サウスの声を増幅させることを目的としている。その創設4カ国は「より公正な世界秩序」と国連、国際通貨基金(IMF)、世界銀行といった国際機関の改革を求めている。過去ブログ:2023年11月中露主導BRICSオンライン臨時首脳会議で意見まとまらず:
エルドアン氏は以前から、トルコの外交政策をより独立したものにし、世界的な影響力を高めようとしてきた。トルコはEUとの加盟交渉が進展しないことに苛立っている。エルドアン氏は先週、「我が国は西側と東側の両方と同時に関係を発展させるべきだ」と述べていた。参照記事 過去ブログ:2024年2月トルコ、露がウクライナの新たな穀物輸出について協議へ:
別な見方では、長年にわたるエルドアン(Recep Tayyip Erdoğan)氏のさらなる権威主義化、終わる見通しのないクルド労働者党(PKK)との戦争などのトルコの国内的な問題が、NATOおよび西側とトルコとの関係の障害となって来た 英文記事。、、トルコのEU加盟が実現しないのには、トルコ側の内政に問題が在り、EU加盟を求めながら、すでにロシアとの貿易関係では積極策を取っている。
特に2017年のロシアのS-400対空ミサイルシステム購入の決定は米国とトルコの軍事協力の終わりを告げるもののように思われた。その頃、トルコとEUとの和解はほぼ完全に行き詰まっていた。これらの事がトルコをBRICS加盟に向かわせたとしても、EU,NATO諸国がトルコは無視するには、ロシアの中東と東地中海へのアクセスをボスポラス海峡によってコントロールしている
トルコは地理的な位置と地政学的な事実から見て重要過ぎ、好むと好まざるにかかわらず、今後も欧州の首脳はエルドアンと仕事をする必要があるだろう。トルコ側は、あくまでもBRICSは経済同盟で在り、反中露のG7の結束や軍事同盟NATOとは関係ないという意向の様だが、そう簡単に割り切れる話とは思えない。素人考えだが、今後色々矛盾と対立が生じると思うのだが、、、。
上下図内のトルコストリームは、ロシアからトルコ経由の欧州ハンガリー、イタリーへ向かう天然ガスパイプライン。 ロシアのプーチン大統領は2024年9月5日、ロシアはウクライナ経由で欧州連合(EU)への天然ガス供給を今後も続けるつもりだが、今年末で期限が切れる通過契約を更新するようウクライナに強制することはできないと述べ、もしウクライナがロシア産ガスの通過を拒否すれば、ロシアは黒海海底を通る輸送管「トルコストリーム」
で欧州にガスを供給することになる。しかし、プーチン氏は「ウクライナが通過を拒否すれば、(トルコストリームだけでは)欧州に入るガスの量は減ることになる」と指摘した。参照記事 過去ブログ:2024年7月バルト3国 ロシア電力網との接続遮断:2023年8月トルコの行動分析に見る特異性への警戒と付き合い方:、、、もし西側が今以上ロシアへの経済制裁を行なえば、天然ガスの不足から、特に南欧諸国が反発し、経済協力体制BRICSへの加盟に流れる可能性もあるのでは、、。侵略と制裁、資源不足が絡み、ウクライナ戦争はより複雑になるかも、、。上右図の赤い×は、現在供給停止である事を意味している。