



セルビアのアレクサンダル・ヴチッチ (Aleksandar Vucic)大統領は憤慨。国営テレビで、「なぜワグネルは、私たちの規則に違反すると知りながら、セルビア人に呼びかけるのか」と話した。同国の首都ベオグラードを拠点とする弁護士や反戦団体も2023年1月19日、セルビア人をワグネルに勧誘したとして、ロシア大使とセルビア保安・情報局(BIA)のトップを刑事告発した。
セルビア人が国外の紛争に参加するのは違法で、ウクライナでの戦争に関わっているセルビア人は、多くはないとみられる。2014年にロシア軍と一緒にウクライナで戦った人もいたが、公的には承認されていなかった。実際、セルビアの裁判所は25人ほどに対し、「外国の戦場での戦闘」に参加したとして有罪判決を出している。
セルビアは、欧州連合(EU)加盟の野心よりも、ロシアとの長年の友好関係を優先していると批判されることが多い。ただ、最近の状況は、現実がそれほど単純ではないことを示している。
ヴチッチ大統領は、ウクライナでの戦争に関し、セルビアは「中立」だと発言している。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とは「何カ月も」話をしていないとも説明。両国関係が良好とは言えないことをうかがわせている。主要政党はどこも、ロシアのウクライナ侵攻への支持をほのめかしてすらいない。国連でもセルビアは、ロシアの侵攻を非難する決議に一貫して賛成票を投じてきた。
しかし、欧州議会はセルビアに好印象をもっていない。ロシアへの制裁実施を、セルビアが繰り返し拒んでいるからだ。欧州議会は、セルビアが制裁に同意するまでEU加盟交渉を中断するよう求める決議を可決。セルビアが交渉中断を決議されたのは、これが2回目だ。
セルビアがロシアとの友好関係を維持することは理にかなっていた。ロシアから安価なガスの供給を受けられる、ロシアの国営天然ガス会社ガスプロムがセルビアの石油会社NISの過半数を所有している、ロシアがコソヴォの独立を認めない――といったことが、その理由だった。だが、ウクライナ侵攻が認識を変えた。プーチン氏は、ウクライナ東部の占領地域の独立を承認する際、正当化の理由として、コソヴォの一方的な独立宣言に言及。セルビアは悪印象をもった。
一方のEU側も、西バルカン諸国への無関心が、ロシアに干渉の余地を与えていたと、遅まきながら気づいた。アルバニアと北マケドニアの加盟交渉が速やかに始まり、ボスニアが加盟候補となった。セルビアのヴチッチ大統領は今週、同国が西側に近づいて行くと、改めて強調した。参照記事 英文記事 過去ブログ:2022年9月トルコ・エルドアン大統領は親露と言うより反欧米とバルカン諸国
2023年1月21日:バイデン米政権の米国家安全保障会議(NSC)のカービーJohn Kirby戦略広報調整官:右 は20日、ウクライナ侵攻に部隊を派遣しているロシアの民間軍事会社ワグネルを「国際犯罪組織」に指定すると発表した。来週、ワグネルに追加制裁を科すとした。
北朝鮮がワグネルに武器を提供したことを示す、ロシアと北朝鮮の間を運行したとされる列車が写っている画像も公開し、ロシアへの協力を否定する北朝鮮の主張は事実と異なると訴えた。
同氏はまた、ワグネルが「残虐行為と人権侵害を続けている」と非難し、指定によって国際取引が制限されるとし、ワグネルが5万人の要員をウクライナに展開させていると指摘。4万人が囚人、残り1万人が雇い兵で構成されると述べた。米国は、2022年11月にも、北朝鮮のロシアへの武器、弾薬密輸を指摘している。また、ジョー・バイデン(Joe Biden)米政権の高官は20日、ウクライナは東部ドネツク(Donetsk)州の激戦地バフムート(Bakhmut)の防衛に固執せず、ロシアに対する大規模な反転攻勢に備えるべきだと主張した。 参照記事 英文記事 英文記事 参照記事