国際的にリビア政府と認可されたGNA国民合意政府軍:Libya's internationally-recognised Government of National Accord (GNA) は現地2020年7月18日、シルトSirte奪還に向け行動を開始し、ミスラタMisrata(Misurata)方面から約200台の車両がシルトへ向け東進していると報道された。右戦況図は今も7月13日と変化はないので、同図に日付と地名追記。ハフタルHaftar率いる国民軍LNA: Libyan National Armyは、2020年1月よりシルトの地元民兵組織を排除し占拠を続けていたが、6月のGNA側の攻勢で一旦撤退し、その後、シルトにはLNAを支援するロシア軍事企業が派遣したシリア人傭兵やスーダン人傭兵、LNA兵士らが再び防衛に就いていると言われている。
シルトを境に大規模な戦闘が予想されるが、すでに以前からトルコ支援のGNA軍:左 は、シルトとLNAの航空基地のあるジュフラ LNA airbase at Jufra.を奪還すると表明していた。一方LNA支援のエジプト、アラブ首長国United Arab Emirates (UAE)、ロシアは、GNAの動きに対し増援部隊派遣の警告を出している。米国は、ロシアがジュフラへ傭兵支援の戦闘機を送り込んだと報じたが、ロシアはこれを否定している。この緊迫した状況に対し 仏、伊、独France, Italy and Germanyは共同声明を出し、リビアでの外国勢力の武器禁輸違反に制裁を検討しているとしている。
この記事を書いている、日本時間7月19日午前11時時点で、シルトから約100キロの西部までGNA軍車両群が到達したと報道されている。リビア国営石油企業 Libyan National Oil Cooperation (NOC) は19日、すでにシルト湾Gulf of Sirteに面するブレガ地域 Brega regionの石油施設の警備兵とLNAに属すると言われる精鋭部隊Al-Saiqaとの武力衝突が発生したと報じた。石油国営企業NOCは、リビアでの両陣営にある石油、ガス施設の維持管理、運営、輸出を一手に行い、両陣営にそれぞれの利益を分配していると筆者は理解しているが、LNAは7月10日、一方的に施設の稼働、輸出を禁止するとの通達を出していた。 参照記事 英文記事 参照記事 過去ブログ:2020年7月フランス政府のハフタル支援は重荷でしかない リビア 7月リビアのシルトで大規模な軍事衝突か?
シルトSirteはカダフィ大佐の出身地で、カダフィ死亡後、リビアで勢力拡大を狙ったISが拠点としていた。しかしシルトは2016年12月、GNA政府側がIS数百人を殺害して奪還され、その後2017年1月19日、シルトから約45キロ南西に位置するIS残党の複数の訓練キャンプに、米軍がB2爆撃機2機に加え、複数の無人攻撃機「リーパー(Reaper)」で合わせて約100個の爆弾を投下空爆し、IS戦闘員80人以上を殺害した。死亡した戦闘員の数よりも多い爆弾が使用された計算になる。その後2020年1月、シルト地域の民兵がGNAに反旗を翻した機を見てLNA側がシルトのGNA軍を排除し同地域を制圧したが、GNAは6月にシルト市内に侵攻し再奪還した。しかしその後、一旦はトリポリ南部、リビア西部から敗退したLNA民兵らが再びシルトに侵攻し今に至っている。 参照記事 参照記事 過去ブログ:2020年6月LNAは首都圏から撤退?転進?>GNAはシルト攻撃 リビア
2020年7月20日:現在シルトに向かうGNA側は、最近のトルコの支援でかなり攻撃力、機動力を付けたと思われる。写真はシルト方面に進撃するGNA側。ハフタルのLNA部隊は2019年4月、国連が支持する政府からトリポリを奪うための攻撃を開始したが、彼らの軍事行動はこのリビアの首都郊外まで迫った後に膠着状態となっていた。そして2020年6月月、トルコの支援を得たトリポリの同盟軍が彼らを押し返して戦いで優勢に立ったことで、打撃を受けた。トリポリのGNA部隊は首都の空港、市内への全ての主要な出入り口、および同地域の主要な一連の街を取り返し、東に向かって部隊を推し進め、ハフタルが今年これまでに奪取したシルテも取り返すことを明言している。トルコ側は、LNAとの新たな停戦協議に向けGNAへの支援を惜しまず、シルト、ジュフラSirte and Jufra を奪還しLNAに対し軍事的に優位になる意向だと報道されている。
対するLNAは、エジプトに対しシルトへの軍事介入を要請したが、エジプトのシシ大統領Egyptian President El-Sisiは、シルト、ジュフラは流血を回避するレッドラインだと返答したと7月19日報道され、境界ラインを設け、この地域でのGNA,LNA両陣営の軍事的直接対決は避けたい意向とも取れる。リビア内の対立は外国勢力によって煽られた地域的な代理人戦争へと悪化し、エジプトの介入は豊かな産油量を持つリビアをさらに不安定な状況にするかもしれないと言われている。 英文記事 参照記事 参照記事 過去ブログ:2020年1月リビア停戦を模索する「ベルリン会議」19日開催 ドイツ 1月トルコがシリア人民兵をリビアへ派遣とTFSAの実態 2019年12月トルコがリビアへの軍部隊派遣を表明とその歴史背景>派兵承認 12月トルコとイスラエルが地中海東部の海底ガス田開発で協議開始
コメント
2. Posted by POPPO 2020年07月22日 23:43
トルコはギリシャにも強烈な喧嘩を吹っ掛けていて、もうそれが爆発しそうな雲行き。NATO内で喧嘩が始まったら誰が調停するのでしょうか。w
略
トルコ軍は海洋掘削調査に合わせて、まずはギリシャ本土の目と鼻の先にあたるエーゲ海のど真ん中にトルコ海軍による実弾演習予定海域を設定してきたのだ。
この実弾演習予定海域はギリシャの領海や接続水域を避けた公海だがギリシャが主張するEEZ内の水域なので「ギリシャの主張は認めていない」とトルコが宣言しているようなものだ。さらに言えばギリシャの首都アテネから約100kmしか離れていない海域で、わざわざ実弾演習を行う事自体が挑発行為だとも受け取る事ができる。
実弾演習予定海域の設定は現地時間20日(24時間)のみなので海洋掘削調査の期間と等しくはないが、実弾演習参加を理由に暫くこの辺りの海域にトルコ海軍の艦艇が留まる可能性もあるためギリシャ側からすれば到底容認できないはずだ。
中略
しかもトルコが海洋掘削調査を仕掛けてきた時期が絶妙だ。
エジプト議会はリビア内戦介入に関する法案を成立させたためエジプト大統領は合法的にリビアへ正規軍を派遣出来るようになり、世界や周辺地域の注目はエジプトの動向に集中しているため政治的に丁度よい隠れ蓑になる。実際、ギリシャはトルコの違法な海洋掘削調査を直ぐに国連やEU、NATOに報告して問題を訴えているがほとんど注目を集めていない。以下略
航空万能論GF 7/22 非常警戒体制を敷いたギリシャ軍、トルコの海洋掘削調査を武力で排除か?
もうね紀元前からいろいろあったアジアとヨーロッパ境界線。キリスト教とイスラム教で更にややこしくなり、近隣半島国家の喧嘩は尽きることなく延々と続く模様。w
略
トルコ軍は海洋掘削調査に合わせて、まずはギリシャ本土の目と鼻の先にあたるエーゲ海のど真ん中にトルコ海軍による実弾演習予定海域を設定してきたのだ。
この実弾演習予定海域はギリシャの領海や接続水域を避けた公海だがギリシャが主張するEEZ内の水域なので「ギリシャの主張は認めていない」とトルコが宣言しているようなものだ。さらに言えばギリシャの首都アテネから約100kmしか離れていない海域で、わざわざ実弾演習を行う事自体が挑発行為だとも受け取る事ができる。
実弾演習予定海域の設定は現地時間20日(24時間)のみなので海洋掘削調査の期間と等しくはないが、実弾演習参加を理由に暫くこの辺りの海域にトルコ海軍の艦艇が留まる可能性もあるためギリシャ側からすれば到底容認できないはずだ。
中略
しかもトルコが海洋掘削調査を仕掛けてきた時期が絶妙だ。
エジプト議会はリビア内戦介入に関する法案を成立させたためエジプト大統領は合法的にリビアへ正規軍を派遣出来るようになり、世界や周辺地域の注目はエジプトの動向に集中しているため政治的に丁度よい隠れ蓑になる。実際、ギリシャはトルコの違法な海洋掘削調査を直ぐに国連やEU、NATOに報告して問題を訴えているがほとんど注目を集めていない。以下略
航空万能論GF 7/22 非常警戒体制を敷いたギリシャ軍、トルコの海洋掘削調査を武力で排除か?
もうね紀元前からいろいろあったアジアとヨーロッパ境界線。キリスト教とイスラム教で更にややこしくなり、近隣半島国家の喧嘩は尽きることなく延々と続く模様。w


略
このようなトルコの動きは隣国エジプトにとって安全保障上の障害として作用するため、エジプトのシシ大統領は6月末「エジプトは隣国リビアへ軍事介入を行う正当な権利を有しており、必要に応じてリビアで任務を遂行する準備を行う」と軍に命じており、この動きを正当化するため反政府組織「リビア国民軍」を支持するトブルク政府はリビア内戦へのエジプト軍介入に許可を与えたと言うわけだ。
この決定を受けてエジプト議会は来週中にもリビアへの軍事介入に関する法案を審議する予定で、もし法案が成立すればエジプトのシシ大統領はリビアへの軍事介入が義務付けられることになる。
中略
さらにトルコはリビアに重装備を送り込むには海上輸送しか手がないため、エジプト海軍が東地中海でトルコの海上輸送を遮断する手段にでればお手上げとなるかもしれないが、トルコにはシリア政府軍の戦車や装甲車を100輛以上破壊してシリア部隊を壊滅させた国産の無人航空機戦力があるのでエジプト軍も警戒しているはずだ。
管理人的にはエジプトのリビア介入の可能性は非常に高いと見ており、仮にエジプト陸軍の機甲師団がトルコ軍の無人航空機+精密誘導兵器に撃退されるような事態になれば、今後の地上戦の在り方に大きな変化をもたらす可能性があるため、その動向に注目している。以上
航空万能論GF 7/19 リビア内戦、エジプト機甲師団VSトルコ無人航空機の激突が現実味
トルコもまぁ四面楚歌もいいとこ。宿敵ギリシア・仇敵アルメニア・神敵イスラエル・新敵エジプト・リビアで敵なロシア等々もう大変。w
やっぱりエルドアンはチョトおかしい。w