米軍は2023年1月25日、ソマリア北部northern Somaliaで「イスラム国」(IS)系組織のビラル・スダニ Bilal al-Sudani 幹部ら約10人を殺害した。バイデン米政権が26日発表した。スダニ幹部はソマリア北部の山岳地帯を拠点にアフリカ各地でIS勢力を拡大させ、アフガニスタンを含む世界各地のIS勢力に資金提供していたという。
米政権高官はスダニ幹部について「米国の対テロ作戦の重要な標的だった」と指摘。数カ月前に情報を得て作戦を立案し、バイデン大統領が今週承認したという。ヘリで急襲し拘束も試みたが、激しい抵抗を受けたため殺害したとしている。この作戦の数日前には、米軍、ソマリア国軍が首都Mogadishu北部で、約100人のアル・シャバブ組織を攻撃し、約30名を殺害し、これまでで最大規模の戦果を挙げていた。英文記事:Senior Islamic State leader killed in US raid in Somalia 英文記事 英文記事
アル・スダニは2012年に、外国人戦闘員がアル・シャバブの訓練キャンプに移動するのを助け、資金調達を促進したとして、米国財務省から制裁を受けていた。この作戦の具体的な内容には言及を避けたものの、米国の情報機関に「貴重な情報」を提供することが期待されるという。米軍は
"ソマリアでテロ対策作戦を成功させた "とだけ述べ、"民間人の負傷者や死者は出ていない "とした。
参照記事 英文記事 過去ブログ:2022年8月今も続くソマリアのアル・シャバブのテロ アフリカ


今回の攻撃は、昨年末に米軍がシリアでISのトップリーダー2人を空爆で殺害した流れで行われ、バイデン政権が「地平線を超えた攻撃:“over-the-horizon” raid 」で、シリアやイエメンのイスラムテロ組織に対し、テロリストの脅威に対抗するというバイデン政権の戦略の継続を意味し、米国がアフガニスタンから撤退した後に大統領が明らかにした戦略の転換点である。

右図では2022年9月時点の、主なIS系Islamic State Branch、アイルカイダ系Al Qaeda Affiliateイスラム過激組織の分布と、各地域の組織略名、成立年と兵員規模を示している。当ブログ記事中ではこれまで、「イスラム国」系はISと表記している。ニュースで「イスラム国:IS」系の総称を、ISISと書かれる場合もあるが、図のように、ISISは、特にイラクを拠点にするIS系組織“Islamic State of Iraq and Syria” を指す。図では、IS系の名称はIS~と、ISの後に州や

赤い矢印は、組織の急速な拡大傾向を示す。オレンジは拡大傾向、黄色は組織維持状態、緑色は縮小傾向を示す。兵員規模では、イラクIraqのISIS、ソマリアSomaliaのAl Shabaab、ナイジェリアNigeriaのISWAPの順に兵員が多い。 英文記事 英文記事 参考:Senior Islamic State leader killed in US raid in Somalia
