米軍制服組トップのブラウン(Charles Q. Brown Jr.)統合参謀本部議長は2024年6月25日、アフリカ大陸で国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)系組織による暴力が拡大しつつあり、西側諸国の脅威になる恐れがあると警告した。ブラウン氏はボツワナで開催された米アフリカ国防級会合に出席。「ロシアの民間軍事会社ワグネル(Wagner)、テロ組織、国際犯罪集団などがアフリカで活動を活発化させ、地域の安全を脅かしている」と述べた。アフリカではこの数年、多くの国でクーデターが発生し、軍が政権を掌握。一部の国は西側との関係を断ち、ロシアに急接近している。ロシアは西側とアフリカ諸国の関係悪化に乗じて軍事政権の支配下に置かれる西アフリカのニジェール、マリ、ブルキナファソに戦闘員を送り込んでいる。
ロシアの傭兵部隊は米国やフランスが影響力を失う中、主に西アフリカで活動を活発化させ、軍政と共に民間人を巻き込みながらイスラム過激派を掃討しているが、他の民主国家は、米国が西アフリカ、ギニア湾、サハラ砂漠以南のサヘル地域Sahel region(東西方向に帯状に区切るサハラ砂漠の南側の周辺地帯)で猛威を振るう過激派を食い止められるかどうかを知りたがっている。
アフリカで米国とその同盟国の国防級会合が行われたのはこれが初めてで、米軍の統合参謀本部議長がサハラ砂漠以南の国を訪問したのは1994年以来、約30年ぶりであった。米国防総省はソマリアのアルカイダ系イスラム過激派アルシャバーブThe al Qaeda-linked al Shabaabとアルカイダ系組織JNIM(Jama'at Nusrat al-Islam wal-Muslimin)を最も資金力があり、最も規模が大きく、最も危険な組織とみなしている。
JNIMは軍政の統治下にあるマリ、ブルキナファソ、ニジェールで活動し、への進出を画策しているとされ、米国防総省によると、JNIMはベナンとトーゴを休息、療養、資金調達、武器収集の拠点として利用しているが、軍事拠点はまだ設けていない。
アルカイダ系過激派アル・シャバブはアルカイダとつながりのある過激派のひとつで、ソマリア南部と中部の大部分を支配し、首都モガディシュ近郊まで支配地域を拡大したとされる。米政府はアルシャバーブを「アルカイダ系列の最凶組織」と評している。参照地図
AP通信は米政府高官の話しとして、「アルカイダやISIS系組織は西アフリカとサヘルに重要な拠点を設置し、関係組織に対し、戦闘員の育成や指導を進めるよう指示を出している」と報じている。その中には身代金目的で欧米人を誘拐する方法、より優れた軍事戦術を学ぶ方法、ドローンから身を隠す方法、小型クワッドローター(無線操縦できる4モーターのマルチドローンコプター)を自作する方法などが含まれているという。参照記事
、、、、治安の不安定化がクーデターによる軍政の誕生を招き、その軍政が軍事部門の訓練、顧問にロシアの傭兵を招くと言う悪循環になっており、すでに米軍は西アフリカへの兵員派遣を中止、或は削減し、今は、東の民主国家ケニアと関係を強化している。アフリカの地域的なテロ組織の分布は右上の様になるが、これを、IS(ISIS)系、アルカイダ系、その混在した国の大雑把な分類にすると左のようになり、イスラム教国へのイスラム過激派の影響力influence,存在presence、浸透penetrationの分布が世界的なのが分かる。混在する地域等では、過激派間の武力対立やスンニ派、シーア派間の宗派対立、また、その国、地域の宗教との宗教対立も起きている。例えばケニアはキリスト教が85%を占め、インドは仏教国で、イランはイスラム教シーア派国家であり、ソマリアのアルシャバーブはアルカイダ系だが、少数のIS系も存在する。この複雑さが、治安維持を困難にしている。 参照記事 参照記事 過去ブログ:2024年6月不安定化ますアフリカで揺らぐ米国、押し寄せるロシア、中国…:2023年7月「ロシア・アフリカ首脳会議」でのプーチンの反応: *「イスラム教及びイスラム教徒の守護者」(JNIM)は、アルカイダの公式なマリ支部であると自称している。2017年、イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ・サハラ支部(Sahara
Branch of al-Qa’ida in the Islamic
Maghreb)、アル・ムラービトゥーン(al-Murabitoun)、アンサール・アル・ディーン(Ansar
al-Dine)、マシナ解放戦線(Macina Liberation Front)が合併してJNIMを結成した。参照記事
せめて、リビア、スーダンを仲間(親西側)に入れないと。それすらほぼ不可能。