

また、最近日本への旅行が解禁になった中国の上海、浙江省、江西省、江蘇省などの多くの病院で高熱を繰り返す患者が大量に受診している。

WHOによると、2021年11月に初めて登場したオミクロン株の新派生型「EG.5」は8月8日時点では50カ国以上で確認され、米国内の派生型としては最も感染者が多く、急速に感染が広がっている。米疾病対策センター(CDC)の推計に基づくと、現在の新型コロナウイルス感染者に占めるEG.5感染者の割合は約17%だ。日本の国立感染症研究所によれば、7月24日〜7月30日の調査ではEG.5.1系統が最も多く、民間検査機関のデータでもEG.5.1系統が23.6%と最も多かった。
ただ、WHOは現段階では公衆衛生上の脅威がより大きいとはみなしておらず、EG.5と重症化率上昇の間に、直接の因果関係を証明する要素はないとしている。米疾病対策センター(CDC)は、9月第3週か第4週までには新しいワクチンが幅広く利用されるようになるとの見通しを示した。参照記事

EG.5は、オミクロン変異株XBB.1.9.2の子孫株だが、 XBB.1.9.2と異なるのは、ウイルスの表面から突き出たスパイクたんぱく質に1つ変異がある点だ。このスパイクたんぱく質がヒトの細胞の受容体タンパク質(ACE2受容体)と結合すると、ウイルスは鼻腔や肺に侵入可能になる。今までに解析されたEG.5変異株の多くは、スパイクたんぱく質に2つ目の変異があり、こうした変異株はEG.5.1と名づけられている。 東京大学医科学研究所のウイルス学者、佐藤佳氏らによる予備的研究では、EG.5.1がXBB.1.5より約20%強い感染力をもつことが示され、査読前論文として発表された。
EG.5に対する追加接種ワクチンの効果は?:現在のワクチンと米国や日本などで秋以降に予定されている追加接種用のワクチンは、新しい変異株で多少効果が低下するとしても、新型コロナの重篤な合併症を予防できるだろう。この点における専門家の見解は一致している。「ワクチンは感染を予防すると思いこんでいる人が多いのですが」と佐藤氏は話す。「ワクチン接種の主要な目的は、重症化リスクを低下させることです」。新たな追加接種用のワクチンは、最近まで主流だった変異株XBB.1.5に対応して開発されている。CDC所長によると、米国では10月上旬にこの追加接種が開始される見込みだ(編注:日本では9月20日以降、XBB.1.5に対応した1価ワクチンの接種が始まる)。参照記事