中国の新型コロナウイルス用ワクチンが完成に近づく中、同国の高官や一部製薬会社は戦略的に重要な国々に早期のワクチン供給を約束し始めた。コロナのパンデミック(pandemic:世界的大流行)で地政学的な結び付きが損なわれたことを受けて、中国は自国の国際的地位を高めようとしている。

 巴西国家卫生监督中国外務省はフィリピンに対し、中国製ワクチンの優先的な供給を約束した。民間企業の北京科興控股生物技術(シノバック・バイオテック:Sinovac Biotech Ltd.)はブラジルおよびインドネシアと、何億回分もの自社ワクチンの国内向け生産で協力することで合意した。開発途上諸国の中で中国と特に緊密な協力関係にあるパキスタンは、国内で中国医薬集団(シノファーム:Sinopharm Group)によるワクチン臨床試験を認める契約を結んでおり、その一環として全国民22000万人の約2割がワクチン接種を受けられることになる。ロシアでは、同国保健省が承認した場合には、中国の軍研究機関と康希諾生物股分公司(カンシノ・バイオロジクス: CanSino Biologics Inc.)が開発中のワクチンが生産される可能性があると報道された。一方で、すでに偽ワクチンが流通しているとの報道もある。参照記事:中国で新型コロナの偽ワクチンが発売される―仏メディア

 最も外交面で効果的であったのは、フィリピンへのワクチン供給の約束である。フィリピンは、これで南シナ海問題について大幅に譲歩する姿勢を見せている。例によって、中国からアメをしゃぶらされた形である。フィリピンは、前にも中国の経済援助契約が空手形になった。今回は、必ず約束が守られるという保証はない。まだ、最終治験が済んでいないからだ。

Screenshot(31)世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長 WHO Director-General Tedros Adhanom Ghebreyesus は2020年8月18日、各国が独自にワクチンを確保し、自国民を第一に守ろうとする姿勢に対し、新型コロナウイルスワScreenshot(30)クチンを平等に分配するための枠組み「COVAXファシリティー(COVAX Global Vaccine Facility)」への参加期限を今月末に控え、一部の国だけがワクチンを買いあさり、他の国にワクチンが行き届かなければ、新型コロナの世界的大流行(パンデミック)は拡大する一方だとして、各国に枠組みへの参加を呼び掛けた。

テドロス氏はオンライン会見で「ワクチン国家主義vaccine nationalismを防ぐ必要がある。限りある供給を戦略的に、世界的に共有することこそ、各国の国益につながる」と強調した。

ロシアは、プーチン氏がワクチン開発世界第1号と胸を張っていたが、怪しい目で見られている。ロシアは先週、世界初の新型コロナワクチンの開発に成功したと発表したが、その開発過程が規制基準を順守しているのかどうか、国内外から疑問の声が上がっている。WHOはロシアの主張について調査するとしている。ただロシアは、ブラジルやインドネシア、アラブ首長国連邦(UAE)など20カ国から供給要請がきているとしている。

中国ワクチンについても疑念の目が向けられている。「米バクシノロジー・コンサルティング(カリフォルニア州)のジョン・ドネリー氏は、「(中国の)ワクチンが効かなかったり、あとになって安全上の問題が生じたり、開発企業が約束した量を提供できなかったりすれば、みっともないことになる」と指摘した。候補となっている中国のワクチンは依然として臨床試験段階で、一部は成功しない可能性もある。中国製ワクチンを他国が利用できるようになるには何カ月もかかるかもしれない参照記事 英文記事  参照記事 参照記事 参照記事 参照記事 参照記事



nappi11 at 01:42│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

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