https _imgix-proxy.n8s.jp2021年2月7日:アウン・サン・スー・チー Aung San Suu Kyi 氏(国家顧問)率いる国民民主連盟(NLD)の苦境が深まっている。軍はNLDの弱体化を狙い、弾圧を強めている。スー・チー氏の拘束は長期化しそうで、同氏に代わるリーダー不在のNLDは対抗策に乏しい。
国軍は2021年2月1日未明の政変実行後、首都ネピドーに集結のNLD議員を宿舎で軟禁し、その後、大半の議員を解放したが、NLDの報道担当によるとスー・チー氏は現在もネピドーの自宅に軟禁されている。同氏の右腕であるウィン・ミン大統領も公邸から別の家屋での軟禁が続いているという。NLDによると、当局は2日以降、第2の都市マンダレーなどの党地方支部を捜索し、パソコンや書類を押収、4日深夜には同党の長老格であるウィン・テイン氏も最大都市ヤンゴンの親族宅で身柄を押さえられ、ネピドーへ連行された。
国軍はNLD幹部の拘束の「正当化」に躍起だ。警察を動かし、スー・チー氏を違法に無線機を入手した輸出入法違反、ウィン・ミン氏は新型コロナウイルス対策の集会制限に違反した疑いで逮捕し、裁判所は15日までの勾留を認めた。輸出入法違反により、スー・チー氏は最高で禁錮3年の有罪判決を受ける恐れがあり、憲法の規定では、有罪となった者は総選挙に立候補できず、スー・チー氏やNLDが従来のように参加できる保証はない。
_116831746_gettyimages-1187902585リーダーのあり過ぎるカリスマ性もNLDにとっての足かせだ。スー・チー氏は1988年の大規模な民主化要求デモで政治の表舞台に登場し、同年、NLDを結成した。だが1989年には国家防御法違反で逮捕され、自宅軟禁され、これまで3度、計約15年間にわたって自宅軟禁を経験した。
thumbs_b_c_d2ab1cb3cc354548c6b72b2f212af69b現在75歳のスー・チー氏はかつて、ロヒンギャ人への暴力的追放や虐殺the horrific expulsion and mass murder of the Rohingya people、ジェノサイド(genocide:民族大量虐殺)の疑惑に関して、個人的、政治的、または愛国的な理由で軍隊を守るという保守的な決定をして国際的にも非難されたが、党内では絶対的な存在で、後継者がみえないと、かねて指摘されてきた。同氏さえ隔離しておけばNLDは次第に弱体化する、という計算は国軍にも働いているとみられる。
国連安全保障理事会は4日の報道声明で即時解放を求め、バイデン米大統領も同日の演説で、スー・チー氏の解放を求めたうえで、国軍に対し軍事クーデターの「責任を取らせる」と改めて警告した。国軍総司令官室によると、全権掌握の根拠とする非常事態宣言の解除後、6カ月以内に「自由で公正な」総選挙を実施すると発言した。
過去には互いが活発な二国間関係 active bilateral relations with each otherにあった中国は、その後の同国北部での国境問題での軍事衝突や、北部の過激派に中国が支援した事で冷めてはいるが、他の、中国と隣接各国よりは温和な関係と言われている。indexしかし中国は今回の政変に関し、支持も同意もしていないと2月3日、 Wang Wenbin報道官:右 が表明したと2月5日報道された。今回のクーデターは突発では無く、2月1日の4日前には、スーチー氏には軍から警告されていたとの状況から、筆者は、軍は事前に中国にも了解を取り付け、中国がこの流れを察知していたのは間違いないだろうと想像している。 参照記事 英文記事 英文記事 過去ブログ:2021年2月ミャンマー国軍がクーデター? 軍が指導者、大統領拘束
img_f8de0b816137db03e92020年1月18日、中国の習近平国家主席は、2001年の江沢民以来、19年ぶりにミャンマーを訪問し:左、アウンサンスーチー国家顧問と会談、一帯一路に基づく30項目以上の経済協力で合意している。
img_0674b913117c73d63601216e5525ce82143355中国にとってミャンマーは一帯一路の要所を占める重要な国であり、「中国=ミャンマー経済回廊(CMEC)」の実現に努めている。他方、ミャンマーにとって中国の経済的存在は圧倒的で、ミャンマーの経済発展は中国抜きでは考えられない。
4cbd546d中国はすでにミャンマー南西部チャオピュー港から北東部の中国国境の雲南省昆明に抜ける「パイプライン」を建設しており、中東、インド洋方面からのエネルギー輸送ルートで海路マラッカ海峡を通らない「代替手段」を確保している。中国はすでに、ミャンマー北西部の海上の天然ガス田(左図の①シュエ・ガス田)から巨大な管を連結してミャンマー国土を貫通して2014年から中国に運んでおり、2018年の実績ベースでミャンマーからの輸入は、中国の天然ガス総輸入の3%を占め、ミャンマー北部から出る大規模なレアアースや石炭も大量に輸入している。資源の調達に関し、中国にとって重要な位置に在るのがミャンマーだ。

9f0dc32dそのうえ西側、国際社会から批判されているロヒンギャRohingya peaple問題で中国はミャンマーの肩を持っており、中国は心強い存在である。
政府軍と激しい戦闘をしている北部少数民族の「合同ワ州軍」は中国との結びつきのある武装勢力で、従って今後の休戦には中国が不可欠である。しかし、ミャンマーは中国に飲み込まれないよう警戒感を持っており、歴史的に一定の距離を保つよう努めてきていると言われる。問題は、スーチー氏より親中国の与党NLD(国民民主連盟)政権ともいわれ、すでに中国と汚職まみれの可能性もあるのでは、、、。軍や、或いはスーチー氏の懸念も、そこではないかと筆者は見ている。筆者の見方で行けば、今回のクーデターは、軍とスーチー氏の合作ではとも思うのだが、聞こえるのは対立し、軍は選挙のやり直しをせまっていたとの情報ばかりで、勝手な筆者の想像である。
一方日本は、経済協力では2017年までに有償資金協力で1兆1300億円強、無償資金協力で3000億円強、技術協力で880億円強を提供している。日本のミャンマーに対する直接投資は、2008-17年の間150億ドル以上で、断トツの一位であった。日本はまた、ミャンマー政府にとって内政上の最大の問題の一つであった北部少数民族武装勢力との和平の達成に全面的に協力した実績がある。参照記事 参照記事 参照記事 参照記事
FireShot Webpage Screenshot #168 - 'ミャンマミャンマーの最大都市ヤンゴン中心部で2月6日、国軍のクーデターに対する大規模な抗議デモがあった。1500人前後が参加しており、クーデター後、最大のデモとなった。軍側は6日、国内のインターネットを遮断し、抗議活動の封じ込めに躍起になっている。

映像によると、デモ参加者は、アウンサンスーチー国家顧問率いる国民民主連盟(NLD)のシンボルカラーである赤いシャツやリボンを身につけ、「軍政を倒し、民主主義を勝利させよう」「スーチー氏を解放しろ」などと声を張り上げ、市内を練り歩いた。隣国タイの反体制デモで「反独裁」を象徴するポーズとなった3本指を立てる人や、僧侶らの姿も見られた。  ミャンマー軍政は、民主化運動を弾圧してきた過去があるが、この日治安部隊が多数配備されたが、デモ隊との衝突はなかった模様だ。参照記事



nappi11 at 05:30│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

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