

西部のフィンランド湾Gulf of Finlandに面するプリモルスクPrimorsk、ウストルガ Ust-Luga、および黒海に面するノヴォロシスクNovorossiyskの港から4月に出荷されるロシア産原油は、3月の970万トンから1000万トン以上に増加する見通し。
ロシアのノバク副首相は今年2023年2月、日量50万バレルの減産を3月に行うと発表し、4月上旬には年末まで減産を継続すると表明している。関係筋は4月の輸出増加について、国内で必要とされる原油が低水準となる中、製油所の定期点検が背景にあると指摘する。ロイターが確認したところによると、ロシア産ウラル原油は運賃の下落が後押しし、4月もアジア各国に輸出されている。参照記事 参照記事 (港の写真は古いもので、現在はかなり近代化していると思われる)記事のアジア各国とは、輸入量から中国、インドを指していると思われる。
なぜ、ロシア産原油をこれらの国が買い増したのか。背景にあるのがロシア産原油の価格の安さだ。左のグラフは国際的な原油取引の指標の1つである北海ブレント原油の先物価格と、ロシア産であるウラル原油の価格を示したもの。
欧米各国などはこの1年間、経済制裁で圧力をかけてきた。しかし、侵攻を止めるほどの決定的な打撃を与えるまでには至っていない。そのロシアの国家財政を下支えしているのが、エネルギーの輸出、特に原油だ。
侵攻開始直後の2022年3月、アメリカやイギリスなどがロシア産原油の禁輸を発表。その後、同年5月にはG7=主要7か国がロシア産石油の輸入禁止を発表した。
先進各国の間でリスクを避けようとロシア産原油などを“買い控える”動きが出たが、なぜ輸送量全体は大きく変化しなかったのか?それは輸送量が大きく増えている国があるからだ。それが、インドや中国、トルコなどだ。データからもはっきり表れている。
ロシア産の“安さ”に注目したとみられる意外な行き先も判明した。それが中東の産油国、UAE=アラブ首長国連邦だ。ドバイDubaiから、ラクダが歩く砂漠の中の道を車で走ること1時間余り。オマーン湾に面した
フジャイラ(Fujairah)港:右は、石油タンカーなどの燃料補給の国際的な拠点として知られる。取材に訪れた時に停泊していた船の1つ、ギリシャ船籍のタンカーはAISのデータなどからロシア北西部
フィンランド湾に面するウスチ・ルガ(ウストルガ Ust-Luga)の港を出発し、地中海やスエズ運河を通ってやって来ていたものであることが分かった。積み荷は重油とみられる。左は、欧州タンカーの流れとUAEの位置。参照記事
背景にはUAEとロシアとの良好な関係があるとの指摘もある。UAEはOPECプラスにおける原油の生産調整で協力関係にあり、ウクライナ侵攻後も良好な関係を保っている。最大都市ドバイのリゾート地には、ロシアの富裕層が高級マンションを購入するケースが増えていて、侵攻後、ロシア企業が拠点を移している。割安なロシア産の石油製品を貯蓄施設が豊富なフジャイラ港などにいったん輸入し、“UAE産”として再度輸出することで、その差額で利益をあげている可能性があると指摘されている。参照記事
2023年4月20日:フィンランドの研究機関「エネルギー・クリーンエア研究センター(CREA: Centre for Research on Energy and Clean Air)」が4月18日に発表した報告書で、ウクライナ侵攻をきっかけに5カ国がロシアから原油の輸入を増やし、ロシア産石油に制裁措置を取っている国々に販売する製品向けにその原油を精製しているという。そうした国々の「ロンダリング “laundering” 」の動きはロシア産石油製品の価格上限の効果を弱め、侵略の資金を提供しているとアナリストは指摘している。「製品の原産地が変更されているため、これは現在のところロシアの石油に制裁を科している国々に石油製品を輸出する合法的な方法だ」と報告書にはある。「この手法はプーチンに戦争資金を提供する」とも指摘している。
ウクライナ侵攻後にロシアからの石油輸入を増やした「ロンダリング国」として、CREAは中国、インド、アラブ首長国連邦UAE、トルコ、シンガポールを挙げている。また、これらの国々は欧州連合(EU)、オーストラリア、日本、英国、カナダ、米国など制裁としてロシアの石油製品に「上限価格を設けた国」への精製品の輸出も増やした。
右の表は、ロシア化石燃料(石油、ガス、石炭)のCREAによる、2022年侵略以降2023年4月までの上位輸入国:参照英文記事、その他の表含む 参照記事 英文記事 参考:CREA・Weekly snapshot ‑ Russian fossil fuels 3 to 9 April 2023 、、、結局、各国の諸々の事情や抜け道が多く、経済制裁でのロシア産資源の完全排除はできず、武力侵略に拘(こだわ)るプーチン政権には、力ずくで制圧するしかないように見える。
2023年4月21日:インドと中国は、ロシアから4月前半に出荷されたウラル原油の大半を、先進7カ国(G7)などが設定したロシア産原油に対する価格上限1バレル=60ドルを超える水準で購入したもようだ。ロイター通信が伝えた。参照記事
ロシアの原油の生産コストは1バレルあたり30ドルから40ドル程度だとされていて、ロシアに利益をもたらさないよう、ポーランドなど一部の国は30ドル程度の低い価格を提案してきた。しかし、上限価格を低く設定しすぎると、ロシアが反発して供給量を減らし世界的に原油価格が高騰するおそれがあり、最終的に60ドルとなった。ロシアに制裁をかけながら世界の原油の供給量を守るという両面をにらんだ上限価格の設定は効果を発揮できるのか、今後の推移が注目されます。参照記事
日本の中古自動車がいかがわしい連中にも渡っているが、UAE在住のイラン人、アフパキ人達がちょちょいのちょいで再輸出でしょう。UAE政府は公式には知らないことになっているのでは。彼らから別名目で税を徴収。