8bf04dacimg_2969308ba7942f22a42f62568f0a903975881アルメニア軍は2023年9月11日、国内で米軍との合同軍事演習を開始した。アルメニアは係争地ナゴルノカラバフ(Nagorno-Karabakh)をめぐる隣国アゼルバイジャンとの紛争で、ロシアの支援が得られないことに不満を募らせている。一方のロシアは、アルメニアは「依然同盟国」としているが、旧ソ連圏における影響力の低下が浮き彫りになった。

 米陸軍欧州・アフリカ司令部によると、演習にはアルメニア軍から約175人、米軍から約85人が参加し、20日まで行われる。アルメニア国防省は目的について、国際平和維持活動における米軍との「相互運用性の水準を高める」ことにあると説明した。

be7c9d48 bhgd2b2ffbb ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)報道官はこれに対し、同国が主導する旧ソ連圏の集団安全保障条約機構(CSTO)の軍事演習には参加せず、米軍との演習を実施する決定をアルメニアが下したことについて「極めて深い分析」が必要だと述べた。

 ロシア外務省は先週、モスクワ駐在のアルメニア大使を呼び、同国の決定は「非友好的な行動」だと非難した。ただし、両国は「依然同盟国」だと強調していた。

31973a000b062bb3 中央アジア問題の専門家アルカディ・ドゥブノフ(Arkady Dubnov)氏は、「(国際舞台で)弱体化しているロシアがソ連時代の裏庭での影響力を急速に失いつつある」一方で、「アルメニアは、ナゴルノカラバフ紛争:右図 およびその後の情勢をめぐり支援してくれなかったロシアに不満を募らせている」と指摘。「アルメニアとしては、新たな強力な同盟を形成しようと試みている」と語った。参照記事 

*1992年5月に結成された集団安全保障条約機構:CSTO(ソ連崩壊後の1991年発足の独立国家共同体:CIS 加盟国の軍事面での協力に重点を置いたもの)には翌1993年、アゼルバイジャン、ジョージア(当時はグルジアといった)、ベラルーシが加盟したが、1999年の期限延長の際に、アゼルバイジャン、ジョージア、ウズベキスタン(2006年再加入、2012年に再離脱)が離脱したので、現在ではロシア、アルメニア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ベラルーシの6カ国である(2022年1月時点 参照記事)。  過去ブログ:2023年6月G7の評価と、それに反発する中露の行動と中央アジアを抑えたい中国:2022年11月ロシア主導のCSTO軍事同盟で威信を失ったプーチン:10月旧ソ連構成国でつくる独立国家共同体(CIS)に陰り 9月ロシア連邦構成国でも強制動員への反発 動員リストにミス?:7月トルコのウクライナ戦争を利用する狡猾さとコーカサス:2021年2月日本がナゴルノ・カラバフへ緊急無償資金協力と現在 2020年11月アゼルバイジャン軍 ナゴルノカラバフ中心に侵攻>4度目の停戦? 10月深刻、拡大化のナゴルノ・カラバフ(Nagorno-Karabakh)紛争 、、、何とも複雑で、タイトルに!を付けるしかない。
旧ソ連構成国のアルメニア、アゼルバイジャン両国は、アゼルバイジャン内の係争地で、アルメニア系住民が多数を占めるナゴルノカラバフ(Nagorno-Karabakh)をめぐり、1990年代と2020年に2度にわたって軍事衝突した。  2020年の6週間にわたる紛争では、アゼルバイジャンが前の紛争で失ったアルメニア支配地域の大半を奪還した。両国はロシアの仲介で停戦に合意。ロシアは停戦監視のため平和維持部隊約2000人を展開している。 
2023年9月20日:アゼルバイジャンは19日、ナゴルノカラバフで「対テロ作戦」を開始したと発表し、作戦は「終わりまで続く」と警告した。ロシアは翌20日、アゼルバイジャンが隣国アルメニアとの係争地ナゴルノカラバフ(Nagorno-Karabakh)で「対テロ作戦」を開始したことを受け、軍事行動の即時停止を呼び掛けた。参照記事 
アゼルバイジャンは20日、隣国アルメニアとの係争地ナゴルノカラバフ(Nagorno-Karabakh)での「対テロ作戦」で、アルメニア側が武装解除に応じ、数十年ぶりに主権を回復したと発表した。今回の攻撃による死者は200人に上るとされ、アルメニア系勢力の大半を制圧し、アルメニア側は撤退を始めているという。
img_a3de669903621acf3132c9562df4d161235818一方、アルメニアでは、ナゴルノカラバフをめぐる3年ぶり2度目の敗北に怒りの声が上がった。首都エレバンでは、アゼルバイジャンに譲歩(事実上の降伏)したとして、これまでロシアを後ろ盾にしてきたニコル・パシニャン(Nikol Pashinyan)首相の退任を求める数千人が抗議活動を行った。デモ隊らは:右、政府の対応を非難。警察官に瓶や石を投げつけた。警察官らは、これに対し、閃光(せんこう)弾を使用し、参加者らを拘束した。
一方、アゼルバイジャンの首都バクーでは、市民が喜びに沸いた。今回の作戦でナゴルノカラバフにおける勝利が決定づけられ、数十年に及ぶ紛争が終わりを迎えたと期待を寄せた。参照記事 映像:アゼルバイジャンの無人機攻撃  

nappi11 at 11:33│Comments(3) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

コメント

1. Posted by 甲東   2023年09月13日 14:32
アルメニアはかなりの貧乏国という印象だったが、一人当たりGDPはウよりかなり高い。高くなったのはつい最近のこと。それまではウとトントン。ウは相当酷いんだ。
昨年、11万人ほどのロシア人が移住し、GDPアップに貢献しているとか。制裁を受けているロシアに対して中継貿易の様なことをし、稼いでいるという噂もある。未だ未だ危ない・・・
また、アルメニア南部のイランとの国境沿いにザンゲズル回廊なるものをアゼルが建設するという話もあり、イランが猛反発中。トルコもいっちょ噛みで怪しげな情勢。何とも複雑・・・
2. Posted by 甲東   2023年09月15日 05:16
ウ大好き日本人が、“(アルメニアだけで無く)日本も対露政策を大きく変化させた。根本的かつ戦略的に東欧への関わり方を変える時なのでしょうね“、とおっしゃっている。かなり当たっている。ただ、そう感じている日本人が何割いるだろうか。1、2%かも。
3. Posted by 甲東   2023年09月21日 04:52
ナゴルノ・カラバフが1日で降参した。アルメニア本体の意思は堅い様な。これで大きく一段落であって欲しいが。西側の支援次第だろう。
スターリンは何を思っているだろう。ナゴルノ・カラバフに多くのアルメニア人がおり、ブツブツ言っていたことは分かっていたにもかかわらず、放っておいたために今になってロシアの威信が一層下がることに。ネタを作っておいてあげたのに、介入できないプがアカンたれ、か。

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