

2020年12月20日に急逝したエズラ・ボーゲル米ハーバード大名誉教授は、温かいまなざしで日本に敬意を払い続けた。90歳になっても元気で、ハーバード大のクリスティーナ・デイビス日米関係プログラム所長によると、最近まで研究・講演活動を精力的にこなしていたという。晩年に精力を費やしたのは日中関係で、トランプ政権発足後は日米中の行く末に強い懸念を示していた。
知日派であるとともに中国研究の権威としても知られ、中国発展の礎を築いたトウ小平の伝記「現代中国の父 トウ小平」(日本語版、13年)を出版。最後の大著「日中関係史」では、1500年にわたる日中の交流史をひもとき、歴史問題を克服し両国関係の強化を図る重要性を訴えた。氏は2018年のインタビューで、米中関係を国交正常化後の40年間で最悪としながらも、米中両国の関係は緊密化しており、「新冷戦」にはならないと指摘。日本が米中の「橋渡し役」となることに期待を示していた。享年90歳、心よりご冥福を祈る。