米司法省は2021年4月22日、米国籍中国系住民の游曉蓉(XiaoRong You,59歳、ミシガン州在住。ペンシルベニア州リーハイ大学(Lehigh University)で高分子化学専攻)博士に企業機密窃盗の共謀、産業スパイ、電信詐欺などの容疑で有罪判決を下したと発表した。発表によると、游被告は2019年2月に企業機密窃盗と電信詐欺の罪で起訴され、2020年8月に産業スパイと経済スパイの共謀などの罪が追加された。同被告は飲料用缶の内側に施される
「BPA(ビスフェノールA:Bisphenol A)フリー」のコーティングの配合処方に関する企業機密(包裝塗料技術)を盗んだという。
これまで、食品の包装や缶詰めの内側のコーティングの原料に「ビスフェノールA」が使用され、また「ビスフェノールA」はプラスチックを製造する際や、樹脂の原料として採用されてきた。しかし、食品の包装やボトルに含まれるこの類の化学物質が、熱で溶け出して体内に入ることがあり、健康リスクから多くの企業は「ビスフェノールA」を含まない代替品を探しているが、研究開発には多くの費用と時間がかかる。
司法省によると同被告は、ジョージア州アトランタにある飲料大手のコカ・コーラ社:Coca-Cola(可口可樂公司)でグローバルチーフエンジニア、テネシー州にある化学製造企業イーストマン・ケミカル社でパッケージアプリケーション開発マネージャーとしての勤務経歴を持ち、高度な専門職に就いていたため、機密情報にアクセスすることが可能だったという。
起訴状によると、盗まれた企業秘密は、オランダのアクゾノーベル社、独BASF社、米ダウ・ケミカル社、米PPG社、日本トーヨーケム社、米シャーウィン・ウィリアムズ社、米イーストマン・ケミカル社など世界大手の化学会社やコーティング会社のもので、企業は開発に1億2000万ドル(約129億円)近くの費用がかけたとされるが、被告は盗んだ企業機密を利用して、中国で「BPAフリー」というコーティング会社を設立した。新会社の設立に、被告と協力企業の「威海金泓集団(Weihai Jinhong Group)」は、中国政府から数百万ドルの助成金を受け取っていた。「千人計画(千人計劃)」の報酬金も含まれている。「千人計画」とは、世界のトップ研究者を集める中国共産党政権の人材招致プロジェクトである。裁判で提出されたほかの証拠は、被告が威海金弘集団だけでなく、中国政府、山東省や同省威海市にも利益をもたらす意図を示した。米司法省によれば、游被告には11月1日に判決が下される予定だ。参照記事 参照記事 参照記事 参照記事中国語記事 過去ブログ:2021年4月日本の在外公館に中共スパイは居ないのか? 2021年3月初のクアッド4各カ国首脳会談で反中結束の強化と中国国防費増強 1月44人の日本人研究者が中国の「千人計画」に関与 2020年8月中国独裁政権の危険性に今気が付いた欧米と日本のこだわり

