
右地図は、2023年3月4日放送のNHKスペシャルのドラマ
「南海トラフ巨大地震」の想定の震度分布図です。多くの人は、南海トラフ地震と聞いて、太平洋側が一気に襲われる巨大地震をイメージすると思います。このとき、国は最悪の場合の死者を32万3000人と想定しています。この被害想定は、南海トラフの想定震源域が一気にずれ動いた場合を前提としています。このケースは
「全割れ」とも呼ばれています。(※地震学の関係者の間では地震が起きることを「割れる」と表現することがあります)

一方、右図は南海トラフ地震のうち、国による
西の「
半割れ」の想定イメージを示したもの。四国や近畿、それに九州の各地で震度7。一方、関東や静岡では震度3や4となっています。マグニチュードは8.9です。

しかし、この地震で終わりではありません。南海トラフでは、西の領域だけで巨大地震が起きると、東の領域でも巨大地震のおそれが高まります。
東の「半割れ」の想定イメージの震度分布図が左です。愛知や静岡、三重で震度7。関東甲信や近畿も、震度6強や6弱の揺れが襲います。太平洋側の人口密集地帯を襲う巨大地震が、
「連発」するのです。映像:
5分で伝える[NHKスペシャル]南海トラフ巨大地震
現代の日本が経験したことがない2回の巨大地震。:日本の防災を長年リードしてきた京都大学の河田惠昭名誉教授:左 は、日本の国力に影響を与える「国難」級の災害になるおそれがあると指摘します。それでは、この聞き慣れない「半割れ」とは、どういうものなのでしょうか

国や専門家が強い警戒を呼びかける、「全割れ」とは別のケースが
「半割れ」で、右図で示すように、例えば「赤色」で示した東側の震源域と、「黄色」で示した西側の震源域がそれぞれ別々に、しかも時間を空けてずれ動くケースです。

この「半割れ」は、歴史的にも繰り返し起きています。江戸時代の1854年には、「安政東海地震」と「安政南海地震」が32時間差で、そして昭和の前半には1944年の「昭和東南海地震」と1946年の「昭和南海地震」が2年の時間差で発生しているのです。
それでは2回の巨大地震で、何が起きるのでしょうか。:(1)「2度の揺れ」、(2)「災害救助」、そして(3)「日本経済」の影響を見ていきます。
1つめの影響が、「2度の揺れ」で、2016年の熊本地震:右 では、2度の震度7に見舞われた地域で、建物の倒壊が相次ぎました。更に、こうした被害が広域に及ぶおそれがあるのです。オフィスビルやタワーマンションといった超高層ビルに、これまでにはなかった被害が及ぶ

可能性があり、中でも被害が深刻だと想定されるのが、大阪:左 や名古屋、それに東京といった大都市です。
摂南大学の西村特任教授らは、大阪にある25階建て、高さ約100メートルの鉄骨造、制震装置のあるオフィスビルの構造を、

コンピューター上で再現。大阪・此花区の地盤で想定される揺れを2回、入力しました:右。分析の結果、超高層ビルの倒壊の可能性は低いとした上で、南海トラフ地震で大阪を襲うような2度の大きな揺れは、今のビルの設計の基準では想定されていないものだと指摘します。

「半割れ」の
2つめの影響が、「被災地への救助の遅れ」で、1度巨大地震が起きたとき、次の巨大地震の可能性が高まるため、救助が大きく遅れるおそれがあるというのです。1回目の巨大地震で被害が少なかったとしても、被災地の応援に行っている間に、もう1回巨大地震が起きるおそれがあるためです。

「半割れ」の影響の
3つめが、日本経済への深刻なダメージです。シミュレーションの結果では、青で示したのが、西の「半割れ」が一度だけ起きたケース。これに対し、オレンジで示したのが、東の「半割れ」も起きたケースです。西の「半割れ」で、回復しつつあった企業の生産額が、一気に落ち込み、元の水準に戻らなくなることがわかります。
シミュレーションでは、最初の地震の発生から1年間で失われる企業の生産額の総額は134兆円にのぼりました。東日本大震災の10倍、日本の国家予算に匹敵します。今回の取材で明らかになった、2回の巨大地震が日本を襲う「半割れ」ならではのリスク。目を背けたくなるような事態だと思います。一方で、多くの専門家は、「対策をすれば被害を減らすことはできる」と言います。
参照記事から抜粋、編集
電気のケーブル、ガス管もかなり強いのでは。ただ、最上流の工場は問題だが。
上下水道管は浄水場、汚水処理場共々ほぼ全滅の様な気がする。
直撃は耐えても、その後の長く暗い情景が目に浮かぶ・・・トマホークは役に立たず。