
タリバーンからは共同創設者アブドゥル・ガニ・バラダル(Abdul Ghani Baradar)師が出席した。王外相は会談の中で、タリバーンをアフガニスタンの重要な軍事的、政治的勢力と形容。アフガニスタンの「平和と和解、再建プロセス」において、タリバーンが重要な役割を果たすことを期待すると述べた。過去ブログ:2021年7月アフガン周辺国やトルコへのアフガン難民が急増でトルコは壁建設 7月アフガンの全土掌握へ進むタリバンの攻勢と報復 米軍の今 7月アフガン北部で投降アフガン特殊兵員22名即決処刑と南部検問所陥落 7月アフガン全土でタリバンと政府軍の攻防が激化 アフガン 5月アフガンのタリバン、アルカイダ誕生の流れと今後の関係? 2019年9月タリバン中国訪問の謎と中国との接点 アフガン選挙で5人死亡
アフガニスタンは米軍の撤収を受け、タリバーンが急激に支配地を拡大している。アフガン治安部隊が次々にタリバーンに制圧される事態は世界に衝撃を与え、次は首都カブールが陥落する恐れがあるとの懸念も浮上した。外国部隊は全て8月31日までにアフガニスタンを離れる見通し。
28日の会談にはタリバーンの宗教委員会や広報委員会のトップも出席した。中国は近年、巨大経済圏構想「一帯一路」を通じて中央アジアに多額を投資しており、中国外務省は以前、「中国・パキスタン経済回廊(CPEC:China Pakistan Economic Corridor)」をアフガニスタンにまで延長する可能性に言及していた。
王外相は会談の中で、アフガニスタンを中国最大の隣国と紹介し、同国の未来は「アフガン国民の手に」委ねるべきだと強調。米軍や北大西洋条約機構(NATO)軍のアフガン撤収は、「米国のアフガニスタンに対する政策の失敗」であると同時に、「同国の安定化と発展のためのチャンス」と位置付けた。「(中国は)アフガニスタンの主権独立と領土保全を尊重し、常にアフガンの内政に対する不干渉を常に主張している」と王外相は強調している。
右下は、2016年12月に掲載されたCPECの開発構想で、その時点で着手されていたのは青い東部回廊での道路整備で、現在はその高速道路沿線に沿って水力発電の開発が行われている。パキスタン南西部のグワダルGwadarの港湾、国際空港整備も進行中で、港を持たないアフガンとしては興味を持っていると思われる。右図の③から⑪は、水力、石炭火力、太陽光による電源開発である。一方でパキスタンの中国への返済も莫大なものになり、すでに一部計画の縮小なども行われている。また、中国の資源開発に反対する反政府組織の中国企業へのテロなどの問題も浮上している。 参照記事 英文記事 英文記事 過去ブログ:2021年7月パキスタンでのバス爆発で中国人技術者9人死亡、テロの可能性? 2020年10月パキスタンで資源開発企業の車列が襲撃され死者15人以上か? 7月パキスタンの分離独立派BLAがテロと中国への撤退要求 2019年5月中国が開発するパキスタンのグワダルでホテル襲撃 1月中国融資の大型プロジェクト停止や縮小相次ぐ パキスタン 2018年10月頓挫したか?パキスタンでの高速鉄道計画 一帯一路はアフリカへ 2018年7月IS、タリバンの自爆テロ相次ぐアフガン、パキスタン 米軍は縮小?と中国 2017年8月政界混迷のパキスタンで、ISが自爆テロ攻撃と中国の過剰投資 2017年6月中国人教師殺害のIS犯行声明の信憑性と背景 パキスタン 2016年2月「一帯一路」の中国貨物列車イランに到着と中央アジアへの意味 2015年5月西へ延びる中国の経済戦略「一帯一路」をまとめる 4月中国のパキスタンへの大型投資を別な視点からみる 2015年4月中国がパキスタンへ歴史的大型投資と国境、民族、宗教問題