2020年12月4日:11月30日読売新聞記事によれば、政府は、各省庁などが保有している計1000機超の小型無人機(ドローン)について、原則として高いセキュリティー機能を備えた新機種に入れ替える方針を固めた。安全保障の観点から、中国製ドローンを事実上排除する狙いがある。政府の支援で開発中の国産ドローン導入を視野に、来年度以降、代替機を順次調達する見通しだ。ドローンは、通信ネットワークを介して撮影写真や飛行情報を情報システムに保存している。次世代通信規格「5G」の普及で利用拡大が見込まれる一方、サイバー攻撃による情報窃取や機体の乗っ取りなどのリスクも指摘されている。 こうした動きは、中国の情報通信技術(ICT)設備を排除する日本政府の政策の一環だ。日本は米国のトランプ政権に歩調を合わせ、すでに政府省庁のICT設備を調達する際に中国企業ファーウェイ(華為技術)とZTEの製品を排除することを決めている。
このため、政府は来年度から、全省庁や独立行政法人・特殊法人のドローンの運用を抜本的に見直す。〈1〉防衛や犯罪捜査〈2〉重要インフラ(社会基盤)の点検〈3〉機密性の高い情報を扱う測量〈4〉救命・救難――などを「重要業務」に指定し、これらの分野ではサイバー対策が講じられた機種のみ使用を認める。導入済みのドローンは原則、数年以内に交換するよう求める。
また、新規でドローンを調達する際は内閣官房に事前に相談し、リスク評価を受けることを義務化する。製造過程で不正プログラムなどが仕込まれる「サプライチェーン・リスク」が疑われる機種は、調達から除外する。アメリカではすでに組織内での中国製ドローンの使用を2019年10月から停止している。
一連の対応は、中国製ドローンが念頭にある。政府が今春、防衛省や警察庁など安保分野を除く省庁の機種を調べたところ、ほとんどが中国大手大疆創信科技有限公司「DJI」製だった。DJI製は安価な反面、サプライチェーン・リスクにさらされ、情報窃取の懸念があるとして米国が排除を進めている。
民生用ドローンの世界シェア7割という超大手ドローンメーカーDJIはまさに空の絶対王者。エントリーモデルの『Spark』からミドルクラスの『Mavic』、ホビー用空撮機のハイエンド『Phantom』、プロ用空撮機の『Inspire』などの優れた機体を販売している。日本では、安保分野の運用実態は公表されていないが、米国の対応を受け、DJI機種の置き換えを先行して進めている模様だ。
政府は現在、安保分野を除いて約1000機のドローンを保有する。赤外線や高性能レーダーを搭載し、ダムや河川のインフラ管理のほか、3D地図向けの測量業務などに活用している。新たな運用では、重要業務以外でも、「第三者に乗っ取られればテロや犯罪に悪用されかねない」(内閣官房)として、原則、入れ替えを求める方向だ。政府は、中国製に替わり、安全性の高い国産ドローンの導入を視野に入れている。自律制御システム研究所、ヤマハ発動機、NTTドコモなど5社の連合が、国の委託事業としてすでに開発に着手し、来年度の量産化を計画中だ。高度な暗号通信技術で飛行・撮影情報を守ることを目指している。参考:全ドローンの飛行計画、情報共有サイトに登録義務化

