

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、今年2023年1~3月に欧州の地中海地域に到着した人は36万人を超え、前年同期に比べ倍近くに上る。ギリシャは欧州移民危機の中心地点で、中東やアジア、アフリカから欧州連合(EU)に向かう移民migrant ・難民refugeeの経由地になっている。紛争や世界の格差、気候変動が原因で、正規の書類を持たずに欧州に海路で到着する移民の数は今年急増している。

ギリシャ沖で6月14日未明、移民migrantsを乗せイタリアへ向かっていた船が沈没し、同国の沿岸警備隊によると、少なくとも79 人が死亡した。沿岸警備隊によれば、救命胴衣を身に着けていた乗船者はいなかった。船に乗っていた移民計104人がこれまでに海上で救出され、カラマタ市
Kalamátaに移送された。生存者からは、エジプト人、パキスタン人、シリア人、パレスチナ人などが確認されている。
沈没時に何人が乗船していたかは不明だが、約750人が乗船していたとの記事が在る。国営放送ERTは当局の初期情報として、船はリビア東部トブルクTobruk area in eastern Libyaから出航し、当局者らによると、数百人の移民を乗せた漁船は13日火曜夜、ギリシャ沿岸警備隊からの食糧提供と援助の申し出を拒否したが、エンジン故障により14日水曜未明に転覆し、最終的に沈没した。この難破船の死亡者は、2015年10月にレスボス島沖で70人が死亡して以来、ギリシャで最悪の死者数となった。海上捜索は続行中だが、史上最悪の500人以上死亡の移民事故が予想され、関係した9人が逮捕されている。
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欧州ではウクライナ難民refugees from Ukraineも増加しており、2022年3月の国連集計で、国外へ出たのは250万人に達すると言われている。右下図は、ウクライナ難民の各国での在留者数。隣国ポーランドが最大の受け入れ国となっている。
参照記事 英文記事 英文記事英文記事 英文記事 過去ブログ:2023年2月
イタリア南部海上で移民が載った船が座礁 63 人以上死亡か?:
2023年6月15日:UNHCR=国連難民高等弁務官事務所は14日、6月20日の「世界難民の日」を前に年次報告書を公表し、戦争や人権侵害などが理由で住む場所を失った難民や国内避難民らが先月の時点でおよそ1億1000万人に達したとの推計を発表した。

過去最大の増加幅で、難民や避難民らの出身国では中東シリアが最も多く650万人、ロシアの侵攻が続くウクライナが567万人(筆者:ウクライナ国内の避難民も含んでいると思われる)で、また、アフガニスタンとベネズエラもそれぞれ500万人を超えている。UNHCRはさらに今年4月以降、軍事衝突が続くアフリカのスーダンからも多くの人が逃れているとして、5月時点で難民や国内避難民などの総数が過去最多の1億1000万人に上ると推定している。
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2023年6月19日:CNNは、ギリシャ沖で超満員のトロール漁船が沈没し、300人以上のパキスタン国民が死亡したと報じた。この悲劇は、数万人が戦争、迫害、貧困からの避難所を求める中、欧州連合が直面する難民危機を浮き彫りにする最新の悲劇である。ギリシャ当局はパキスタンの死者数をまだ確認していない。写真右は、沈没数時間前とされる。国連は、最多500人がなお行方不明だとしている。
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パキスタンはここ数十年で最悪の経済危機の真っただ中にあり、国際通貨基金からの金融ライフラインを確保する取り組みが国内の政治的混乱によって複雑化している。より良い未来を求めて危険なルートを通ってヨーロッパに向かうパキスタン人が急増している。310人のパキスタン人が乗船していたと言われ、その内130人が、約6千キロ以上の旅をしたカシーミル地区 Kashmir region.の出身者とされる。
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