2023年1月22日:以下は、「プーチンの命運:ロシア権力の今後の行方は? 北野 幸伯」の記事からの抜粋、編集。
21261473-putin-church-GettyImages-1240189716、、ロシアのテレビでは、プーチン批判は一切聞かれない。そして、強力なプロパガンダが行われ、成果を上げている。例えばロシア国民の多くは、「ゼレンスキー政権はネオナチだ」「西側の指導者たちは悪魔主義者だ」「ロシアがウクライナを攻めなければ、ウクライナがロシアに攻め込んできた」などの情報を事実と認識している。「悪魔主義」に関しては、プーチン自身が2022年9月30日の演説で以下のように語った。「西側エリートの独裁は、西側諸国の国民を含むすべての社会に向けられている。全員への挑戦状だ。このような人間の完全否定、信仰と伝統的価値の破壊、自由の抑圧は、宗教を逆手に取った、つまり完全な悪魔崇拝の特徴を帯びているのだ」

これらの情報を国民に信じさせることができる、ロシアのプロパガンダがいかに強力か、ご理解いただけるだろう。このため、ウクライナ戦争の失敗についても「プーチンは、何の責任もない」とプロパガンダ工作することで、権力を保持し続ける可能性は確かにある。
FireShot Webpage Screenshot #536 - '【FireShot Webpage Screenshot #537 - '“黒い金庫番”では、「プーチンに代わる人物」は誰になるのだろうか?プーチンには、大きく2つの支持層がある。「オリガルヒRussian olygarchs」(新興財閥:参照記事)と「シロビキシロヴィキSilovik」(諜報、軍、警察など)だ。プーチン政権支援の主なオリガルヒは、米国の制裁対象になっている。
FireShot Webpage Screenshot #535 - '【分析】プーチン大統領 軍 2プーチンにより近いのは「シロビキ」だ。「シロビキ」には、6人の「大物」がいる。ショイグ国防相、ゲラシモフ参謀総長(1月、総司令官に昇格)、ボルトニコフFSB(連邦保安局)長官、ナルイシキン対外情報庁長官、ゾロトフ・ロシア国家親衛隊隊長、パトルシェフ安全保障会議書記だ。ところが、ウクライナ侵攻で6人のうち5人までが、プーチンの信頼を失い「傷」を負ってしまった。

1026218909一人だけ「無傷」なのが、ニコライ・パトルシェフ(Nikolai Platonovich Patrushev, 1951年 7月11日 - )安全保障会議書記だ:右。プーチン政権の名目上のナンバー2は、首相のミシュスティンである。しかし、実質的なナンバー2は、このパトルシェフだ。1951年生まれで、プーチンと同じくレニングラード(現在のサンクトペテルブルク)に生まれ、レニングラード造船大学を卒業後、KGBに勤務する。99年8月、プーチンの後を継いで、FSB長官に。2008年からは、安全保障会議書記を務めている。彼は、プーチンと同じ市で生まれ、KGB、FSBで出世し、プーチンと同じ世界観を持っている。だから、プーチンが「現状最も信頼している男」なのだ。ところが、パトルシェフは次期大統領候補には挙がっていない。なぜだろうか?問題は年齢だ。パトルシェフは今年、71歳になる。ロシア人男性の平均寿命は68歳なので、彼は「平均寿命プラス3歳」だ。大統領になるには少々歳をとりすぎている。

2103287そこで、「後継大統領候補」に浮上してきたのが、パトルシェフの長男、ドミトリー(Dmitry Patrushev: born 13 October 1977~)だ:左。現在45歳で、農業大臣という職にある。その前は、ロシアの大手銀行VTBの副頭取、ロスセリホズバンクの頭取、ガスプロムの取締役などを務めていた。要するに、ドミトリー・パトルシェフを大統領にして、プーチンとニコライ・パトルシェフが「院政」を行うというシナリオだ。
その他にも、メドベージェフ前大統領、キリエンコ元首相、ソビャニンモスクワ市長、ミシュスティン首相などが、「後継者候補」といわれている。だが、プーチン最大の支持基盤は「シロビキ」であり、「シロビキ」最大の大物がパトルシェフであること、そしてプーチンが彼を最も信頼していることを考えると、パトルシェフファミリーが「権力の座」に最も近い」といえるだろう。過去ブログ:2023年1月プーチンは「3月までにドネツク州を制圧しろ」と命じた    



nappi11 at 00:02│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

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