



欧州連合(EU)統計局(Eurostat、ユーロスタット)の2018年のデータによると、ルーマニアはEU圏外へのバイオリン輸出でEU1位を誇る。だがこの業界の多くの職人がそうであるように、グリガ氏は自身が絶滅危惧種のようなものかもしれないと懸念している。ルーマニアの著名な弦楽器職人らは現在、二つの課題に直面している。海外の低価格な製品との競争と、伝統をつなぐ次世代の職人探しだ。
■400万人が海外へ移住:バージル・バンディラ(Virgil Bandila)氏が営むのは、グリガとは対極にある小規模な工房だ。バンディラ氏によると、同市には事実上、街の通りごとに1人か2人の弦楽器職人がいる。バンディラ氏の小さな工房では現在職人7人が働いているが、バンディラ氏の最大の懸念は、秘伝の技法を託す後継者が見つけられるかどうかだ。今の職人について、「私たちは皆1970年代生まれですが、私たちの後は誰もいません」と語る。ルーマニアではここ数年でおよそ400万人が、よりよい生活を求めて主に西欧へ移住した。演奏映像
グリガ氏は、バイオリン製作は骨の折れる仕事だと認める。「高品質のバイオリンを作るには、1年がかりで300時間を要します。材料となる木は5年間乾燥させます」とグリガ氏。
木材には最高の品質が求められており、レジンの高評価の一因は、周囲の森の古いカエデAcerの木(バイオリン等には広葉樹で、学名: Acer pseudoplatanus、英名: Sycamore(英)、Sycamore Maple(米)、伊名: Acero Montano、和名: セイヨウカジカエデ、シカモア、シカモアカエデが使われる。参照記事 写真は
Sycamore. (acer Pseudoplatanus))だがこの木材は、世界有数の楽器輸出国である中国のバイオリンメーカーからの需要も高い。地元の仲買人から木材を購入し、「欧州産の木材」を売りに、より高い価格で販売するのだ。中国で作られるバイオリンはルーマニアのものより安価で、1挺わずか30ユーロ(約3900円)で販売されている。グリガのウェブサイトでは、約200ドル(約2万1000円)の初心者モデルから数千ドル(数十万円)の上級者モデルまで、さまざまなバイオリンが販売されている。映像はグリガの工房、2021年1月22日撮影。記事と映像
コメント
現在でもロマ(ジプシー)が非常に多いらしい。差別された連中が多くいると言うことは、未だ住みやすかったのだろう。ロマはバイオリンもよく使う。
第1次大戦頃までは、この地域にはドイツ移民も多くいたので技術が伝わったのでしょうか。
ルーマニアも深く静かに潜行した感じの国です。ルーマニア人という意識を持ち始めたのは20世紀に入って。未だ統一感が希薄かも。民族意識を異常に煽る政治屋も少ないか。良い意味での農民気質かも。どこかの隣国の政治屋は、煽ってもも一つやなー、とため息か。