
モード1の道具は、初めて発見されたタンザニア、オルドゥヴァイ渓谷の名にちなんで「オルドワン」と名づけられた。この道具は表面に簡単に加工が施されたシンプルな丸石の道具で、旧石器時代の200万~170万年前に使われていたことがわかっている。対照的にモード2の道具は同じ旧石器時代のものでも、少なくともふたつ以上の面に同じ加工が施されていて、モード1よりも全体的に洗練されている。およそ150万年前にはモード1と併用されていた証拠が見つかっている。いずれの道具もホモ・サピエンスが登場する前の時代につくられたものだ。


モード2の道具を使っていたヒト族の先祖は、およそ80万年前に東アジアに到達したとこれまで考えられていた。しかし、今回の発見によって110万年前にはモード2の道具を作っており、彼らは30万年も早くから存在していたことがうかがえる。
これにより、ヒト族が地球上でどのように広まっていったのか、これまでの理解を書き換える可能性が出てきた。 最初にやってきた彼らは、単独の孤立した入植者ではなかった。
遺跡から見つかった証拠によると、組織化された剥離技術や標準的な製作工程を使って、斧など道具の刃を作っていたことがうかがえ、モード2の道具を製作する産業全体が確立されていたことがわかる。製作途中で失敗した道具が捨てられた可能性もある。 彼らは熟練した道具職人で、学んだ技術を駆使して効果的な道具を大量に製造、再生産した。過去ブログ:2月120万年前の人類の先祖は黒曜石を加工 エチオピア:
これまで考えられていたよりもずっと早くに東アジアで高度な道具を作っていたという事実は、この地域での先史時代に関する私たちの理解全体を再評価する必要があることを意味する。参照記事 英文記事

