パキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州Khyber Pakhtunkhwa's Bajaur district の集会会場で2023年7月30日に起きた爆発で、アフガンの「タリバンTaliban」とも対立する過激派組織「イスラム国」（IS、 ISIS-K）は31日、通信アプリで犯行声明を出した。ロイター通信が報じた。AP通信によると、死者は54人、負傷者は約200人となった。警察は、自爆用ベストを着用した男がステージ近くで起爆させたとの見方を示した。記録映像　
集会は、連立政権に加わるイスラム急進派政党「イスラム聖職者協会（JUIあるいはJUI-F：Jamiat Ulema-i-Islam-Fazl ）」が開いていた。警察によると爆発時、ステージには複数の党幹部らが座り、演説中だった。 　JUI関係者は度々テロの標的となっている。参照記事　タリバンが政権を取ったアフガンでも、イスラム国（IS）系「ホラソン州のイスラム国：（IS-K、ISIS-K,ISKP）,ISIS-Khorasan Province (ISISーKP)、IS Khorasan Province（IS-KP）」はテロを継続している。　過去ブログ：2021年11月米軍車両でタリバンが軍事パレードとＩＳ系テロ　アフガン：11月タリバンがＩＳ掃討作戦とＩＳ系に寝返る元政府軍兵士：
パキスタンでは2023年8月、議会下院が任期満了を迎えることから、各政党が選挙を見越してすでに集会を開くなど活発に動いている。集会を開いた政党はシャリフ首相の連立政権に加わっていて、アフガニスタンで実権を握るイスラム主義組織「タリバン」と親しい関係にあるとされている。パキスタン北西部はイスラム過激派＝反政府組織がアジトを構える地域で、一部は「旧連邦直轄部族地域:FATA（旧「北西辺境州」）」として政府の統治、行政が行き届かない場所として知られており、狙われた政党が、そんな地域で、洪水で経済破たんの渦中にある政府寄りだった事も原因かと想像する。

パキスタンは2022年、大規模な洪水が発生して以降、深刻な外貨不足に陥り、急激な通貨安とインフレに直面するなど経済の混乱が深まり、パキスタンは、これまで一部の大手格付け会社からデフォルト＝債務不履行に陥るおそれも指摘されていた。地図は、水害で被害を受けた住宅分布で、色別の単位は1000軒単位。国土の3分の一が冠水、半分以上が災害を受け、180万軒の家屋が被災、1500～2000人が亡くなった。

インドとパキスタンは2017年、ロシアと中国が主導するアジア安全保障の枠組み、上海協力機構（ＳＣＯ：Shanghai Cooperation Organisation）へ加盟し、以後パキスタンはこれまで中国から多額の融資を受けて積極的にインフラ投資を続け、中国が展開する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」事業の核心協力国家となっている。
IMF＝国際通貨基金とパキスタン政府は経済の立て直しに向けた金融支援をめぐり交渉を続け、IMFは2023年7月12日に開いた理事会でパキスタンへの金融支援としておよそ30億ドル、日本円にして4100億円余りの融資を行うことを決めたと発表している。参照記事　参照記事　英文記事　
パキスタン政府は、復興には100億ドル（約1兆4000億円）以上かかると、計画相が見通しを示していた。　過去ブログ：2022年12月中国の影響力、パキスタン1位、韓13位、米21位で日本52位：  10月上海協力機構(SCO)拡大で、国際関係の2分化が鮮明になる。： 9月パキスタンの大洪水で国土の3分の一が被害に　世界的異常気象：5月スリランカがデフォルト、「一帯一路」で債務の罠に　首相は辞任：2021年12月グワダル港湾開発に市民がデモ　中国はデマだと無視：