2020年12月26日  犯罪 歴史、史実、記録
ap_20356670217844(以下は翻訳記事からの抜粋、編集記事で、分りにくい部分を、筆者の判断で加筆や文章の助詞を多少変更し編集しています)
ロシアのプーチン大統領President Vladimir Putinを含む露政府要人の腐敗追及で知られる著名なブロガーで野党指導者でもある反体制派指導者アレクセイ・ナバリヌイ(アレクセイ・ナワリヌイ:Alexei Navalny)氏の尾行任務で送り込まれたロシアのエージェントが、2020年8月に同氏に毒を盛った方法について、旧ソ連で開発された致死性の神経剤Nerve agent「ノビチョクNovichok」をパンツの中に仕込んだと明らかにした。

konstantin-kudryavtsev-super-169この人物はロシア連邦保安局(FSB)の毒物チームに所属するコンスタンティン・クドリャフツェフKonstantin Kudryavtsev氏:左。45分に及んだ電話でのやり取りで、この驚がくの事実が明らかにされた。

クドリャフツェフ氏は上司に対する報告と信じた電話で、シベリアの都市トムスクTomskで毒物を盛るのに関与した人物の話や、自身が事後の後片付けで送り込まれたことについても語った。だが、クドリャフツェフ氏の話し相手は国家安全保障会議の当局者ではなかった。話していたのは毒を盛られて死にかけたナバリヌイ氏本人だった。

ナバリヌイ氏は長年プーチン政府高官やメドベージェフ首相Prime Minister Dmitry Medvedevの汚職を追及し、与党統一ロシアに反対する運動を行ったりして、プーチン大統領側にとって悩みの種だった。video-thumbnail-putin-press-conference-super-169プーチン氏President Vladimir Putinは先週、冷戦時代のスパイfederal-security-service-building-fsb-moscow-組織KGBの後継組織であるFSB(ロシア連邦保安庁):左 のエージェントがナバリヌイ氏を尾行していたことを実質的に認め、(自身がスパイだった経験から)本当に殺害したければ「任務を完遂していただろう」とも述べ、FSBが反国家的人物を尾行する事には(国家の治安維持の正当な行為として)肯定する発言をしている。

英調査報道機関ベリングキャットThe research group BellingcatやCNNが実施した調査では、FSBの毒物チーム約6~10人が3年以上ナバリヌイ氏を尾行していたと判明。CNNとベリングキャットはチームのFireShot Webpage Screenshot #073 - 'CNN_co_jp _ ロシア反体制派大半の身元を割り出し、各人とその上司にコンタクトを試みた。そのうちの一人、オレグ・タヤキンOleg Takiyan氏:写真左 はCNNに尋ねられるとドアを勢いよく閉じ、他の人物は応答さえしなかった。

次に仕掛けた作戦で、現在ドイツで療養場所を明らかにせずに滞在しているナバリヌイ氏は、毒殺作戦の分析を担当するロシア国家安全保障会議の高官を装ってコンスタンティン・クドリャフツェフ氏に電話した。ナバリヌイ氏のチームによると、電話番号はFSB本部のように見えるように細工をし、45分に及んだ電話の録音は後日、CNNとベリングキャットに提供された。記録映像:日本語訳付

816FSBの高官を装ったナバリヌイ氏は(暗殺)チームメンバーから(失敗した結果について)簡潔な報告を得る必要があると伝え「何がうまくいかなかったのか。なぜナバリヌイの(暗殺の)件でトムスクTomskで完全に失敗したのか」を知りたいと述べた。、、クドリャフツェフ氏は時折、安全措置がほどこされていない電話で話すことに明確な懸念を示した。だが、ナバリヌイ氏は時にぶっきらぼうに、急いだ様子で話し、また「この全てが最高レベルの安全保障会議で議論される」とも言及したことで、高官が報告を受けることを急いでいると信じ込ませた。

3186クドリャフツェフ氏は、神経剤のノビチョクがナバリヌイ氏の衣服にどのように仕込まれたのかを詳しく解説した。ナバリヌイ氏が「どんな衣服に着目していたのか。最もリスクの高い衣服は何だ」と尋ねると「(下着の)パンツ」とクドリャフツェフ氏は回答。ナバリヌイ氏がさらに、正確にはどこに毒を仕込んだのかと問うと、「(パンツの)内側、股だ」と答えた。(CNNが照会した毒物学者は、もし粒状のものを衣類に付着させれば、被害者が汗をかくとノビチョクは皮膚を通じて吸収されるだろうと語る。英国で発生した二重スパイのセルゲイ・スクリパリ氏の襲撃事件では液体かゲル状のものが使われたが、今回は固体が使用されたとの見方を示した。)、、CNNは毒物が盛られたときにクドリャフツェフ氏がトムスクにいたかどうかは確認できていない。だが、今回の電話から、クドリャフツェフ氏が実行内容について詳しい知識があること、またナバリヌイ氏が病院を去った後にノビチョクの痕跡が残らないように(トムスクで)後片付けの作業に関わっていたことが明らかとなった。

下着に毒を盛られたナバリヌイ氏はトムスク Tomskからモスクワに向かう旅客機の中で突然倒れた。screengrab-01-alexey-navalny-0820-super-169機長は独断でOmskに向かい、救急救命措置を受け、その後、治療可能なドイツへ搬送された。専門家はモスクワまで飛んでいたら、ナバリヌイ氏は恐らく死んでいただろうと指摘。「フライトは約3時間ある」「もし着陸しなければ、その影響は異なり、結果も異なっただろう。だから、飛行機が果たした役割は決定的だったと思う」と語る。

ap_20259379557572_wide-9暗殺実行メンバーだったクドリャフツェフ氏は、(暗殺の失敗について)「(我々は)こんな事が起こるとは予想していなかった。(救命措置が間に合った事など)全てが悪い方向に向かったと思う」とも述べ、FSBがナバリヌイ氏の殺害を意図していたことを示唆した。付与された毒物の量が誤っていたのではないかと問われると、クドリャフツェフ氏は「私の理解では、我々は少し余分に盛っていた」と述べた。左は、暗殺から生還したナバリヌイ氏。ドイツベルリンの病院にて。2020年9月15日英文記事

screencapture-edition-cnn-2020-12-21クドリャフツェフ氏の経歴は、同氏が化学・生物兵器のスペシャリストであることを示唆している。ロシア化学防衛アカデミーのモスクワ校を卒業した後、生物安全保障研究センターである防衛省第42センターに勤務していた。CNNの調査では、クドリャフツェフ氏がナバリヌイ氏の毒殺未遂があった数日後の8月25日にオムスクに飛んでいることが乗客名簿からわかっている。

クドリャフツェフ氏は「我々が到着すると、彼らはそれ(犯行に使われた下着や衣服?)を我々にくれた。地元のオムスクのやつらが警察に(それを)持ってきた」と発言。クドリャフツェフ氏らは衣服に痕跡がのこらないように溶液(中和液?意味不明)をあてがったと言及した。「ということは、衣服にサプライズはもうないんだね?」と、(偽高官を演じるナバリヌイ氏が)問うと、「そのために何度かそこに行ったんだ」とクドリャフツェフ氏は答え、その後、「私はパンツの内側を入念に作業するように言われていた」と述べ、「誰がそれを言った。マクシャコフMakshakovか」と問うと「そうだ」と答えた。ナバリヌイ氏やそのチームは、(証拠となる)衣服を返却するように数回求めたが、ロシア当局はそれを拒絶した。

122120_navalnyCNNなどの調査から、スタニスラフ・マクシャコフStanislav Makshakov氏は、モスクワ郊外のFSB犯罪科学班に拠点を置く毒物チームの責任者と特定されている。以前は化学兵器の研究機関で大佐の地位にもいた。調査では、毒物チームの会話や動きを詳細に把握。チームが2017年以降にモスクワ以外でのナバリヌイ氏の30以上の旅程で尾行を実施していたことがわかった。またデータからは毒物チームと国内の神経剤研究の専門機関との間で上位レベルの接触があったことが示されている。ナバリヌイ氏は12月21日、CNNに対し、今回の発見がロシア国内での捜査に結び付くとは考えていないと述べた。「本件の背後にいるのはプーチン氏個人だということが明白になった」とも語った。また、クドリャフツェフ氏と会話できたことに驚がくしているとも話し、「彼が『仕事はうまく行われた』というようなフレーズを何度も口にしたことから、彼自身は自分を暗殺チームの一員ではなく、ただの普通の従事者と捉えている」とも述べた。

ナバリヌイ氏が毒物チームの誰かに気付いている可能性があるかと問うと、クドリャフツェフ氏は「それはないだろう。我々はそれにはとても厳しい。洋服などすべてを変えている」と述べ、尾行時にはチームは異なる便を使っていたとも明かした。クドリャフツェフ氏はこのチームの安全措置を誇りに思っている様子で、「誰も(写真に)撮られていない。他の誰も見ていない。常に排除されている」とも述べた。クドリャフツェフ氏はこの点は正解のようだ。

ナバリヌイ氏にCNNが、暗殺チームのクドリャフツェフ氏や他のチームのメンバーの写真を見せた際、彼らに気付いたことがないと語った。だが、CNN等の調査でFSBの毒物暗殺チームはその動きや会話、行為で多くの証拠を残していたことがわかった。そうした証拠の一つが、クドリャフツェフ氏の電話番号だった。この電話で、同氏は思いがけずベリングキャットやCNNに、ロシア国家によるナバリヌイ氏毒殺未遂の全体像を完成させる機会を与えることとなった。

45分にわたった電話記録はナバリヌイ氏の毒殺未遂にFSB暗殺部隊が関わったことを示す初の直接の証拠となるが、FSBは12月21日、ナバリヌイ氏とクドリャフツェフ氏の会話の動画は外国の情報機関によって作り出された「フェイク」だとの声明を出し、ナバリヌイ氏らの調査を調べ、その結果次第で手続き的な評価を行うとも述べた。ナバリヌイ氏は自身のユーチューブのチャンネルにこの動画を投稿し、上記の動画は21日時点で1900万回以上閲覧された。 参照記事 英文記事 英文記事 過去ブログ:2020年9月毒を盛られたロシアの野党党首回復 写真掲載 ドイツ 2020年9月英国、ロシアのG8復帰に絡み 露に神経毒使用疑惑の説明求める 2018年3月英国でロシア人の不審死や暗殺未遂相次ぐ>ノビチョク使用も 2017年3月ロシアで反腐敗デモ 動画でメドベージェフ首相を追及



nappi11 at 01:37│Comments(1) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

コメント

1. Posted by POPPO   2020年12月26日 22:35
邪魔者を消しまくったプーチン大帝、パーキンソン病なんだって。w

で、いよいよご隠退らしいけど消されないように大統領経験者は退職後訴追されないなんてな法律を10月に成立させて、畳の上で死ねるように頑張ったらしい。w

超法規的活動をしてきた御仁が退職後に法律で身を守ろうなんてな無駄な発想が出てくるのは何処も同じ秋の夕暮れなのかもしれない。w

川向こうの半島の南部の大統領も塀の中に落ちないように、サル真似をするだろうなと想像した。w

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