

世界的な木材需要の高まりに加え、日本の製材輸入元としてEU(欧州連合)、カナダに次ぐ第3位のロシアからの輸入が経済制裁により一部停止したことが、供給難に拍車をかけた。
建築物の梁(はり)や床を張る下地材などに用いるアカマツは、ロシアからの輸入が主力。木材卸の新東前橋営業所(前橋市)によると、ウクライナ侵攻の緊迫感が高まった2月上旬からアカマツの相場が10%近く上がった。長島竜也所長(46)は円安が影響し、今後の入荷品はさらに10%近く上がる可能性が高いと予測。「輸入量を賄える代替材を探すのは難しい」と不安をのぞかせる。
ロシア産単板の禁輸措置が波及し、合板が作れないという問題も生じている。合板と骨組みで建物を支えるツーバイフォー工法で住宅を建築する高崎テクノ(高崎市)の目黒秀樹社長(56)は「昨年夏と比べて坪単価が3割上がった。資材価格も上がり、家を建てる人が少なくなるのではないか」と心配する。
輸入材が高騰する中、国産材の価格もこの2年で2倍に上がった。ツーバイフォー工法向けに木材を加工するアールフレイム(前橋市)の松本泰幸社長(60)は「今まで柱に加工していた国産杉を合板に回すため、柱材が高くなる悪循環も起きている」と懸念する。参照記事 参照記事
日本自体は、総量としては、ロシアからそれほど多く木材・製材を輸入していたわけではありません。ただ、建築用のカラマツの合板は、その強度(耐震性)から需要が多く、日本の木造住宅の多くに使用されています。いずれにしても、世界市場でのロシアからの木材供給停滞が続けば、その影響から逃れることはできません。
現場では、「コロナ前に3,000万円で建てられた家が、3,800万円必要な状況」といわれるほど。建材の入手難は、納期の遅れも招いているようです。日本は、木材のおよそ6割を輸入に依存しています。ただでさえ相場の高騰に悩まされているところに、輸入価格の上昇に直結する歴史的な円安が襲いました。当面、これから住宅を購入しようと考える人にとっては、厳しい環境が変わりそうにないとみなくてはなりません。参照記事