630_360_1670510999-7392022年12月8日、キーウを訪問したカーチェル・スロバキア外相Slovak Minister of Foreign and European Affairs Rastislav Káčer:写真左 は、クレーバ宇外相Ukrainian Foreign Minister Dmytro Kulebaとの共同記者会見時に、ウクライナは歴史の教訓をよく学んでいるとしつつ、現在ロシアとの協議(宥和)を求める人々に対し、ヒトラーとの合意が当時のチェコスロバキアの破壊と第二次世界大戦の開戦をもたらしたことを喚起した。
今も『私たちは平和を求めている、私たちは協議に賛成だ』と話している人々に対して、『それはヒトラーとの間ですでに経験したこと、かつて誰かが私たちの後ろで行おうとしていたことだ』と述べ、それが当時のチェコスロバキアの破壊と1939年勃発の第二次世界大戦、何千万人の人々の喪失をもたらしたことを知っていると強調した。参照記事 
以下はその歴史経緯
munchen-kaigi1938年にオーストリア併合したヒトラーのナチス=ドイツは、同年チェコの一地方であるズデーテン地方にドイツ系住民が多数を占めることを理由に、その地方の割譲をチェコ政府に迫った。この問題で1938年9月29日にミュンヘン会議(ミュンヘン協定):左 が開催されることとなったが、チェコスロヴァキア政府の首相ベネシュは参加が認められなかった。チェコスロヴァキア政府は英仏がドイツの要求を拒否することに期待をつないだが、宥和政策を採るイギリスのネヴィル=チェンバレン首相Neville Chamberlainはドイツの要求をのみ、ズデーテン割譲を認めてしまい、チェコスロヴァキア解体の第一歩がはじまることとなった。images後にチャーチル 首相Winston Churchillは、チェンバレンによる宥和政策は、「ドイツに軍事力を増大させる時間的猶予を与えた」と非難した。過去ブログ:2011年9月チャーチルの引用文、、、この経過は、プーチンが、クリミア、ウクライナ東部にはロシア系住民が多く住むからロシアへ帰属させろと言い、強引にクリミアへ侵攻しロシアへ併合したのと瓜二つで、ミュンヘン協定は、筆者もプーチンの時価稼ぎと指摘したミンスク合意を彷彿とさせる。

1-3当時ヒトラーは、英仏がナチスードイツに恐怖して宥和策を取った事で調子づき、ポーランドへも一部領土のドイツへの割譲を要求した。
当時ソ連のスターリンJoseph Stalinは日本との軍事衝突であるノモンハン事件(1939年5月)があったので、東方進出を目論むドイツと戦端を開くことは不利と考えヒトラーと急接近し、1939年8月、独ソ不可侵条約を締結、世界を驚かせた。結局それはヒトラーに行動の自由を与えることとなり、同年9月1日、ドイツ・ソ連は東西からポーランドに侵攻し、両国は不可侵条約20220428ds12_p(秘密協定)に沿ってポーランドを2分し占領し、互いに防衛ラインを設定した。これを機に第二次世界大戦が勃発し、ヒトラーはさらにフィンランドを狙う。その後ヒトラーは1941年6月22日に独ソ不可侵条約を破棄してソ連に侵攻(バルバロッサ作戦)して独ソ戦が始まった。参照記事 参照記事

、、、、仮にプーチンがヒトラーの東進を教科書にしているなら、プーチンにとって条約や合意など何の意味も持たない物だろう。スパイとは、裏を掻くのが信条だから、、。img_3e4be49ac305ed2e911fee62dec2281e66772外交が駆け引きで、先が読めない中で難しいことは分かる。その結果、仏マクロン大統領のように、ウクライナを支援しながら「ロシアの安全保障も考慮しなければならない」と、一見矛盾した発言が出てくる。しかし、すでに国連でロシアを「テロ国家」と認定した今、ウクライナ支援の足並みを乱すような、彼の個人的政治信条とも思える発言はしない方が賢明だろうと思うのだが、、。個人的には、今回のロシア侵攻前後、マクロン氏が交渉にこだわった事で、重要な時期にプーチンに時間稼ぎをされ、彼を通じて西側のまとまりの無さが筒抜けだったと見ている。彼はその後態度を変えたが、筆者から見て、すでにイエローカード1枚なのだ。 参照記事



nappi11 at 00:01│Comments(5) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

コメント

1. Posted by 甲東   2022年12月12日 06:36
ここで言うミュンヘン会議など停戦協議とは言わない。大国同士の馴れ合い。逆に言うと、ここで言う宥和はほぼ降伏の意。
ウの出席無しで停戦協議をしろと言う人はほぼ皆無だろう。ミュンヘン会議を例に採るスロバキア外相に無理がある。ヨイショが過ぎるか、ロシアも潰れて欲しいだけか。
ただ、既に調子付いた現ウ政権にとって停戦の選択肢は無いのだろう。最近ゼと会ったアメリカの学者が、ウは数十年続く発火点になる、と言っていた・・・シリアの様にか。五十六なら、今が停戦時、と言いそう。
2. Posted by 甲東   2022年12月12日 10:36
そうか、この記事の主要部分はウの発表だ。
スロバキアという国はよく分からない。チェコにはプライドの高い貴族も結構いたので、良くも悪くも騒いでいた。スロバキアはベラルーシと同じで農民主体だろう。政治的な動きは少なかったのだろう。
チェコにしろ、支配者から抜け出すには同じスラブであるソ連に頼るしか無いという一派も結構いた。日本のシベリア出兵のきっかけとなったチェコ軍団も、成り行きだろうがソ連を頼りウの過激派とも戦った。第2次大戦終了時、ウ人が多く住む東端地域はソ連に獲られた。良かったのだろうと想像。
3. Posted by 甲東   2022年12月12日 13:06
ウ大好き日本人の言だが、マクロンは、“ウクライナは、主権と領土一体性完全回復のために必要なだけずっと仏のサポートをあてにすることができる”、と言っていると。サポート=当事者の様に、とは限らないが。
本人がしゃきっとせにゃ。ピーヒャラ言わず、やってみなはれ。現ウ政権の実力が試されるのは、復興段階に入ってからと思う。
4. Posted by POPPO   2022年12月12日 21:36
もう露助がお気楽に安全地帯から一方的に攻撃できる時間は終わったらしい。w
当然だろう、国際法でも許されることだから日本も敵基地攻撃能力を堂々と抑止力として持てる。阿呆な韓国外相がヌカした韓国の許可なんかまったくいらない。w


ロシアが併合を宣言した南部ザポロジエ州のロシア側「行政府」幹部は同日、ウクライナ軍がメリトポリのロシア軍拠点を米国供与の高機動ロケット砲システム「ハイマース」で攻撃し、2人が死亡したと発表した。

英紙タイムズ(電子版)は、ウクライナの民間インフラに対するロシアのミサイル攻撃が激化していることを受けて、米国防総省が、ロシア国内の軍事施設への攻撃に「青信号」を出したと報じた。米シンクタンクの戦争研究所は「国際法ではウクライナ軍がロシア領内の正当な標的を攻撃することを認めている」と伝えている。

ロシアはイランから供与を受けた無人機による攻撃で、ウクライナの電力インフラを相次いで攻撃、プーチン大統領は「われわれがやっている」と明言した。
首都キーウ(キエフ)を含む複数の地域で停電が続いているほか、ウクライナのゼレンスキー大統領は10日のビデオ声明で、南部オデッサ州内で150万人以上が電気を利用できない状況に陥ったと明らかにした。
zakzak 12/12 米、ロシア国内への攻撃容認か プーチン氏の民間インフラ攻撃で〝GOサイン〟 ウクライナ南部オデッサ州で150万人以上が停電

ウクライナが一方的に露助から理不尽な民間攻撃を受けているのを見て、腹ふくるる思いを開戦以来してきたが、これでスッキリサッパリする。w
何度も言うがサッサとぷーちん大帝はベネズエラに逝けと、私は宣告したい。w
5. Posted by ん   2022年12月12日 22:38
イランのドローン・無人機は結構な威力だな。

これ、中国とかにも流出するよね。
対応策は検討しておかないと。

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