プーチンには良い出口がない。それが本当に怖い:Putin Has No Good Way Out, and That Really Scares Me・2022年3月8日付 ニューヨーク・タイムズ紙

index私は、サウスカロライナ州の右派の上院議員であるリンゼー・グラハムLindsey Olin Graham氏;右 のファンではない。そのため、彼が3月3日、ロシアのウクライナ侵攻について次のようなコメントをしたとき、賛同している自分に心底驚いた。「(ウクライナ侵攻)を解決できるのは、ロシア国民だけだ。言うのは簡単だが、実行するのは難しい。一生、abject(絶望的な)貧困の中で世界から孤立し、暗闇の中で暮らしたくなければ、step up to the plate(進んで物事に取り組む)べきだ」

56imagesグラハムはさらに、「この事態を収束させるには、ロシアの誰かがこの男をtake out(殺す)しかない」と言った。これは政治家が声高に言うこととしては行き過ぎだとは感じる(ロシアによるウクライナでの殺戮行為に反感を持っている私たちは、内心そう思っているのかもしれないが)。そのため私は、普段は激しく嫌っているもう一人の政治家、テキサス州のテッド・クルーズ上院議員の「大規模な経済制裁を行い、ロシアの石油やガスを買わず、ウクライナ人が自衛できるように軍事援助を行う。しかし、国家元首の暗殺を呼びかけるべきではない」という言葉に同意した。

imagesukraine米国をはじめとするNATO(北大西洋条約機構)諸国は、武器やその他の軍事物資をウクライナに送り出しているが、第3次世界大戦の勃発を恐れて、この紛争に直接関与しないよう努めている。https _imgix-proxy.n8s.jp_DSXZQO1641098026022022000000-1そのため、ウクライナ人は自力でロシアと戦うしかない。幸いなことにそれが予想以上にうまくいっているので、頼もしい限りである。しかし、兵力や火力ではロシアに分があるため、ロシアを完全に国外に追い出すことは難しい。 プーチン大統領はプライドが高く、決してeat crow(敗北を認め)たくないため、侵略をdoubling down(倍増させ)、民間インフラへの攻撃を強め、毎日女性や子供を含むウクライナ市民の死が報告されるような状況が続いている。過去ブログ:2022年3月露軍戦死者推定14400人以上とウクライナが公表と南部の惨状

Revised-Russia-GDPそこで、現状では、西側諸国が制裁措置を講じ、ロシアからの購買を中止し、ロシアでの事業を停止することによって圧力をかけ続けることが、戦争終結への唯一の望みであるように思われる。実際、ロシアを国際金融システムから孤立させる制裁はcrush(重くのしかかり)、ロシアでの事業を停止する企業は増え続けている。世界がロシアの石油・ガス依存を脱却するのはもっと難しいだろうが、すでにアメリカ、イギリス、オーストラリアがそうすることを発表しており、他の国も検討し始めている。ロシア経済への影響は、既にとてつもないものになりつつある。過去ブログ:2022年3月ロシアの戦争収支に於ける中国の重要性

img_4c72764323d7285a40250d5a78b92b6f161517記事の一つにもあるように、経済的にも外交的にも深い傷を負ったロシアは、creak(きしみ)、crumble(崩れ)始め、やがて国民はプーチンのsclerotic(硬直した)独裁的統治に嫌気がさすようになるであろう。しかし、それで政権交代が実現するのだろうか。CIA(米中央情報局)で30年間ロシアの作戦を担当したスティーブン・ホール氏が語る、さまざまな説のうちいくつかを見てみよう。

多くの人は、ロシアの man on the street(一般の人)がプーチンを倒すために立ち上がることを期待しているが、ホール氏はその可能性は低いと考えている。プーチンの政策を支持するロシア人はたくさんいるし、単に政治にapathetic(無関心)になっている人もいると、彼は指摘する。多くのロシア人が唯一アクセスできるニュースで報道される、国のプロパガンダを信じている。82d3b5ac8eb5d662ede52edcc2b30b20_640px一部のロシア市民はデモを行うが、こうしたデモはいつも警察や治安部隊に強制的に解散させられている上、デモに参加した何千もの人が刑務所に入れられている。

FireShot Webpage Screenshot #1235 - '(ウクライナ侵攻)欧米の制裁措置の多くはオリガルヒ(oligarch:新興財閥)をターゲットにしているが、ホール氏は、彼らがプーチンにturn on(突然矛先を向ける)とは考えていない。プーチンとオリガルヒとの間には権力分担のようなものがあり、そのほとんどは一方的で、経済的なものだ、と彼は指摘する。プーチンは彼らにロシア国内外で大規模な金もうけ組織を運営させ、その見返りとして、プーチンの資金洗浄を手伝ったり、プーチンが有用と考えることは何であろうと援助したりしている。しかし、オリガルヒはロシア国内の警察や武装治安部隊などのハードパワーには直接アクセスできないという。参照記事

index シロプーチンの真の脅威は、シロヴィキ(ロシアの治安と軍事のエリートを表すロシア語:露: силовики́、英: Siloviki)にある、とホール氏は考える。野党指導者のアレクセイ・ナワリヌイを毒殺しようとし、また、ロンドンのホテルでロシアの元情報将校、アレクサンドル・リトビネンコの紅茶に放射性物質ポロニウムをlacing(混入させて)暗殺したのは彼らだと言われている。彼らは、過去30年間自分たちの権力を維持してきた独裁政治がスローモーションで崩壊していく様を見ており、プーチンを脅し、彼の政権を終わらせるために必要な武器と人材を持っている、とホール氏は指摘する。「彼らは行動を起こすことを決意するかもしれない」とも述べている。過去ブログ:2022年3月プーチンのなりふり構わぬ政権への固執

しかし、プーチンを排除するのは簡単ではない。彼はクーデターや暗殺を恐れて、警備にこだわっていると言われている。防弾ブリーフケースと高性能のピストルを持ったボディーガード、look-alike(そっくりな)代役、試食係などは、彼が自分を守る手段のほんの一部だと言われている。

さらに、ニューヨーク・タイムズのコラムニスト、トム・フリードマンは、ロシアがプーチンを排除したとしても、すべての問題が自動的に解決されるわけではないと警告している。プーチンの下でロシアが強くなっていくことよりも怖いのは、弱く屈辱的で、disorderly(無秩序な)ロシアになることだという。分裂したり、内部の指導者の混乱が長引いたり、異なる派閥が権力争いをしたりして、核弾頭がそこら中に存在している状態になる可能性があると指摘している。

maxresdefaultその他に考えられる恐ろしいシナリオは、NATO諸国が偶然か意図的にか、より直接的に紛争にget sucked into(巻き込まれる)ことである。あるいは、ウクライナでの攻撃の行き詰まりに怒ったプーチンが、化学兵器、生物兵器、核兵器、サイバー兵器など、他の兵器に手を伸ばすことも考えられる。制裁の痛みによってロシア人が共通の敵に対して団結し、反対意見の弾圧の中で国家のプロパガンダに突き動かされるということもあり得るだろう。いずれにせよ、ロシアのウクライナでの失策の行く末を楽観することはできない。英文記事  ニュース映像 参照記事 過去ブログ:2022年3月プーチン政権で分裂も、、

thomas-l-friedman-thumbLarge、、、、以上のコラムを書いたのはThomas L. Friedman氏:右 とある。随分と根性のない記事を書くものだ。これをプーチンが読めば、「思った通りビビってる」と笑みを浮かべるだろう。フリードマン氏は米国、NATOだけが戦うつもりと思っているのか?米国より硬派な国はたくさんあるし、このままではロシアは、旧ソビエト衛星国やイスラム系諸国、アジア、北欧諸国までも敵に回す。誰も戦争など好まないが、座していても世界が壊れるなら戦うだろう。自由陣営に住むコラムニストなら、使命として徹底的に今のロシアを叩くべきだ。ペンもまた武器である。すでに戦争は始まっており、世界は非常事態に向かっている現実を理解すべきだ。

179475_900images今の状況は、どっち付かずの憶測記事を書く時期を過ぎており、ロシアを敵と思うなら、敵を諌(いさ)めるために世界は何をすべきか、ロシアから敵とされた国民は、どんな覚悟をもって過ごすべきかを書くべきだろう。ロシアにプーチン支持者が多数居ようが居まいが、プーチンの行為が間違っているのは間違いの無いことで、すでに数十万のウクライナ市民が餓死の危機の直面しているのは事実なのだ。ウクライナにまた、 ホロドモール(ウクライナ語: Голодомо́р;ロシア語: олод на Украине;英語: Holodomor, Famine Genocide)が起きてもいいのか?



nappi11 at 20:34│Comments(3) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

コメント

1. Posted by うっちー   2022年03月27日 06:55
ウクライナ東側の実効支配を成果として5月には落ち着くのでは。
多少貧しくはなっても政権崩壊には至らずプーチン大統領続投で。

制裁で物資や技術が不足しても明るく前向きな国民性のキューバのような共産主義国もあります。ベトナムだって共産主義を維持した状態で経済が発展している。共産主義でも一般国民が飢餓状態に至らない水準で維持できれば政権も続きます。
2. Posted by 甲東   2022年03月27日 09:46
ウクライナ東側の実効支配を成果として・・・もう一つ、ウの中立国化を加えて、私もその可能性が一番高いと思うが。
アゼルが停戦協定を破ったとロシアが文句を言い始めたと。だらだらしているとカザフも騒ぎ出したりして。
何にせよ、今の制裁はずっーと続けるべし。内から変わらなければ。
3. Posted by 甲東   2022年03月28日 13:43
ウ大統領がスウェーデン議会で演説し、“スウェーデンとウの国旗が共に青と黄色(金色?)だけからなるのは偶然ではない”、と言ったと。
残念ながら理由までは述べなかった。さてさて。
キエフが結構な町になったのは9世紀後半。ギリシャのぼんさんが布教の拠点にし、また中東方面と交易をしたいスウェーデン系バイキングも拠点にしたのが発展の始まり。キエフ大公国を実質的に建国したのはこのバイキング。スラブもいっちょ噛みはしていただろうがあくまでも従の位置づけ。こんなことを根拠にし、スウェーデンの親戚の様なものと言いたかったのか・・・コサックを持ち出すよりは筋が良い。
スウェーデン側の反応はどうだったのだろう。でも、同じ論法でいくと、より北方で興ったロシアにもバイキングの陰が大きくあるが・・・プーチンの方がゼレンスキーよりバイキングらしい。

少し気が早いが、ウ国民の一体性の拠り所をどこにするか。西と東は随分違う。誤れば東はまたどうなるやら。汚職をしている暇は無い。

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