2022年8月1日:ウクライナ東部ドネツク州ロシア軍占領下のドネツク州オレニフカにあるウクライナ人捕虜収容施設 Olenivka prison in Russia-occupied Donetsk region of Ukraine の7月29日夜の爆発を巡り、ポドリャク大統領府長官顧問は2022年7月31日までに、米紙ニューヨーク・タイムズに「爆発は施設の内側から起きた」と専門家が分析していると述べた。捕虜から「砲撃ではなかった」との証言も浮上、ウクライナ軍が米国の高機動ロケット砲システム「ハイマース」で攻撃したとするロシアの主張との矛盾が次々と出ている。
ポドリャク氏はロシア側が公開した写真や映像から建物の外側にほとんど損傷はなく「どの専門家に聞いても爆発はミサイルや砲撃によるものではないと答えるだろう」と強調し、ウクライナ側は収容施設で拷問が行われており、証拠を隠すために「偽旗作戦」を決行したと主張。
ニューヨーク・タイムズは元収容者の証言として、チェーンや鉄パイプでめった打ちにされたり、電気で拷問されたりする内部の実態を伝えた。両陣営ともに、事件が発生する数日前にウクライナのマリウポリのアゾフスタリ製鉄所で最後まで抵抗したアゾフ大隊の捕虜が連行され、収容されていたことで見解が一致し、捕虜53人が死亡、75人が負傷したとされる。参照記事 英文記事 参照記事
、、、、、これまでにも多くの市民を拷問、虐殺してきたロシア軍が、証拠隠滅にバラック造りの収容所を捕虜もろとも爆破した可能性が浮上している。アゾフスタリ製鉄所の攻撃では、残虐さで有名な露軍傭兵チェチェン兵士やロシアの民間軍事会社「ワグネル」の傭兵が主力だったと記憶しているので、このようなことが起きても不思議はない。第一報が出て、ロシアはすぐにウクライナ側の誤爆と主張した。そんなことがあるわけないと、続報を待った結果がこれだ。ロシア軍がしている事はナチスとなんら変わらない。国際赤十字委員会(ICRC)は29日、まだ他のウクライナ人が拘束されていると思われるロシア占領下のオレニウカへのアクセスを得る努力をすると発表した。、、、左の衛星写真や他の内部写真からは、バラックの床に口径200mm以上のロケット弾が直撃した痕跡も無く、ロシアの説明は当てはまらない。英文記事 過去ブログ:2022年5月マリウポリでロシア軍が化学兵器使用か?と同市の惨状 3月ウクライナで親露、反露チェチェン組織が戦闘状態
ゼレンスキー大統領は、ウクライナ人捕虜の死亡を調査するために国連と赤十字の職員を招いた際、ドネツク州東部のウクライナ支配下にある地域に住むすべての市民に対し、冬を乗り切れないとして避難を呼びかけた。ウクライナ当局がこの地域から離れるよう人々に指示したのは、これが初めてではない。ウクライナの推計によると、ドネツクの非占領地域にはまだ20万人から22万人の民間人が住んでいる。
オレニフカ収容所は、ロシアに支援された自称ドネツク人民共和国(DNR)が支配している。7月29日金曜日にそこで何が起こったかはまだ不明である。検証されていないロシアのビデオ映像は、破壊された二段ベッドとひどく焦げた死体が絡み合っている様子を映し出している。
30日土曜日には、ロシアは攻撃で死亡した50人の捕虜のリストを発表した。モスクワは、この攻撃はウクライナが米国製のHIMARS砲システムを使って行ったものだとしている。キエフは攻撃の実行を否定し、ロシアが戦争犯罪の証拠を隠蔽するために施設を攻撃したと主張している。、、アゾフ連隊は、2014年に設立された時点で極右とのつながりを持つ民族主義的な集団である。その後、ウクライナの国家警備隊に編入された。アゾフ軍は、最終的にロシアに占領された南東部マリウポリ港の巨大製鉄所であるアゾフスタルを数週間にわたって激しく防衛した後、2022年5月に武器を置くことを余儀なくされた。ロシアはこれまで、2022年2月24日のウクライナ侵攻を正当化するためのクレムリンのプロパガンダキャンペーンの一環として、連隊がネオナチや戦犯であると長い間非難してきた。英文記事
2022年8月4日:ウクライナ国防省の情報部門は3日、東部ドネツク州の親ロシア派勢力が自称する「ドネツク人民共和国(DPR)」の収容施設で先週起きた爆発について、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」が実行したと主張した。可燃性の高い物質を使用した結果、敷地内で急速に炎が燃え広がったとしている。ウクライナ国防省情報部門はまた、収容施設での尋問にはワグネルの人員だけでなく、DPRやロシアの治安機関も関与していたと主張。尋問では拷問や殴打が積極的に使用されたが、これは特定の情報を入手するためではなく、いじめや身体的な辱(はずかし)め、士気をくじくことを狙いとしていたと主張した。参照記事