中央アジアのトルクメニスタンとイランTurkmenistan and Iran が年間100億立方メートルのトルクメニスタン産天然ガスTurkmen gasをイランを経由しイラクに輸送する契約に調印した。トルクメニスタン外務省が2024年7月3日、明らかにした。それによると、イラン企業はトルクメニスタンのガス供給能力を拡大するため、イランに125キロのパイプラインを新たに建設する。イラクは昨年、輸入の約40%を占めるイラン産ガスの供給途絶に直面していた。右図は2022年6月23日豊富な天然ガスに恵まれた貧困の国:トルクメニスタン から引用 左図は
2024年3月の記事からの図では、トルコ、中国方面へのガスパイプラインが建設中(赤ライン)と分かる。トルコは最近、ロシア産ガスの買い入れを減少させる意向を表明し、2024年3月、トルクメニスタンと天然ガス分野での協力と炭化水素分野でのパートナーシップに関する覚書に署名した。
中国も、新たなロシアへのガスパイプライン「シベリアの力2」建設に難色を示しているのが確認されている。過去ブログ:過去ブログ:2024年5月プーチン、ハルキウ州側国境周辺に「安全地帯」設置を公言と中国の対応: 理由はそれぞれにしても、中国、トルコがロシア産天然ガスを敬遠し、トルクメニスタンが供給するカスピ海産天然ガスに切り替えている事が明確になった。ロシアがウクライナ戦争を継続する中、国際的経済制裁が強化されている事と無縁ではないだろう。参考:2024年3月トルクメニスタン、ガス欧州供給視野 トルコと予備合意:
アゼルバイジャン、カザフスタン、トルクメニスタンなどのカスピ海諸国は、ロシアを通らずにヨーロッパに輸出する場合はトルコを通る必要がある。左は、カスピ海に於ける周辺国の資源開発の権益の分布図。
さらには、イラン、イラクもトルコを経由せざるをえず、世界の天然ガスがどんどんトルコに結集してきている。一方で、ロシアとしてもウクライナルート、ドイツ直結ルートが使えなくなった今、天然ガスをヨーロッパに輸出しようとする場合は、トルコを経由せざるを得ないが、ウクライナ戦争がネックとなり、トルコが敬遠し、独自のカスピ海ルートに舵を切った。アゼルバイジャンからのカスピ海産ガスの引き込みは、2018年から始まっている。 参照記事 過去ブログ:2021年5月トルコで米国産LNG輸入増加の背景とカスピ海資源とEU:2018年6月カスピ海の天然ガス、トルコへの供給開始:
トルクメニスタンはイランへのガス供給量を年間400億立方メートルまで増やす計画だという。トルクメニスタンは世界で最も閉鎖的な国のひとつであり、1991年のソ連崩壊による独立以来、権威主義的な政権によって導かれてきた。また、トルクメニスタンは天然資源大国であり、ガスの販売収入に大きく依存している。国営メディアによると、同国はアフガニスタン、パキスタン、インドでもガスパイプラインを建設中である。参照記事 トルクメニスタンは、CISには加盟しているものの、CISのその他の経済と安全保障の枠組みには当初から一切参加せず、イスラム過激派勢力に対抗する中央アジア諸国の協力にも参加せず、建て前は全方位外交で、米国、西側とも一定の関係を維持している。プーチンが関係強化の為、イランの資源開発支援に協力した経緯もあり、トルクメニスタンは其れを利用し、ロシア西部へもガスを売り、その一部がウクライナへも供給されている。参考:ロシア中銀総裁、全力でインフレ抑制と強調 週間統計の急上昇で:ロシア中銀、制裁強化を懸念 中国銀が決済ためらいも:ロシア、民間企業の国有化1.7兆円 統制に実業界警戒:
2024年8月20日:中国紙が、ロシアからモンゴルを経由して中国へ向かう天然ガスパイプラインプリジェクト「シベリアの力2:Power of Siberia2」の計画がとん挫し、モンゴルも長期計画から除外したと映像記事が報じた。モスクワの要請に対し、中国は難色を示していたと言われていた。この種の計画は共同出資で通常行われるが、先行き不透明なロシア経済に対し中国が敬遠したか、或は、中国の経済低迷が要因かなど公表はされていないが、中国が大幅なガス価格の減額を要求しているのが大きな原因と言われている。すでにロシアのガスプロム社は、大赤字に転落している。映像記事
いいんじゃないだろうか。