

12年前に起きた、東京電力福島第一原発事故、、その後の世界に目を向ければ、日本に先駆けて、「新型炉」と言われる原発の建設が各国で行われている。その一つが「EPR(ヨーロッパ加圧水型原子炉)」と呼ばれる原子炉。最初に着工したのは2005年のフィンランドだった。国の電力需要の3分の1以上を原発で賄っているフィンランド。現在、70年代から80年代にかけて運転を開始した4基の原発が稼働している。



核燃料が溶ける事態。これは原子力の分野では「シビアアクシデント」という。この事態に対する備え方が、福島第一原発事故にいたる前から、日本とは大きく違っていた。日本ではシビアアクシデント対策は電力会社の自主対策に委ねられ、規制機関の審査事項ではなかった。
一方のフィンランドでは、スリーマイル島原発事故(1979年・アメリカ)を受けて、3年後には規制機関からシビアアクシデントに対する規制要件が出されていた。「YVL」と呼ばれるSTUKが作成した規制基準の中に、事故が起こった際の放射性物質の総放出量の規制も定められ、さらに、放射性物質の大量放出に至る発生確率も低く抑えるように要求している。この法律は1991年にすでに施行されていた。チョルノービリ(チェルノブイリ:1986年・旧ソビエト、現ウクライナ)原発事故の5年後である。
これらの要求はすでに稼働している、いわば“古い”原発に対しても、こうした基準を達成する努力を継続的に行うよう求めている。フィンランド南部にあるロヴィーサ原発。福島第一原発と同じく1970年代に運転を開始した。
この原発は旧ソビエトの設計。フィンランドの原発の規制を担うSTUK(放射線・原子力安全センター)は放射性物質を閉じ込めるための格納容器に脆弱性があると指摘した。しかし、巨大な構造物である格納容器の改修は容易ではない。

この斬新な設計はどこかの原発を参考にしたのかと尋ねると、「自分たちの発電所が世界で最初に取り入れた設計です。私たちはそれをとても誇りに思っています。その後、アメリカで開発された新しい原子炉

ロヴィーサ原発はIVR導入後も毎年対策を重ね、事故の発生確率がこの20年で30分の1に減少。しかし規制機関STUKは、現在の対策だけでは、決して十分だとは考えていないという。

実は、EPRは建設のトラブルが続き、2005年に着工され、2009年には完成予定だった。建設費も当初の予定を大幅に上回り、18年の建設期間を経て、ようやく今年2023年営業運転開始をめざし、現在試験運転中だ。
、、、当ブログを遡(さかのぼ)れば、フィンランドは2012年9月には欧州で最初の脱石炭消費国を公表している。当時筆者は、そのブログの末尾に「国策という名で無知と放漫と無責任がまかり通る(日本の)行政は、いつになったら改善されるのか?」と書いている。過去ブログ:2012年10月2025年までに石炭を止めるフィンランドとオンカロ:
一旦公共施設等が出来てしまうと、余程のことが無い限り改善も修繕も行なわない。小さなことでは、我が家の横にある大型車も通る鉄骨の小さな橋だ。錆が浮き、溶接部分が腐食し始めている。傷が浅いうちになぜ直さないのかと聞くと、大規模な修繕の必要が出て、予算がつくまでこのままだと言う。いまなら費用も少なく修繕でき、その結果、長持ちもするだろうに、、。時間がたてば危険度が増し、修理も大がかりになる。相変わらず非合理的な役所仕事だ。
フランスも建設が遅れごそごそしている。
設計思想的には東電の物よりずっと安全なんでしょう。きっと・・・願望。