
ロシア連邦中央銀行の調査によると、今年2023年1-3月期の時点でロシア国内の企業は非常に深刻な人手不足に陥っていることが分かった。関連する資料が残る1998-2023年で人手不足は最もひどい状況だという。ロシア政府が部分動員令により約30万人を召集し、その影響で多くのロシア人男性が昨年国境を越え、ロシアでは出生者数よりも死亡者数が98万855人も多くなった。
経済学者は「昨年のウクライナ侵攻後、100万人以上のロシア人がロシアから去った」と推計している。これはロシアの歴史をみても1917年のロシア革命、あるいは1991年のソ連崩壊といった非常に大きな事件が起こった当時の移民の流れと肩を並べ、一方で、ロシア中央銀行は昨年ロシアに入国した移民労働者の数が増加したことを伝えているが、専門的な技能を持つ熟練した労働者の数は逆に29%減少したという。その結果、ロシア企業は研究開発者、技術者、溶接工、石油掘削作業員など、ロシア経済を支え、ウクライナ侵攻を支援する労働力の不足が続き、今年4月にロシアでは製造業の約35%が人手不足と報告されている。とりわけ機械装置の製造、金属工学、採鉱や採石での人手不足が深刻だという。
ロシア政府はすでに技術者をロシアにとどめるため税の減免、低利の融資など経済面での支援を提供している。ただしこれら政策面での対策ではロシア国民を引き留める明確な成果は出せていない。一部議員はロシアを去った国民の資産を没収する法案を提出し脅迫を強めているが、現時点では議会での成立にまで至っていない。参照記事
また、欧米企業の撤退による経済損失に対し、ロシアは、自国内にある米・欧など西側企業の資産を事実上差し押さえられる内容の法令を宣布したことが分かったと6月15日(現地時間)にフィナンシャル・タイムズ(FT)紙が報じた。
同紙によると、プーチン大統領は先週、このような内容の秘密布告に署名し、この法令は、売却対象のロシア国内の西側資産に相当な幅の割引を適用して優先的に買い入れることができる権限をロシア政府に付与するのが主要な目的だ。また、西側資産を買い入れる主体は完全にロシアの所有でなければならず、外国人株主が排除されるよう定めた。これは、ロシアから撤収しようとしている各企業の資産を事実上容易に国有化できるようにして、西側企業の「出口戦略」を難しくするものだという解釈が出ている。
ペスコフ報道官は「西側の投資家や企業がロシアに戻ってくることを歓迎するが、義務を履行しない悪しき(naughty)企業とは別れを告げる」とし、「以後、彼らの資産で何をするかはわれわれが決めること」と表明し、ある実業家は「国有化は時間の問題にすぎない」とし、「ロシアにはカネが必要だからだ」と語った。更に、西側がロシアに加えた強力な経済制裁に対する報復および圧迫という性格もあるものとみられ、現在、西側によって凍結されている3000億ユーロ(現在のレートで約47兆円)のロシア中央銀行の資産にどのような措置が下されるか見守るだろう、との見方もある。参照記事
、、、、、脱出したロシア人は、戻れば拘束、または前戦送りになることを避けてプーチン政権下では祖国に戻らないだろう。またロシアは、資源は在っても、人的不足で持続的生産や加工が出来ないことが、ロシアの武器弾薬不足にも影響していると想像でき、2023年末には更に深刻な不足になると言われている。
外資企業の資産国有化で、プーチンはそれらを中国や同盟国企業に破格値で売り払い(これをプーチンは外資導入と言う様だ)、事業の再生を狙っていると思われるが、ルーブル価値の暴落や、経済制裁による、ロシア産生産物の輸出制限など、ロシアを取り巻く状況は、株式やマーケティングの素養のないプーチンには想像できないほど悪化していると筆者は想像する。今は連日、ソ連時代のロケットまで引っ張り出してウクライナへ撃ち込み、戦争の大義が領土の獲得よりも、破壊と殺戮と化している。 参考:底打ちも低迷が続くルーブル相場
時代錯誤な大国主義と侵略は、ロシアの孤立意外何も生んではいない。プーチンには、状況の負のスパイラル(Spiral)は、時間経過と共に、より悪化する事も見えず、自らNATO包囲を招いている事が見えていないようだ。
そもそも、NATOの拡大など、親露派の情緒的憶測にすぎず、米国もNATO首脳の誰もそんな事を言ったことが無い(筆者の記憶)ばかりか、NATOは其の事に余りに慎重になり過ぎた結果が、露のクリミア併合を看過させ、ウクライナ侵略を招いたと筆者は見ている。今プーチンの妄想を止めなければ、或はロシアが勝利すれば、次は、ポーランド、バルト3国、フィンランドへと戦禍が拡大しかねず、それは世界大戦を意味する。 過去ブログ:2023年6月米製戦闘車ブラッドレー、直撃弾にも兵員無事と安全補償:6月ロシア軍のウクライナ全土へのミサイル攻撃続く:6月ウクライナの通信傍受で、ダム破壊は露側の破壊工作ミス?:6月対露国際協調に踏み込めないフランスの幼稚さ:6月ウクライナが東部で攻勢開始か?と勝つべき理由:6月プーチン大統領がロシアに数十億ドルの投資を誘致??:6月ロシアの損失:6月中露に共通する正当性維持の為に強がるという論理:5月プーチンの馬鹿な妄想はロシアの未来を消し去った:映像記事:ソ連の弾薬作っていた弾薬製造国家ブルガリアが本格的にウクライナ支援へ: