

2020年は梅雨入り後の増水期に入ってから、751本の河川で警戒水位を超え、長江(揚子江)、黄河、淮河(わいが)、珠江、太湖などの河川・湖で18回も洪水が発生。長江、太湖では大洪水が発生し、とりわけ長江上流での洪水規模は「100年に1度」といわれるほど被害が甚大だった。洪水被害は中国全土の31省・直轄市・自治区のうち、28省・直轄市・自治区に及び、直接的な経済損失は過去5年の平均額の27%増の約2143億元(約3兆3300億円)に上った。
中国国家洪水・干魃対策指揮部秘書長で緊急対応管理省次官の周学文氏は中国政府の会合で「今年の洪水被害は1998年以来、最も深刻だった。中国は引き続き増水期にあり、河川の状況を把握し、地滑りや台風などにも備えなければならない」と報告。そのうえで、「現在の緊急任務は中国全土で9万8000以上あるダムや貯水胡の点検であり、そのうち8000以上の問題が多いダムなどを極めて速やかに修理することだ」と指摘したという。右図は、2020年7月末に大雨が予想された地域で、実際には南部でも大雨で洪水被害が出た。降雨量はミリメートル単位。
これらのダムなどは、1950年代から1970年代の間に建設されており、これまでの洪水や地震によって被害を受け、すでに耐用年数が終わりに近づいているか、すでに終わりに達しているという。また、多くの小さな貯水湖については、地方の地元の町村によって管理されており、メンテナンスが不十分で危険な状態になっている。
中小の貯水湖のほか、一部の大規模なダムにも問題が発生している。とくに、世界最大の三峡ダムについては、水位が放水の危険水域を越えたと中国メディアが報じたほか、ダム全体の構造に一部ゆがみが見え(写真右下)、その部分からの決壊に至る可能性が
強まっているとも伝えられた。、、参照記事 参照記事 過去ブログ:2020年12月中国三峡ダムの現状 三峡ダム解説動画、、、、長江下流の太湖だけ見ても、面積は2,250平方km(琵琶湖の約3.4倍)、平均水深は2.0m、最大水深は48m。湖面の海抜は3.33m、周囲は400kmもあり、上海に近いこの周辺には、日本にも関係する企業が多いと言われる。決して、他国の災害だと看過できない状況だ。また、水力発電の老朽化が原因か、中国では石炭不足も言われている。脱石炭は、決して計画的には行っていない状況の様だ。