

西側の軍事同盟・北大西洋条約機構(NATO)加盟国のハンガリーの議会は
2024年2月26日、スウェーデンのNATO加盟を賛成多数で承認した。これで全加盟国が承認を終え、
32カ国目となるスウェーデンの加盟が決まった。2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻開始後、同様に加盟を果たしたフィンランドに続き、スウェーデンも長年の軍事的中立政策を大きく転換する。
スウェーデンの加盟決定により、バルト海に面する国はロシア以外すべてNATO勢力圏となり、ロシアに対する抑止力が強化される。

スウェーデンはこれまでウクライナを強力に支援し、2月に発表された最新の援助パッケージは6億8000万ドル(約1020億円)相当と、スウェーデンのよるものでは過去最大規模だ。これには砲弾や対戦車ミサイル、対空ミサイル、そしてCB90高速攻撃艇:左10隻を含む30隻のボートも含まれる。
参照記事 
バルト海のスウェーデン領ゴットランド島Gotlandの南東およそ300キロにあるのが、第2次世界大戦後、ドイツから旧ソビエトに編入されたロシアの飛び地、カリーニングラード
(人口約49万人2021年、Kaliningrad)。ロシア軍はここをバルト艦隊の拠点とし、NATOに対抗する重要な戦略拠点としている。ゴットランド島がNATOの軍事拠点になれば、バルト海周辺におけるロシア軍の艦隊、潜水艦、空軍の行動、ミサイル配備等がかなり制限されることになると言われている。
参考記事 
スウェーデンは19世紀のナポレオン戦争終結以降、20世紀の二度の世界大戦でも中立・非同盟を掲げてきたが、ウクライナ危機を受け、2022年5月に隣国フィンランドと共にNATO加盟を申請した。フィンランドは2023年4月に先に加盟を実現させたが、スウェーデンについてはトルコとハンガリーが難色を示し、承認が遅れていた。これで北欧五カ国全てがNATOに入り、北欧、バルト海沿岸諸国の防衛が強固になった。
スウェーデン海軍は現在、数週間にわたる長期の潜航が可能なAIP(非大気依存推進)システム搭載のゴットランド級攻撃型潜水艦

3隻を含む4隻を保有。 2028年までに次世代のA26型潜水艦が2隻導入される予定だ。また、スウェーデンは自国製の
サーブ・グリペン多用途戦闘機SAAB・J
AS-39 GRIPEN70機以上を擁する強力な空軍力を誇る。
参照記事 英語映像記事:
Sweden vs Finland Military Comparison:
2023

ハンガリーのオルバンViktor Orbán首相:左の右 はその強権、独裁的姿勢が欧州連合(EU)内や同国内で批判されており、人権を重視するEU加盟国スウェーデンとの対立が承認の遅れにつながったとの見方がある。

こうした中、オルバン氏は今月23日にスウェーデンのクリステション首相Swedish Prime Minister Ulf Kristersson :左の左 と会談し、スウェーデン製のグリペン戦闘機をハンガリーが購入することで合意。防衛協力の強化で一致しているが、現 オルバン政権は、かなり親中露と言われている。過去の反ソ、反共、
ハンガリー動乱では、裏で米国が市民抵抗運動を支援したのだが、、、。
参照記事 英文記事 参考映像:
政敵ナワリヌイ氏の急死とプーチン氏の思惑、ロシアの今後は 駒木明義論説委員が語る:2/26 映像戦況報告:
ロシア戦車枯渇→ウ軍反撃決まり出す:参考:ロシア侵略開始後2022年2月22日の記事
欧州、大戦後で最大の軍事危機 ロシアが装備面で圧倒か:、、、、スウェーデンのNATO加盟でウクライナ戦争は、欧米VSロシアという新たなラウンドに入った。

ウクライナの南西部に位置するモルドバMoldovaの東部地域は、親ロシア派が「
沿ドニエストル共和国(Transnistria、Transdniestria)」としての独立を宣言して実効支配しており、ロシア軍も駐留し同国が内戦状態であることから、ロシアの次の侵略先になることを恐れるモルドバはロシアのウクライナ侵攻の1週間後、EU加盟を申請し、ウクライナ同様、欧州の最貧国と言われる中、多数のウクライナ難民を受け入れてきている。

モルドバの東部にあり、親ロシアの分離派が支配するトランスニストリア(沿ドニエストル)の政治家らは、ロシアのプーチン大統領に対して自分たちの地域を保護するよう求めている。モルドバ政府からの脅威に直面しているという主張だ。また、南部の親露派トルコ系住民が多いガガウズ自治区Gagauz
Autonomous Regionでも独立を求める動きが

2024年2月26日記事は、ロシア外務省が、未承認の分離国家である沿ドニエストル共和国のいわゆる議員の訴えについてコメントし、ロシア政府はこの未承認地域からのあらゆる要請を「注意深く」検討していると述べたと報じた。ロシアがモルドバの一部を併合、或いは離脱させるのか注目されている。
英文記事 英文記事 参照記事 過去ブログ:2023年2月
ウクライナが中国に警告と米国,IMFがウクライナ支援表明:1月
ロシアはなぜ平然とウクライナ市民を殺し露市民は拍手するのか:1月
モルドバ首相「私には、侵略国と協議することは何もない」と:


徴兵を逃れたいウクライナ人男性の不法越境が相次ぐ国境地帯。川を隔てたルーマニアRomania側では、国境警察が24時間体制で監視に当たる。主な任務は、泳いで不法に入国するウクライナ人男性たちの「救助」だ。ルーマニアでは不法入国者も犯罪者扱いせず、欧州の他国に移動できるようにしている。地元国境警察によると、ロシアの侵略開始後に不法に入国したウクライナ人男性は約8600人に上る。侵略前は、ほとんどいなかった。
参照記事
2024年3月7日;スウェーデンと東隣のフィンランドは長年、軍事的に中立を保ってきたが、2022年5月、NATO加盟への意向を表明した。フィンランドはすでに加盟し、スウェーデンは3月7日、正式に北大西洋条約機構(NATO)の32番目の加盟国となった。この日、米ワシントンの国務省で加盟手続きを完了した。NATOのイエンス・ストルテンベルグ事務総長は
ソーシャルメディアで、スウェーデンはNATOに「有能な軍隊と一流の防衛産業」をもたらし、同盟は「より強く、より安全」になったと述べた。一方、ロシアはスウェーデンの動きに対し、政治的・軍事的対策を取るとしているが、詳細は明らかにしていない。
参照記事