中国が政治・経済的な影響力を利用して世界82カ国に浸透している状況を指数化した調査結果が公開され、パキスタンが1位、韓国は13位、米国は21位で日本は下位グループの52位。中国の影響力が最も低い国は南米のパラグアイ82位だった。(注:データ不足か、ロシアやモンゴル、北朝鮮、アフリカ諸国など、調査から抜けている国も多い)
この調査結果は台湾の非営利団体「台湾民主実験室(DTL:Double Think Labs)」が最近発表した「チャイナ・インデックス(CHINA INDEX 2022:中国の影響力指数)」。調査期間は2021年3月から2022年3月までで、82カ国の政治、経済、軍事、法、外交、学術、メディア、社会、技術の計9分野に及ぼす中国の影響を調査した。各分野は11指標に細分化し、評価点数をすべて合算して国別総点を算出した。調査はアンケート方式で行われ、DTLの各国パートナー機関や学者、専門家、ジャーナリスト、シンクタンクおよび市民社会団体の研究員が回答した。
1位のパキスタンは中国が展開する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」事業の核心協力国家だ。この10年間、中国はパキスタンにインフラ投資などのために数千億ドル規模の投資を進めてきた。中国とパキスタンはパキスタンのグワダル港と中国の新疆ウイグル自治区の間の2800キロ区間に鉄道とパイプラインを建設する「中国・パキスタン経済回廊(CPEC)」事業:左(2017年時点)も共同で推進中だ。参照記事
その他地域別では、カンボジア(2位)、シンガポール(3位)、タイ(4位)、ペルー(5位)、南ア(5位)、フィリピン(7位)、キルギスタン(8位)、タジキスタン(9位)、マレーシア(10位)、台湾(11位)、豪州(12位)、韓国(13位)などが上位、以下、カザフスタン15位、エジプト17位、ドイツ19位、ガーナ20位、ニュージーランド26位、英国27位、トルコ31位、ブラジル32位、カナダ37位、仏32位、イタリー33位、アフガン38位、ウクライナ44位、日本52位、インド55位、フィンランド72位、スウェーデン73位だった。南米やアフリカ大陸でも中国の影響力が大きくなっていた。ペルーと南アフリカ共和国が同点5位になったので6位は無い。参照:CHINA INDEX 2022
DTLは「ペルーの事例は米国が油断した隙を狙って中国が中南米で資源狩りに乗り出していることを示している」と明らかにした。南アは「BRICS(新興経済5カ国)」の一員として、中国と持続的な経済的な友好関係を維持してきた。
韓国の場合、分野別には経済領域での影響力が最も高く、経済分野での中国の影響力は82カ国平均が33.6%だが、韓国は72.7%だった。次に法執行(62.5%)、国内政治(52.3%)、外交(52.3%)、学界(47.7%)などが世界平均より高い数値を見せ、中国の影響から自由ではないことが分かった。
一方、中国と覇権競争を繰り広げる米国では学界や国内政治、メディア領域で特に中国の浸透力が大きかった。日本について韓国中央日報は「中国と貿易、観光などで深く関わっているにもかかわらず52位にすぎなかった」と意外感をもって伝えた。参照記事 過去ブログ:2022年12月外資に買われる日本の土地、建物が無防備なまま防衛だけ増強?