匿名の英国のアマチュア鳥類学者が約1300個の金の貨幣を発見した。この金貨は2000年前のものと推定される。雑誌『Treasure Hunting』によれば、50代前半のこの男性はヨーロッパノスリとカササギの空中「バトル」を観測していたが、ふと視線を開墾地に向けたところ、黄金の輝きに気がついたという。男性はそれが金貨だと分かった。彼は金貨に近づき確認し、金属探知機を取りに家に飛んで帰った。数時間後、男性は立派な財宝を手にすることとなった。財宝は紀元後40から50年代だと推測がされる。専門家の評価では、1300個の貨幣のそれぞれは最高650ポンド(約9万1000円)とされ、全体で総額84万5000ポンド(約1億1673万円)に相当する。
英文記事に、「これは、2008年に別の探知家 detectoristがサフォーク州のウィッカムマーケットWickham Market, Suffolkで見つけた850コインの過去のセルティック(Celtic:ケルト人の、同名の英国サッカーチームはこれに由来する)の蓄えを快適に上回っている。」とあり、また英国東部と在り、年代やコインの種類などから、当時、ケルト人(Celt)王朝時代だった現代のノーフォーク州一帯に勢力を築いていた、イケニ族 Iceni(Eceni) tribeと呼ばれる、ブリテン島の先住民族の物と指摘された。英文記事 参考:Celtic gold coins
グレートブリテン島には紀元前9世紀ころから紀元前5世紀ころにかけてケルト系民族が侵入し、ブリテン島各地にケルト系の部族国家が誕生した。そのひとつであるこのイケニ部族国家は後に、紀元前55年から54年にかけてローマ帝国のカエサル(シーザー Julius Caesar)が攻めて来たのを皮切りに、90年以上にわたる攻防戦を繰り広げて衰退した。コインは当時、ローマ軍と勇猛に戦っていたイケニ族の女王ブーディカIceni queen Boudiccaの軍資金 ‘war chest’だった可能性があるという。
英国がローマ人に完全征服されたのは西暦43年で、支配は、ゲルマン系部族が英国に侵入する5世紀まで続いた(英国ローマ時代:西暦43~410年)。戦いでは、ローマ軍のピルム(pilum)と呼ばれる投槍(なげやり)が威力を発したと言われ、またローマ軍は、女、子供を問わず、多くの市民を残酷に殺害したとされている。 参照記事 英文記事 英文記事 過去ブログ:2015年2月1000年前の銀貨大量に発見 英国 2014年10月スコットランドでバイキングの財宝発見