米インド太平洋軍は、中国が2025年までには4空母を建艦すると見る。英防衛関連の情報筋は2030年までに空母5隻を抱えると予測するという。最終的には6~10隻に増強するというのが専門家の一致した見方で、保有空母11隻と世界最多を誇る米国を追い上げると見ている。
米国の空母は、すべて原子力空母である。23年に一度、核燃料を交換すれば済む。中国は、通常動力であって頻繁に燃料補給を必要とする。この米中における空母の動力源を比較しただけで、中国が米国とまともに戦えないことは明白だ。
米国空母には100年の歴史がある。中国は、「遼寧」の就役が2012年、「山東」が同19年である(共に総排水6万トン)。「福建」(総排水8万トン)の就役は2028年以降と見られる。「遼寧」と「山東」はテスト用空母だ。まだ、両空母の経験を「福建」に生かすという段階である。ヨチヨチ歩きが始まった段階である。過去ブログ:2022年6月中国と言う大国? 6月中国3隻目の空母進水 2021年10月中国の建造中の003型航空母艦を衛星から捉えた 2021年10月岸田政権の対中政策の行方と日本 10月「辛亥革命」110周年記念での習近平の危ない声明 2020年7月米ミサイル駆逐艦南シナ海で「航行の自由作戦」実行と日英の動き 2015年3月中国 新国産空母建造を認める 2011年8月怖いクズ鉄 中国空母ワリヤーグ>遼寧
中国は、空母を持ったと言っても形ばかりだ。実戦経験ゼロの状態である。米海軍は、太平洋戦争で日本海軍と死闘を繰り広げた経験を持つ。しかも今回は、その死闘を演じた旧日本海軍の経験を、100%受け継ぐ海上自衛隊と連携するのだ。日米海軍が、実戦経験ゼロの中国海軍と対峙すればどうなるか。おおよその見当がつく。中国海軍は、手足がすくんでしまうであろう。
実は、無敵と見られている空母にも「死角」が指摘されている。対艦ミサイル攻撃や潜水艦攻撃を受けやすいのだ。武器技術が日進月歩の現在、空母を敵の攻撃からどう守るかという課題が深刻になっている。空母での防空ミサイル開発は、攻撃してくる対艦ミサイル開発よりも技術的に遙かに困難であると指摘されている。空母という限られた空間で、四方八方から飛来するミサイルを瞬時に迎撃するのは神業である。空母を護衛する中国の潜水艦技術には、いくつかの弱点がある。騒音を海中にまき散らしていることだ。敵艦が、容易にその存在位置を探索できるとされている。日本の潜水艦は静謐そのもので、敵の探索から逃れている。中国潜水艦の真下に、海上自衛隊の潜水艦が潜っているケースもある。
空母が、護衛部隊である「打撃群」を随行させることは、すでに指摘した通りである。その建艦費にどのくらいの資金が必要かである。次の試算例は、ほぼ10年前にされたものだ。その後、年数も経っている現在、コストはさらに高まっているだろう。
米海軍が、空母1隻と艦載機、護衛・補給艦船からなる空母部隊を新たに整備するには約300億ドル(現在の為替相場で換算、約4兆円)かかる。加えて人件費や燃料代などに年10億ドル(同、約1300億円)が必要と見積もられていた。艦船の機能高度化などに伴い、現在のコストは一段と上昇している筈だ。空母一隻と打撃群の初期投資に300億ドル。それにランニングコストで年間10億ドルを必要とすれば、中国が、2025年までに4空母を、2030年までに5空母を抱えると予測すれば、大変な財政負担は間違いない。5空母体制になれば、あと2隻分で600億ドル(約8兆円)以上、ランニングコストで年間50億ドル以上がかかる計算だ。参照記事
、、、、当然だが、中国海軍が教科書にしているのは太平洋戦争で、最近ではウクライナ戦争だろう。しかし今は植民地時代ではない。過去に列強に蹂躙されたコンプレックスがあるにしろ、張子の虎にここまで国費をつぎ込めば、世界から警戒されて当然だ。それを根拠にさらに軍備を拡張すると言う、負のスパイラルをいつまで続けるのか?同じ疑問は中国国内にもあると言うが、、、。現状では、軍事上だけでなく、経済圏上も中国の孤立が加速している。
TPP「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(現略称: CPTPP、The Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership ; TPP11):加盟11カ国」だけでなく、バイデン大統領が2020年5月の訪日に合わせて設立を表明したIPEF:Indo-Pacific Economic Framework(新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み」参照記事)は、TSMCとサムスン電子を中国から切り離す狙いがあるといわれる。過去ブログ:2022年7月ウクライナ問題で米、欧州の結束強まり米中対決は陸から海上へ 6月ある中国人教授の中国平和国家論 6月「TSMC(台湾)奪い取る」と中国政府系識者が挑発とIPEF 2021年11月中国のCPTTP加盟申請に豪州首相が「ノー!」