大西洋で沈没した豪華客船「タイタニック」の残骸がある海底へと向かっていた観光用の潜水艇が行方不明になり、大規模な捜索と救助活動が行われている。米沿岸警備隊が2023年6月19日、発表した。小型潜水艇は潜水を始めてから約1時間45分後に、連絡が取れなくなり、行方不明となったのは、ツアー会社「オーシャンゲート」Tour firm OceanGateの潜水艇「タイタン」 Titan submersible(Titan sub)とみられる。大きさはトラックほどで、5人が乗船しており、通常は4日分の緊急用酸素を積んでいるという。政府機関やアメリカとカナダの海軍、深海で活動する民間企業が救助活動を支援している。ニュース映像
米沿岸警備隊のジョン・モーガー少将は19日午後の記者会見で、「現時点ではまだ70~96時間程度の時間の余裕があるとみている」と述べた。航空機2機、潜水艇、ソナーブイを使って必死の捜索frantic searchしているが、「遠く離れた」海域であることから、困難な活動になっているという。
オーシャンゲートによると、タイタンには通常、操縦士1人、乗客3人、同社が「コンテント・エキスパート」と呼ぶ人物1人が乗る。水深約4000メートル(12500ft = 3810.0m)まで潜水が可能で、乗員5人の生命を96時間維持できるという。ツアー旅行は8日間の日程で、セントジョンズから出航。水深3800メートルのタイタニック沈没現場への潜水には、潜航と上昇を含め1回あたり約8時間かかる。料金は25万ドル(約3500万円)。同社はこのツアーを、「日常生活から飛び出し、真に非日常的なものを発見するチャンス」だと宣伝している。現在1回目が進行中で、来年6月にもう2回計画しているという。
ちなみに、アメリカ海軍のオハイオ級原子力潜水艦の運用深度は最大約 1,000 フィート(約304m)で、これまでに存在したことが知られている動物の中で最大のシロナガスクジラは、最大深度約 1,640 フィート(約500m)に達する。米国沿岸警備隊とその他の機関は、捜索のために自由に使えるあらゆる装備を配備しているが、その任務は依然として干し草の山から針を見つけほど困難とされる。
今回の乗船者には、イギリスの富豪で実業家および探検家のヘイミッシュ・ハーディングHamish Harding氏(58):左 も含まれていると、同氏の家族が明らかにした。海中ではGPSも無線も機能しないため、タイタンと通信するのは現在は無理だという。また、特殊な構造から乗客は外側からボルトで閉じられた船内にいるため、「潜水艇が自力で浮上しても脱出できない。外部の人の手を借りなければ潜水艇から出られない」と説明された。
タイタニックの残骸は、カナダ・ニューファンドランド島のセントジョンズから南に約700キロメートルの海底に沈んでいる。救助活動は、米マサチューセッツ州ボストンで指揮が執られている。タイタニックは1912年、英サウサンプトンから米ニューヨークへの初航海の途中、氷山に衝突して沈没。乗客・乗員2200人のうち、1500人以上が死亡した。当時最大の客船で、残骸は1985年に発見された。 参照記事 英文記事 英文記事 過去ブログ:2023年5月タイタニック号、驚きの3Dスキャン技術で鮮明によみがえる。:
、、、現地20日夜(日本では21日朝)の英国記事は、「米国の原子力潜水艦の最大深度の10倍を潜航したタイタンを発見することは、前例のない偉業となるだろう - 船の発見まで残り40時間を切った」と述べている。オーシャンゲートの最高経営責任者兼創設者でタイタンの開発者でもあるストックトン・ラッシュStockton Rush 氏(彼も現在行方不明なTitan subに乗船している):右 は、科学者や観光客が深海探査をより身近なものにするために、2009 年にワシントンに本拠を置くオーシャンゲート社OceanGate Incを設立した。14年が経ち、200回以上の潜水と3つの潜水艇の設計を経て、同社は現在、カナダのニューファンドランド島沖で行方不明となった5人を乗せた潜水艇を回収するために必死の捜索活動を行っている。参照記事
2023年6月22日:行方不明になっているタイタン潜水艇を最新の深海救助装置で時間内に回収し、乗組員を安全な場所に送り届けることは、極めて困難な作業であると専門家が指摘した。仮にタイタンが発見されたとしても、救助を成功させるには、水面にいるオペレーターが潜水艇の位置や障害物、水中を数千メートル持ち上げることができるケーブルを取り付ける場所などを明確に把握できる遠隔操作車(ROV)が必要になる。
タイタン号と乗客3人を含む5人の乗員がタイタニック号の沈没船に到着した場合、海底3,800メートルに位置することになるが、これはほとんどのROVが到達するには深すぎる。米海軍の元潜水艦司令官であるデビッド・マルケ氏は、CBCの取材に対し、「世界の潜水艦のごく一部しか、そこまで深く潜っていない」と語った。米海軍は、フランスの調査船「アタランテ」と同様に、このようなROVを持っている。どちらも潜水艇があると思われる場所に機材を送っている。
もうひとつの会社、ガーンジー島を拠点とする深海救助専門のマゼラン社は、タイタンの生みの親であるオーシャンゲート社から「あらゆる手段を講じて」出動するよう打診を受けたと述べた。しかし、マゼラン社は深海潜水機材を輸送するための航空機を必要としており、同社のデビッド・トンプソン会長はCNNの取材に対し、米英空軍に航空機の提供を要請したが、返答はなかったと語った。英文記事 、、、この英文記事が書かれた時点で、潜水艇の酸素は20時間しか持たないとされ、日本時間22日午後6時には酸素が切れると言われている。まだ潜水艇の正確な位置すら不明で、状況は絶望的だ。BBC・Live 乗船していた男性には、英国人実業家ハミッシュ・ハーディングHamish Harding氏(58歳)、英国系パキスタン人実業家シャザダ・ダウッド氏Shahzada Dawood(48歳)、息子のスレマンSuleman Dawood氏(19歳 学生)、そして25万ドル(約3545万円)の費用で航海を運営するオーシャンゲート社の最高経営責任者ストックトン・ラッシュ氏Stockton Rush(61歳)、元仏海軍ダイバーで探検家ポール・ヘンリー・ナルジオレット氏Paul-Henry Nargeolet(77歳)が含まれる。英文記事 、、、ラッシュ氏がオペレーターか?


タイタニック号の残骸近くの海底でタイタンの破片が発見された事で、タイタンを運航する米企業オーシャンゲート・エクスペディションズは22日、5人全員が死亡したとみられると発表した。米マサチューセッツ州ボストンで記者会見した同警備隊のジョン・モーガー少将は、タイタンは水圧で壊滅的に押しつぶされたとの見方を示した。現時点ではタイタンがいつ圧壊したのかは不明。参照記事 ニュース映像
映画『タイタニック(Titanic)』の監督で深海探検家としても著名なジェームズ・キャメロン(James Cameron)氏が、大西洋でタイタニック号(RMS Titanic)の残骸見学ツアー中に圧壊し、5人が死亡した潜水艇について、安全性に関する多くの警告が無視されたと語った。
キャメロン氏は2012年、自ら設計・製作した潜水艇で、世界で最も深い南太平洋マリアナ海溝mariana trenchの最深部(10898m)への単独潜航に成功した:記録記事。その際、「何よりも」念頭に置いていたのは、潜水艇が水圧で破裂するリスクだった。深海探査業界に携わる全員が同じ考えを持っているため、ここ数十年の深海探査は高い安全性を保ってきたという。そうした中、「深海探査分野の関係者の多くは、この潜水艇について大きな懸念を抱いていた」という。「深海潜水艇の第一線のエンジニアたちが、客を乗せるのは実験的すぎる、安全性を証明する必要があると運営会社に書簡で訴えていたほどだ」。
また、潜水艇運営会社がタイタン搭乗客に「死亡しても責任を負わない」という免責書類に署名させていたと、ウォールストリートジャーナル(WSJ)が21日(以下、現地時間)報じている。 参照記事 参照記事 【画像】潜水艇タイタンの内部がヤバい!トイレ事情も地獄すぎる?