
現状で認可されているのはEDと肺動脈性肺高血圧症の治療薬としてのみだが、世界中でバイアグラの新たな可能性が探求され、2021年3月、スウェーデンのカロリンスカ研究所の研究チームは、慢性の虚血性心疾患がある男性がバイアグラなどのPDE(ホスホジエステラーゼ)5阻害薬を服用していると、死亡や心筋梗塞のリスクが低下する可能性があると発表した。
更に、2021年10月、潰瘍性大腸炎などの治療にバイアグラなどのPDE5阻害薬が効く可能性を中国の浙江大学研究チームが指摘した。また10数年前から海外では、間質性肺炎の一種である特発性肺線維症の症状をPDE5阻害薬が軽減するとの研究が進んでいる。その他の可能性として、PDE5阻害薬は男性ホルモンのテストステロンを増加させるため、男性の更年期障害への効果が期待できる。また血管内皮を修復する機能もあり、血管年齢を若返らせるとも言われます。他にも、抗炎症効果で前立腺炎や精巣上体炎を治療する可能性や、排尿を改善する効果が指摘されている。但し、「ニトログリセリンなど虚血性心疾患治療薬の硝酸剤やNO供与剤とバイアグラを併用すると、血圧が急激に下がって心臓血管系のトラブルが生じるリスクがあります」とも説明されている。 詳しくは参照記事で。
「バイアグラ(シルデナフィル)」は勃起不全の治療薬として、日本では2022年4月から「勃起障害による男性不妊」と診断された場合に限り公的医療保険の対象となりました。そんなシルデナフィルは勃起不全だけでなく、予後不良の多い肺疾患の治療にも用いられていると、カナダ・マックマスター大学の医学博士であるTyler Pitre氏らが解説している。
バイアグラはもともと狭心症の治療薬として開発された薬剤であり、ホスホジエステラーゼという酵素を阻害して血管などにある平滑筋の弛緩(しかん)や血管拡張を助けます。これによって臓器により多くの血流がもたらされ、陰茎の勃起を促進・維持するという仕組みです。この血管拡張作用は陰茎以外の臓器にも有益であり、肺動脈性肺高血圧症(PAH)や特発性肺線維症(IPF)といった慢性的な息切れや咳をもたらす難治性の肺疾患の治療に効果があるとのこと。カナダではシルデナフィルがPAHの治療薬として承認されており、「レバチオ」というブランド名で処方されています。なお、バイアグラとレバチオの間には服用量を除いてほとんど違いがないとPitre氏は述べています。詳しくは参照記事:バイアグラが勃起不全だけでなく肺の病気にも効く理由とは?、で。