2024年4月16日、上海の「シティショップ」(上海城市超市)は各店舗が一斉に廃止された。伝えられた「告知書」によると、「解散を決定し、2024年4月16日から上海の全店舗を閉店する」と在り、突然の閉店だった。上海の「シティショップ」は上海で最も賑わった高級スーパーだった。1995年の設立で、1999年に創業。上海市内の徐家匯、金橋、虹梅路などの繁華街・高級商業区で10店舗を構え世界各地のグルメを扱っており、輸入品が80%以上を占め、一時は上海も含む長江デルタで最大規模の輸入食品および日用品スーパーとなっていた。映像 参照記事
北京最大のショッピングモールだった「銀河SOHO」:左 が現地情報によると2024年8月上旬閉店したが、営業中もほとんど人がおらずテナントもなく閑散としていたようだ。「北京・銀河SOHO」は、イラクのザハ・モハマド・ハディッドが設計し、キャンセルした日本の国立競技場と同じく気持ちが悪いデザインで(人によっては好ましいのだろう)で、SF映画に登場するエイリアンの基地のような建物はスーパーとしての実用性はないが、奇抜な外観から世界のメディアで取り上げられ注目だけは浴びた。
同じく北京の大型ショッピングモールであるザ・プレースも閑散としていて誰も歩いておらず、常に客より店員の方が多く地面やガラスの反射だけが目立っている。店を歩いている少数の人は高齢者で、散歩コースとして店内を歩いてお茶や水を飲むだけなので売り上げにはなっていない。
上海や北京、広州、深センのような大都市の超大型ショッピングモールは2019年まで入りきらないほどの客であふれていたが、新型コロナの3年間ですべてが変化した。中国全土の大型モールはどこも閑散としていて人が歩いておらず、テナントも多くは撤退済みで運営会社は経営危機、ある日閉鎖されて入れなくなるパターンが多い 。コロナ後特にダメになったのは飲食店とファッションで、景気悪化で収入が減るとファッション支出はまっさきに減らされ誰も買わなくなった。
飲食は一見すると減らなさそうだがまず高級店が壊滅し、高級ではない店も壊滅し、その地域で最も安いカフェや格安定食屋だけが繁盛している。格安レストランと言っても半額とかではなく3元から10元(60円から200円)で食事ができるような通称「貧乏人セット」がヒットしている。
北京など多くの都市では以前はあった屋台や露店の外食店もなくなってしまい、おそらく城管(都市管理員)の弾圧と需要が減って儲からないので田舎に帰ったと思われる(露天商や屋台の多くは農村戸籍)。北京などの都市では露天商や屋台などの個人事業者を露骨に弾圧し、動画ではヤクザのような城管がチンピラのように店を破壊して公然と賄賂を要求している。城管は警察公認の暴力団で、警察が面倒がるもめ事を、体を張って荒っぽく鎮圧する。給与が無いので、賄賂を取るのが黙認されている。過去ブログ:2018年6月城管という名のチンピラ集団 中国:
過去の景気上昇のころ、資本力が大きい大型店ほど優遇されたため大都市は大型モールだらけになり、大型店を全国展開する企業は例外なく共産党や人民解放軍の息がかかっていて、幹部に共産党の親族が入り込んで優遇措置を受けている。市場原理や人々の行動や需要とは無関係に大型チェーンやモールが増えたが、現在、人々は長引く不況のために賃金が減り買い物ができなくなった。
大規模店でもあのアリババ実店舗や米ウォルマートがバタバタと閉店し、特にコロナ前に増えていた富裕層を相手にしていた店はすべて閉店した。カフェやレストランを開業しても1カ月に1人も客が入らず、赤字でイベントをネット告知するとその日だけ繁盛するが翌日はまた客ゼロで赤字だけが増える。
とどめを刺したのはコロナで、外出規制明けの景気回復を信じて借金して開店した中年店主が多い中、2023年春ごろに開店した店はすべて短期間で廃業し、北京だけで1年間で45万軒もの飲食店が閉店し、しかもこれは廃業を届け出た件数だけだった。企業が赤字なので北京のオフィスビルの空室率は22%(東京は3.3%)なのだが、中国の統計では「順調に成長している」事になっている。参照記事 、、、、正確な統計も無く、下駄をはかせたどころか、竹馬に乗ったような数値を基に経済目標を国が提示すると言う事は、全てがどんぶり勘定と言う事で、素人目にも、紙幣の輪転機がフル回転し、その結果のインフレ状態をいつまでも続けられるとも思えない。参考:中国「不動産バブル崩壊」で地方財政は火の車…手段を選ばない「理不尽すぎる徴税」の手口に開いた口が塞がらない:
中国の経済が低迷し、金融リスクが増大する中で、銀行業界は大きな打撃を受けている。リストラや減給に加えて、銀行の倒産も相次ぎ、中国政府の公式データによると、2024年の最初の5か月間で1,257の銀行支店が市場から退出し、前年同期比で30.4%増加している。映像 参照記事