政府は今年2022年4月、プーチン大統領の6月の訪日に合わせた北方領土問題を含めた平和条約締結の大筋合意を見送った。6月22日にもロシアの国営テレビ番組で「(北方領土を日本に引き渡す)計画はない」と語っている。安倍政権はプーチン大統領と対話を重ね、経済協力を結べば領土問題を解決できる、と考えていたようだが、はしごを外された結果となった。
img_5339d7a4856b131d33112f32b8cc8a3394302imagesウクライナ人のグレンコ・アンドリーAndrii Gurenko氏は、自著『プーチン幻想「ロシアの正体」と日本の危機』で「ロシアとの約束はつねに破られる」と述べ、日本人のロシアに対する誤解について書いている。
以下は、東洋経済2019/07/27 に掲載の「あまりに辛辣!ロシア人の「日本人への本音」 アニメ好きだからといって親日派ではないグレンコ・アンドリー : 国際政治学者、日本研究者 のコラムからの抜粋。

s_GettyImages-535310254-625x805いま日本で広まっている幻想の1つは、「ロシアには日本文化や日本武道が好きな人が多く、彼らは親日に違いない」ということである。 よく「プーチン自身が日本武道をやっているので、日本の伝統や文化をよく理解している」と言われている。しかし、日本の文化に興味があるという理由で、その人が親日になると思い込んでいる日本人は認識が甘い、と言わざるをえない。また、日本の外務省における「チャイナスクール」「ロシアスクール」「アメリカスクール」は有名であり、日本の外交官であるにもかかわらず、日本の国益ではなく、外務省の中で専門とする国の国益を優先するという悪しき習慣も存在するが、ロシアではこのような事例は滅多にない。いずれの分野においても、日本を専門にする人が親日になるわけではない。もちろん、アメリカを専門にするロシア人が親米になることもない。プーチンにとって日本武道はあくまで身を守る手段であり、闘う方法である。暗殺などを通常手段とするKGB出身のプーチンが、武道をやっているから日本文化を理解していると期待することは、いわゆる「お花畑思想」の類のものであると言わざるをえない。
ef671a2a北方領土(北方四島:択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島)のことを聞いたら、たいてい「一島も返すべきではない」「あの土地はわれわれの先祖が血を流して獲得したものだから、返還は先祖への侮辱である」「アニメは大好きだし、日本人とは仲良くしたいけど、なぜ彼らが私たちの領土を狙っているのか理解できない。仲良くしたらいいのに(女の子の場合)」「そんなに領土が欲しいなら、米軍基地を撤退させて空いた土地に住んだらいいじゃないか」「アメリカに支配されているくせに日本人はロシアに文句言うな!」過去ブログ:2021年7月ロシアの北方領土政策に変化が? 米国の中国接近はポーズか?
df2c8dce54fa021e-sさらに歴史について聞くと、「日本人はヒトラーの味方だった」「日露戦争でロシアは日本に騙し討ちの攻撃を受けた。ソ連の対日参戦はそれに対する正当な報復だから、文句を言われる筋合いはない」「今の日本人は戦争に負けてから大人しくなったが、昔は残虐だった。731部隊で人体実験をやっていた。捕虜の首を切り、中国人の民間人を大量に殺していた」と言っている。過去ブログ:2013年6月1941年6月22日ナチス・ドイツが「バルバロッサ作戦」ロシア
ロシアにおいては日本が好きな人であっても嫌いな人であっても、昔の「日本が悪かった」ことと、「南クリル諸島に対する不当な領土的野心」を日本の欠点として取り上げている。歴史に関しては、多少、日露関係史に詳しいロシア人であれば、(江戸幕府がロシアとの間で結んだ)1855年(2月7日)northern-territory-day1-1-1の下田条約(日露和親条約)でロシアは日露友好のためにそれまでロシア領であった南クリル諸島を善意で日本に譲った、と主張している。
さらに、一部の人は「北海道のアイヌはロシア王朝に朝貢をしており、それはロシア支配を認めていたことを意味する。本来はロシア帝国が北海道を領有するはずだったが、ロシアは日本に配慮して侵攻しなかった」と主張している。otujiken4そして「ロシア人の寛大さに対して、日本人はロシア皇太子を襲い(大津事件)、だまし討ちで日露戦争を吹っかけた。まったく恩知らずの民族だ」と思っているのだ。

さらに、天皇陛下について「ソ連のスターリン崇拝が批判されるが、日本だって皇帝崇拝があったではないか。現在でも、一部の狂った民族主義者が日本の皇帝を崇拝している」と主張する人もいる(筆者からすれば、日本の国体の奥深さや皇室の尊さに対する理解をロシア人から期待することはもちろんできない。だが、それでも世界最古の王朝と1代限りの独裁者を同列に考えるのは、無知や非礼の極みである)。

b14e213bだからソ連による対日参戦は、ロシア人からすれば、先述した「ロシアに対する敵対行為への当然な報復」ということだ。したがってロシアは正当に南千島を「取り戻した」のだ、という理屈になる。

以上のことを前提として、現代のロシア人は日本のことをどう考えているのであろうか。その答えはもちろん人によってばらばらである。日本が嫌いなロシア人は「日本人はうそつきで本当のことを言わない」「日本は住居や道が狭くて住みにくい」「職場では人間を家畜扱いしているが、それに抵抗しない日本人にはぴったりの扱いだ」「奴隷根性が強い」など。

たとえ日本のことが好きなロシア人であっても、「昔の日本は悪かった」「北方領土は一島も返すべきではない」と考えている。それだけではない。「今の日本はアメリカに支配されている」と考えている。彼らの頭の中では、アメリカが日本の民族主義者と結託し、存在しない北方領土問題を掻き立て、日露友好を妨害していることになっている。

基本的に、ロシア人の頭の中で友好とは「ロシアへの服従」を意味している。ロシア人は他国のロシアへの服従は当たり前の自然状態だと考えているので、それに反発が起きることを想定していない。したがって、反発が起きたときはそれを「敵対行為」と認識する。ロシア人は、他の民族には独立意思があるということを理解できない。だからこそ、ロシアへの服従に抵抗を示す民族がいることに対して驚くわけである。日本人の皆さんにはなかなか理解できない感覚だろうが、ロシア人はそういう国民である。 以上、参照記事から抜粋、編集、加筆( )内、写真添付

3 13FireShot Webpage Screenshot #1199 - '(5) The Kyiv、、、ある部分参考にはなるが、日本の過去はそうであっても、危険なのは、植民地主義が正義の時代はとうに過ぎ去ったのに、今もロシアが全体主義のプーチンに従っていることだ。歴史に真摯に向き合わず、世界の変化に合っていないのはロシアではないのか?ロシア人は、国連のロシア非難決議で、ロシアを支持したのはロシアを含む5か国だった現実を直視すべきだ。参照記事 参照記事:The Kyiv Independent



nappi11 at 00:06│Comments(1) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

コメント

1. Posted by 通りすがり   2022年03月15日 13:19
「北方領土は日本の領土だ。」と言う時に、「日本が降伏した後にソ連が攻めてきたから。」と一言説明するだけでも、聞く人の印象はかなり違うのではないかといつも思います。

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