イスラエル軍は2024年5月16日、パレスチナ自治区ガザ地区北部で、自軍の戦車の砲撃によって第202空挺(くうてい)大隊the 202nd Battalion of the Paratroopers Brigadeの兵士5人:右写真内 が殺され7人が負傷と発表された。昨年10月にイスラム組織ハマスへの攻撃を始めて以来、こうした事案での死者としては最多だという。初動調査の結果、戦車2台が、兵士が集まっていたジャバリアJabalia難民キャンプの建物に向かって攻撃したことが明らかになった。ニュース映像
イスラエル兵らはこの地域から撤退していたものの、ハマスが再集結しているとして今週から戻っていたという。イスラエル軍のウェブサイトによると、5月15日までに殺されたイスラエル兵のうち、15%にあたる44人の死因が「作戦上の事故」だとされている。このうち22人が「味方からの誤射」、5人が「不規則な発砲」、17人が武器などの「事故」で亡くなっている。イスラエル軍とハマスの軍事部門は共に、5月15日の段階で、ジャバリア難民キャンプと近郊のジャバリア市街地で戦闘が激化しているとしていた。
戦闘は南部ラファRafahでも激化している。ラファにはガザ地区の各地から逃れた100万人以上のパレスチナ人が避難していたが、10日前にイスラエル軍がラファでの作戦を開始して以降、60万人近くがラファから逃れているという。昨2023年年10月27日にガザ地区への地上作戦を開始して以降、イスラエル兵の犠牲者は278人に上っているこれとは別に、10月7日のハマスによる襲撃で殺された約1200人のうち、378人がイスラエル兵。ハマスはさらに、200人以上を人質として連れ去った。
北部で戦闘激化、飢饉の危険も:パレスチナ自治政府の通信社WAFAは医療関係筋の話として、イスラエルが北部ガザ市でも住宅を空爆し、子ども10人を含む民間人30人以上が殺されたと報じた。ジャバリアやガザ市をはじめとするガザ北部をめぐっては、イスラエル軍が1月にハマスの大隊を「解体」したと宣言。軍事行動を縮小した。その結果、権力の空白が生じ、ハマスの再建が可能になっていた。国連の世界食糧計画(WFP)によると、この地域に取り残されている推定30万人は、支援物資の供給不足から「深刻な飢饉(ききん)」に見舞われているという。
南部ラファでも戦闘継続:ガザ地区南部ラファでは16日、イスラエル軍の空爆で少なくとも5人が亡くなったと、WAFAは報じた。イスラエル軍は5月6日以降、「ラファ東郊とラファ検問所のガザ側の特定地域」でハマスに対する「精密な作戦」を行うとして、住民らに避難を命じている。しかし国連や西側諸国は、ラファへの全面攻撃は、民間人の多大な犠牲と人道的大惨事につながりかねないと述べている。イスラエルのヨアヴ・ガラント国防相は16日、ラファ作戦を継続し、「追加の兵士も市内に入る」と語った。 参照記事 英文記事 英文記事 映像:イスラエルはレバノンへも空爆継続:Israel Conducts Insane Precision Strike in Lebanon;レバノンのヒズボラHezbollahは、イスラエル領内北部のMetullah基地等へのロケット攻撃等で抵抗している。映像;Hezbollah Strikes IDF Base in Metullah With Rocket-Launching Drone: