ペロブスカイト太陽電池Perovskite Solar Cell、PSC)は、ペロブスカイト結晶を用いた太陽電池。色素増感太陽電池の一種でペロブスカイト型では、従来の色素の代わりにペロブスカイト材料を用い、正孔(ホール)輸送材料(Hole Transporter Material、HTM)としてのヨウ素溶液の代わりに、Spiro-OMeTADなどを使用する。
201709nobel-miyasaka660-3502009年にハロゲン化鉛系ペロブスカイトを利用した太陽電池が桐蔭横浜大学の宮坂力教授ら:左 によって開発された。 2009年のエネルギー変換効率は CH3NH3PbI3 を用いたもので3.9%であったが[、近年変換効率が急速に高まり、低コスト製造できるため将来的な商用太陽電池として注目されている。参考:次世代太陽電池「ペロブスカイト」、抗マラリア薬で変換効率が実用化レベルに向上
z012021年9月、東芝はフィルム型のペロブスカイト太陽電池で独自の成膜技術を開発し、フィルム型では世界最高のエネルギー変換効率15.1%を達成し、広く普及しているシリコン型太陽電池並みの変換効率を実現している。東芝は2025年までに、変換効率が20%以上、受光部の面積9平方メートルの実用化に向けて開発を進めており、発電コストは1kwh20円以下を目指す。参考:東芝のペロブスカイト太陽電池 ペロブスカイト太陽電池実用化への期待と特性=灰チタン石(ペロブスカイト)と同じ結晶構造を持つ有機無機混合材料でできた太陽電池。軽量で柔軟性があり、曇りの日や室内光でも発電できる。電気自動車への搭載や、窓ガラスや柱に設置するなどの応用が期待されている。
Mariestad-Ceremony-8応用:ペロブスカイト型は薄いガラスやプラスチックの基板上に液体を塗り焼いてつくり、印刷技術を使うため従来の太陽電池の半額で製造できる。
2021年9月に世界で始めて量産され、ポーランドのスタートアップ企業が建物の外壁などに設置する電池として出荷する。イギリスや中国の企業も2022年に量産を始める予定で、安く設置場所を選ばないため、普及すれば世界の再生可能エネルギーの割合が高まる可能性がある。写真左は、2019年6月のスウェーデン西部マリエスタ地区Mariestad Municipalityで始まった、太陽光で水素製造の実験施設:The World’s First Solar-Powered Hydrogen Refuelling Station Inaugurated in Mariestad
hydrogenplant-1536x768安いペロブスカイト型太陽電池の実用化が見えてきた
中、スウェーデン・ウメオ大学Umeå University in Swedenの研究チームが、それを使って「太陽光のエネルギーを使いやすい水素へ効率的に変換する手法」を開発した。チームは、太陽エネルギーで水を電気分解して水素燃料に変換すれば、直接燃料として使うことも化学反応で発電する燃料電池として最終的に電気に変換することもできるため、化石燃料への依存を減らすには再生可能エネルギーを水素燃料に変換することが有効だと主張。 水を電気分解するために用いる電極は、直径10マイクロメートル~20マイクロメートルの炭素繊維からなるカーボンペーパーを、化学気相成長(化学気相蒸着)で形成したカーボンナノチューブの薄膜でコーティングし、さらにその上を金属からなる触媒で装飾する方法で作られた。触媒に使われる金属は持続可能性や電気分解反応の促進性を考慮し、地球に豊富に存在する鉄・ニッケル・モリブデンの3種が選択されたと述べている。実際に研究チームが、新たな手法で開発した電気分解装置を稼働させたところ、太陽光エネルギーを13.8%という高い効率で水素に変換することが確認された。

estrategia-europea-hidrogeno電気ではなくさまざまな用途に使える水素燃料にする点が重要で、水素燃料は重量当たりのエネルギー密度が高く、すでに車などに利用されているほか、炭素フリーの鋼やアンモニアの生産といった産業用途に利用可能だ。研究チームは今回開発した電気分解装置p09f42txについて、従来の太陽光電池より安価に製造できるペロブスカイト太陽電池を使用した点や、地球に豊富に存在する材料を用いて電極を作成した点を強調している。、、、原理は誰でも知っている水の電気分解で、画期的な製造装置による本格的な個別の安価で安全な水素製造にはまだ時間がかかるとしても、各国の大学や研究機関で同じような開発が進んでおり、砂漠で水素が作られるのも、水素燃料を自家消費(オフグリッド:Off Grid ・システム)する水素住宅Hydrogen houseの出現も時間の問題だろう。参照記事  英文記事:Hydrogen strategy(水素戦略)

2021年11月23日:ペロブスカイト太陽電池の耐久性は1―5年程度と短いことが課題だったが、兵庫県立大学大学院工学研究科の伊藤省吾教授らの研究グループは、炭素電極を備えたペロブスカイト太陽電池耐久性を屋外環境で世界最長の20年相当まで改善できることを実証した。紀州技研工業(和歌山市)、スイス・ソラロニクス、独フラウンホーファーとの共同研究。1-s2.0-S2666386421003702-gr4_lrg現在の変換効率は8ミリメートル角の大きさで12%前後にとどまる。そのため、今後は耐久性を保持しつつ、変換効率の向上と大規模化への対応を目指す。参照記事 参照記事 参考:世界が注目する次世代太陽電池「ペロブスカイト」、生みの親が抱く期待 炭素電極を備えたペロブスカイト太陽電池の性能が光照射で回復~世界最長となる屋外環境20年相当の耐久性を実証~ Light-induced performance increase of carbon-based perovskite solar module for 20-year stability
https _imgix-proxy.n8s.jp_DSXZQO1260948012112021000000-1積水化学工業
は2021年11月11日、「脱炭素社会実現の鍵になる」技術の1つとして同社が開発する「ペロブスカイト太陽電池」を紹介。実証実験を経て、2025年に事業化したい」と語った。同社は、このペロブスカイト太陽電池に、封止、プロセス、材料、成膜の独自技術を活用。発電効率は2021年7月には14.3%を達成しており、「今後15%を目指す」(加藤社長)としている。また、加藤氏は、「他社に先駆けて屋外実証実験を行うなど、屋外耐久性を優先して開発してきた」と説明。屋外10年相当の耐久性は確認(太陽電池規格IEC61215準拠主要耐久性試験5項目クリア)しており、今後、「(耐久性を)15年、20年と向上させることを目標としている」という。参照記事 参照記事 参考:ペロブスカイト太陽電池市場は、2027年には2012.8百万米ドルに達すると予想される
item20220712_03_tmd2022年7月12日:
東北大学大学院工学研究科電子工学専攻の加藤俊顕准教授、何杏特任助教(研究当時在籍)、金子俊郎教授らのグループは、原子オーダーの厚みをもつ半導体2次元シートである遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)を活用することで、(1)透明でフレキシブルな半導体原子シートである遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)を用いて可視光透過率約80%の非常に高い透明性を持つ太陽電池を開発。(2)ナノスケールデバイスを大規模集積することで、実用デバイスを駆動できるレベル(~420 pW)の発電を実証。本研究成果は、2022年7月4日(現地時間)にネイチャーパブリッシンググループの英国科学雑誌Scientific Reports(電子版)に掲載された。参照記事
1-1 122022年7月21日:東京大学の瀬川浩司教授と中村元志大学院生(当時)らは、次世代太陽電池として期待されるペロブスカイト太陽電池で変換効率26・2%を達成した。軽量でフレキシブルなCIGS太陽電池と組み合わせたタンデム型で、世界最高性能という。変換効率30%超を実現できる可能性があり、ビル壁面などでの発電のほか、電動航空機やドローンなど軽量化が必要な分野へ用途拡大が見込まれる。ペロブスカイト層にダメージを与えず高性能な酸化インジウムスズ(ITO)を積層する手法を新たに開発。このペロブスカイト太陽電池をトップセルとし、CIGS太陽電池と組み合わせることで、変換効率26・2%を実現できた。タンデム型構造とすることで、通常の太陽電池の理論的な上限値である約33%を大幅に超える45%以上の変換効率を実現できるとされる。参照記事 参照記事、、、、東芝がペロブスカイト型モジュールで、世界最高のエネルギー変換効率である10.5%を達成したと発表したのは、2017年9月だった。フィルム型ペロブスカイト太陽電池を事業化する各企業は、製品化の目標を2025年に設定している。 参照記事 参照記事  

6b627756-6a41-4cc3-a5a5-3606e9fc137f2023年1月30日:シリコンと異なり軽く柔らかい魅力から、研究開発が進むペロブスカイト太陽電池。劣化防止に他材料で挟んだ板状が多い。これに対して電気通信大学のグループは、シートを丸めてガラス管に入れ、完全封止した円筒形で取り組む。建物リフォームでの設置に向き、壊れても取り換えが容易で、従来と異なる使い方の実証試験を進めている。(編集委員・山本佳世子)

1メートル四方のパネルに円筒形ガラス管が20本、同じ幅の隙間を空けて並ぶ。管の中にはペロブスカイト太陽電池のシートが丸められて入っている。これを建物の壁などに設置すると、ガラス管の曲面で太陽光を受けるため、朝夕や季節で日射角度が異なっても発電能力はさほど変わらないという。すだれのように隙間を風が通り抜けるため、頑丈な施工も必要ない。

ガラス管の並びに沿ってクローラー状に動かせ、丸めることもできる。災害時に避難所へ運び込むといった可搬性が魅力だ。技術ポイントは、水や酸素に弱い太陽電池を守るため、蛍光灯のように管を完全封止する点だ。壊れたら1本、まさに蛍光灯のように入れ替える―。電気通信大学のi―パワードエネルギー・システム研究センターが産学連携で取り組むのはこんなユニークな太陽電池だ。パートナーはフジコー(北九州市戸畑区)、CKD、ウシオ電機などだ。参照記事 



nappi11 at 07:00│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

コメントする

名前
メール
URL
絵文字