厚生労働省は2022年6月3日、2021年の人口動態統計月報年計を発表した。出生数は前年より2万9231人少ない81万1604人で、1899年の調査開始以来、過去最少を記録。合計特殊出生率は前年比0.03ポイント低下の1.30でとなり、自然増減数は15年連続で減少している。
その中で兵庫県明石市は、人口が9年連続で増え、出生率(2018年)も1.70と、全国平均を上回っていて、6月7日には、2011年から市長を務めている泉房穂市長が、「こども家庭庁」に関する参考人として国会に呼ばれ、少子化対策などに関して陳述を行なった。 その際の様子を収めた映像が感動的だとして、日本国内のネット上で大きな話題となった。記録映像
、、、、結論的には、福祉の充実が少子化対策に有効となるが、長い目で見れば、問題はそう簡単ではない。福祉が充実し、国策で十分な養育費の補助、或は無償、教育費の無償化(世界的には教育費の無償化は多くの国が実施している)を長年行っているフィンランドでは、ここ数年出生率が減少化している。データ参照記事
フィンランド統計局の人口動態変化データによると、2020年の出生率は平均1.37人、2019年の出生率は 1.35人で、2010年辺りをピークに下がり続けている。
大きな原因が3つ挙げられている。
1:『経済的な理由』その背景には、例えば都市への移住があり、フィンランドでも地方だと仕事が無いということもあり、多くの人が都市へ移住するが、都市では住宅が高価なため、例えば大きなアパートを買う余裕がないなどの理由で子供を何人も生むことをあきらめる場合があると言う。筆者の経験では、低所得でも住宅購入ができるように国の支援(無金利、低金利)があるので、高い消費税や物価高も影響しているように思う。将来の年金は十分だとしても、現役時の所得税は高く、その手取りで遊興費や外食をねん出するのは決して楽ではないだろう。
また『失業率が高い』2020年に10%まで一度高くなった後、2022年1月現在は6.7%まで下がったが依然として高い失業率が、少子化に影響していると指摘されている。
しかし、筆者の知る限り、フィンランドでは失業手当は十分に支給され、再就職のための新たな技術取得には国が豊富な再教育などの支援体制を設けている。日本の完全失業率は2.5%。
2:『自身の教育と仕事のキャリア』フィンランドでも子供が生まれる前に自身の教育と仕事を軌道に乗せる事が望ましいと考えられているので、必然と子供を産むのが遅くなり、その影響で第2子、第3子となるとますます難しくなったり、全く子供を望まない人も少なくない。過去20年で最初の出産年齢が上昇していて、2020年のデータによると平均31.3歳まで上昇した。つまり、子供は依然として労働生活のリスクとして認識されている。同時に、若者の理想的なライフスタイルも変化し、彼らは旅行をしたり、できるだけ自立した自由な生活を送りたいと思っている。現在そういった若者のライフスタイルは30歳以上にまで拡大しているとKelaの家族研究者Anneli Miettinenは述べている。ちなみに、2020年フィンランド人男性の平均「初婚」年齢は34.7歳、女性は32.6歳です 参照記事。
3:『男女平等』フィンランドでは個人を重んじる傾向があり、出産するかしないかを選択する事が出来るようになったことで、子供を持つよりも個人としての幸せを追求する人が増えているようだ。
共働きが基本のフィンランドで子供を持つ場合、男女平等とはいえ育児はまだ男性よりも女性の方が関わる時間が多く、同じ仕事をしていても男性の方が多く稼ぐと言われている。
このような状況で「独身や子供を持たない選択をした方が(夫婦、または男女間で)ワークバランスを取りやすい」、「自分1人だけの生活の方が、まだ幸福度が高いのではないか」と考える人が増えるとされる。ちなみに、フィンランドで初めて父親になる平均年齢は31.6歳で、初めて母親になる平均年齢は29.7歳。参照記事
、、、、、筆者の個人的見解では、1から3まで複雑に絡んで少子化の大きな要因を形成しているのではと思うが、また、フィンランドでは離婚率が高く(フィンランド総務局統計局が発表する1000人あたりの離婚率は、日本の1.7人に対してフィンランドは2.5人:いずれも2018年時点)だが、違う集計方法では、2011年の離婚率が45%(結婚数30557,離婚数13681)だったが、2020年の離婚率は61%(結婚数22082,離婚数13478)に跳ね上がっているとも指摘されている 参照記事。
幾ら福利厚生が発達していても、離婚すれば子供を増やす機会も、要求も減少するだろう。離婚率の高さはまた、結婚する意欲も減退させる。つまり、未婚で、自分の人生を楽しもうと思う人が増えても不思議はない。筆者の経験からは、フィンランドの少子化原因として4番目に当たる『離婚率の高さ』を導いてしまったが、あくまでも筆者の個人的見解である。
要因はいろいろ推定できるが、さて対策はと言えば簡単ではないだろう。更に、個々がいろんな生き方を持っている以上、国として、または行政としてできることは限られる。フィンランドの資料を参考に、まずは1と3への改善策を目指してはと思う。明石市の例を成功事例とすれば、議論ばかりで進まない国レベルに期待しないで、地方行政が頑張るしかないようにも見える。
その中で兵庫県明石市は、人口が9年連続で増え、出生率(2018年)も1.70と、全国平均を上回っていて、6月7日には、2011年から市長を務めている泉房穂市長が、「こども家庭庁」に関する参考人として国会に呼ばれ、少子化対策などに関して陳述を行なった。 その際の様子を収めた映像が感動的だとして、日本国内のネット上で大きな話題となった。記録映像
、、、、結論的には、福祉の充実が少子化対策に有効となるが、長い目で見れば、問題はそう簡単ではない。福祉が充実し、国策で十分な養育費の補助、或は無償、教育費の無償化(世界的には教育費の無償化は多くの国が実施している)を長年行っているフィンランドでは、ここ数年出生率が減少化している。データ参照記事
フィンランド統計局の人口動態変化データによると、2020年の出生率は平均1.37人、2019年の出生率は 1.35人で、2010年辺りをピークに下がり続けている。
大きな原因が3つ挙げられている。
1:『経済的な理由』その背景には、例えば都市への移住があり、フィンランドでも地方だと仕事が無いということもあり、多くの人が都市へ移住するが、都市では住宅が高価なため、例えば大きなアパートを買う余裕がないなどの理由で子供を何人も生むことをあきらめる場合があると言う。筆者の経験では、低所得でも住宅購入ができるように国の支援(無金利、低金利)があるので、高い消費税や物価高も影響しているように思う。将来の年金は十分だとしても、現役時の所得税は高く、その手取りで遊興費や外食をねん出するのは決して楽ではないだろう。
また『失業率が高い』2020年に10%まで一度高くなった後、2022年1月現在は6.7%まで下がったが依然として高い失業率が、少子化に影響していると指摘されている。
しかし、筆者の知る限り、フィンランドでは失業手当は十分に支給され、再就職のための新たな技術取得には国が豊富な再教育などの支援体制を設けている。日本の完全失業率は2.5%。
2:『自身の教育と仕事のキャリア』フィンランドでも子供が生まれる前に自身の教育と仕事を軌道に乗せる事が望ましいと考えられているので、必然と子供を産むのが遅くなり、その影響で第2子、第3子となるとますます難しくなったり、全く子供を望まない人も少なくない。過去20年で最初の出産年齢が上昇していて、2020年のデータによると平均31.3歳まで上昇した。つまり、子供は依然として労働生活のリスクとして認識されている。同時に、若者の理想的なライフスタイルも変化し、彼らは旅行をしたり、できるだけ自立した自由な生活を送りたいと思っている。現在そういった若者のライフスタイルは30歳以上にまで拡大しているとKelaの家族研究者Anneli Miettinenは述べている。ちなみに、2020年フィンランド人男性の平均「初婚」年齢は34.7歳、女性は32.6歳です 参照記事。
3:『男女平等』フィンランドでは個人を重んじる傾向があり、出産するかしないかを選択する事が出来るようになったことで、子供を持つよりも個人としての幸せを追求する人が増えているようだ。
共働きが基本のフィンランドで子供を持つ場合、男女平等とはいえ育児はまだ男性よりも女性の方が関わる時間が多く、同じ仕事をしていても男性の方が多く稼ぐと言われている。
このような状況で「独身や子供を持たない選択をした方が(夫婦、または男女間で)ワークバランスを取りやすい」、「自分1人だけの生活の方が、まだ幸福度が高いのではないか」と考える人が増えるとされる。ちなみに、フィンランドで初めて父親になる平均年齢は31.6歳で、初めて母親になる平均年齢は29.7歳。参照記事
、、、、、筆者の個人的見解では、1から3まで複雑に絡んで少子化の大きな要因を形成しているのではと思うが、また、フィンランドでは離婚率が高く(フィンランド総務局統計局が発表する1000人あたりの離婚率は、日本の1.7人に対してフィンランドは2.5人:いずれも2018年時点)だが、違う集計方法では、2011年の離婚率が45%(結婚数30557,離婚数13681)だったが、2020年の離婚率は61%(結婚数22082,離婚数13478)に跳ね上がっているとも指摘されている 参照記事。
幾ら福利厚生が発達していても、離婚すれば子供を増やす機会も、要求も減少するだろう。離婚率の高さはまた、結婚する意欲も減退させる。つまり、未婚で、自分の人生を楽しもうと思う人が増えても不思議はない。筆者の経験からは、フィンランドの少子化原因として4番目に当たる『離婚率の高さ』を導いてしまったが、あくまでも筆者の個人的見解である。
要因はいろいろ推定できるが、さて対策はと言えば簡単ではないだろう。更に、個々がいろんな生き方を持っている以上、国として、または行政としてできることは限られる。フィンランドの資料を参考に、まずは1と3への改善策を目指してはと思う。明石市の例を成功事例とすれば、議論ばかりで進まない国レベルに期待しないで、地方行政が頑張るしかないようにも見える。