2024年2月25日:カナダに拠点を置く華字情報サイトの加拿大家園によると、米国で摘発された密入国者の国籍別統計で、中国人の数がメキシコ人を抜いた。米国境当局の最新報告書によると、南部国境を越えて米国に不法入国した中国人は、ここ数カ月間でメキシコを上回り、米税関国境警備局(CBP)の未発表データによると、同局米税関・国境保護局は、今年の会計年度が始まった昨2023年10月以降にサンディエゴ地域で2万1000人の中国人の不法移民を逮捕した。
同じ時期に逮捕された密入国者の国別で最も多かったのはコロンビア人の2万8000人で、中国人は2万4048人で2番目に多かった。第3位はメキシコ人の1万8700人。その次はブラジル人の8700人、エクアドル人の7700人。それ以外にもトルコ人、ギニア人、インド人、グアテマラ人、ペルー人などが逮捕された。米国にとってメキシコ国境では不法移民の「グローバル化」が進んでいる。写真左は、米テキサス州で2023年4月、リオ・グランデ川でボートに乗り、米国側の上陸地点を探す中国からの移民たち
米国税関国境警備隊がは2021年度に南部国境で検挙した中国人はわずか323人で、22年度には1970人で、中国人の不法移民は激増しつつある。これまでの経緯から、中国人が米国で亡命を申請すれば認められる可能性が高く、認められなくても中国への送還は難しいという。米国に不法入国する中国人が激増する背景には、「居残ることが容易」という考え方があるとみられる。参照記事
過去1年間に2万4千人以上の中国籍の移民がメキシコから米国に入国する際に拘束されているとの統計も在り、米政府のデータによれば、この数は過去10年間の合計を超えているという。こうした中国籍の移民たちは通常、ビザを必要としない南米エクアドルに空路で入る。そして、中南米やさらに遠方から来る数十万人の他の移民と同じように、金を払って、密輸業者に誘導してもらい、コロンビアとパナマの間の危険なジャングルを通り抜け米国へ向かう。米国に入ると国境警備当局へ出頭し、多くは亡命を求める。
そしてほとんどの人たちが亡命に成功している。それがさらなる亡命を招いている。移民裁判所で中国籍の人々は他の国の人々よりも亡命申請に成功している。そして、申請が却下された人々も結局、米国に滞在することになる。なぜなら中国政府がこうした人々を引き取らないからだ。最終的な国外退去命令を受けた後に米国に滞在している130万人のうち、約10万人が中国人だという。
米政府は移民の出身国の政府に不法滞在者の引き取りを強制できない。ほとんどの国は協力的だが、約12カ国は極端に非協力的で、とりわけ中国の非協力ぶりは最悪だという。
米国を目指す理由は経済的理由や政治的迫害など様々で、不法入国理由で一番多いのは中国のゼロコロナ対策、都市封鎖によって失業したり事業が継続できなくなったりしたこと、当局から宗教上の迫害を受けた事、警察から不当な取り調べを受けた事などで、「共通するのは国の統治に不満を抱き、政府からの抑圧を感じていることだ」と言われている。また、中国では新型コロナ禍以降、富裕層を中心に日本や欧州、豪州などに移住する人が増えている。参照記事 参照記事